薩摩義士伝 上 | 回廊蝦蛄日和

薩摩義士伝 上

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こんにちは、こんばんは
エビシャコです

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薩摩義士伝 上

ネタ画像をよく見かけることと「キOガイ伝」と散々な評判なので
前々から気になっていた書籍です
今回、運よくコンビニで見かけたので
購入しました、3冊全て
今回はそのうちの上巻をレビューします

けっこう分厚いです

 

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・ひえもんとり

初っ端から何なのか全く分からないものが出ました
聞いたこともないのですが・・・読み進めていくと、
内容は、死刑囚を馬に乗せてふんどし一丁で武者足軽ひしめく場所へ送り出し・・・
二チームに別れた武者たちは罪人の生き胆を狙って襲い掛かる・・・というもので
罪人の生き胆をGETできた人が勝者というルールの行事です

以前紹介した「旧約Marchen」の黒狐亭みたいな事をするのかと思ったのですが
・・・そうではありませんでした(アタリマエダロ人喰イヤロー
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別に、食うに困ってやっているわけではなく、いざ戦時という時に備えて
&普段溜まりに溜まった不平不満ストレス発散目的でやっているそうです
罪人たちにはたまったものではないのですが・・・

刑場に立っている大きな木に無事たどり着ければ無罪放免というルールがあるそうです

・毎朝の日課

薩摩の武士の朝は早いのです
朝早く起きたら木刀を手に外へ出て
立てかけてある太い木の棒や木に向かって
声を上げながら打撃を加えます
・・・というのが日課だそうです
これもストレスの発散と、上からの抑圧や日頃の鬱憤を晴らすため
やっているそうです
的に対するその表情は、明らかに憎い仇を殺しに行く者のそれであり・・・
中には松の木を切り倒してしまった者もいるということから
日頃の不満の大きさがうかがえます

なお、これでも不満ストレスが発散できなかった者は

発狂したり病死したりして淘汰されていき

必然的にストレス耐性の強い薩摩武士団が形成されていったそうです

・厳しい上下

小山ゆう先生の「お〜い!竜馬」という作品では、土佐の地の
郷士と上士の身分の差による確執が描かれていました
なお、「郷士」とは江戸時代の武士階級の下層に属した人々で、武士の身分のまま農業に従事した者、武士の待遇を受けていた農民等のことで
大雑把に言うと、その土地に元からいた人々です

「上士」とはいわゆる上級藩士のことで、騎乗が許されていて・・・
大雑把に言うと、こちらは大名が以前から召し抱えていた家来などが当たります

薩摩においても上士郷士の差別は例外ではなかったようで・・・
物語のあちこちで衝突します

郷士を上士が切っても仔細を書いた紙一枚を上に提出すれば済んだという背景が
さらに事態をややこしくすることも・・・

もっとも、上に提出する紙ですから、いい加減なことは書けませんよね・・・

どうするんでしょう?

・幕府の扱い

薩摩藩は島津氏の所領です
外様大名が次々落ち行く中、薩摩はなぜか優遇されてきました
これは島津氏に手ひどい打撃を与えられたことのある家康公から続く
徳川家の伝統のようなもので、
薩摩藩は潰さず、かといって力もつけさせず、生かさず殺さず飼い殺しにすることで
反抗の芽を徐々に腐らせて徳川に刃向かう事無くさせていこう、という作戦だそうです
さすが家康公です
戦えば勝てないことはないものの確実に大打撃を受けてしまう危険な相手
ならば戦わずして勝つ方法を、というわけですね
この方法は家康公から秀忠公、秀忠公から家光公・・・と徳川将軍家代々に受け継がれてきました
が、9代将軍家重公の頃になって力を付けたある男によってえらいことに・・・

・理不尽

その、「えらいこと」というのは、尾張藩主の徳川宗勝が言い出したことで・・・
薩摩藩に難題がふりかかります
木曽三川(木曽川・長良川・揖斐川)の治水事業を一藩で担えという無理難題が
幕府からふっかけられます
14万両という大金が必要ですが、それも薩摩藩で賄え、と
これに対し薩摩藩は「断固戦うべし!」という意見と「藩を潰されないため従事しよう」という
意見に分かれます

これが有名な「宝暦治水事件」へと発展していきます

なお、ネタバレを申しますと
この14万両、後でさらに膨らんで倍の40万両ほどになります
なんとなく今話題の東京オリンピックを彷彿とさせますね

そして結果、工事中に薩摩藩士51名自害、33名が病死、
さらに工事完了後は家老の平田靱負も切腹します

・平田家老の覚悟

平田家老は「藩を潰されないため従事しよう」という方でした
もちろん少数派です
この莫大な費用を前にして「幕府に一矢報いて死のう」と
いきり立つ他の武士を前に
「金が入り用となれば、体面を捨てよ」と滔々と説きます
たとえビタ一文のためであっても・・・と

それに対して一人の家臣が立ち上がり・・・
銭形平次よろしく一文銭を家老に投げつけます

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平田家老の額に命中暗器や手裏剣でなくて良かったですね
家老に傷を負わせた無礼者に怒る同僚を制し、
平田家老はその家臣のされるままになります
殴られます、蹴られます、着物を剥ぎ取られます
そして家臣は一言
「礼を言え!一門頂戴してまことに有難き幸せであるとな!」
これに対し、家老は平伏して礼を述べるのでした
そして、これを見た家臣は感涙します
「かかる立派な人物、二人と居ろうか」と
そして無礼を詫びて腹を切るのでした

この事件がきっかけで、幕府への戦争を決意していた他の武士たちも
幕府の命令に従うことにしたのです

・隠密狩り

酷い話があったので紹介します
あんみつ公儀隠密の家系の津郷市助のお話ですが
父である市右衛門が脳溢血で急死する所から不幸が始まります
なんと、よりによって他の公儀隠密に渡す手紙を運搬中に
不意の死に襲われるのです
が・・・死の間際に口の中に隠した密書は無事、
医師に扮した他の隠密によって回収されました
ところが、その隠密を、たまたま自己嫌悪に陥ってやけ酒を食らっていた
青年武士・権堂十三郎が酔っぱらって投げた刀に、たまたま当たって死亡
密書は薩摩藩に回収されてしまいます
が、藩は「とくに危険なし」と判断して一度は捕らえた市助を釈放します

これのどこが酷い話かというと・・・ここからです
噂を聞きつけた全く無関係の藩士が仲間を集めて
「噂が立っただけでも許せぬ」という、
言いがかりとしか言えない理由で
津郷家へ切り込み一族郎党全員皆殺しに・・・・・

今の日本で例えると
釘バットや鉄パイプで武装してコンビニにバイクで突っ込み
餡蜜をショーケースからひったくって食いまくる・・・といったところです
言うまでもないことですが
絶対にマネしないでください
犯罪ですからね
確実に強盗として処理されますから

ではまた

餡蜜狩りをしたいという方はこちらの記事に目を通してください

 

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