首代引受人 | 回廊蝦蛄日和

首代引受人

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こんにちは、こんばんは
エビシャコです

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首代引受人

「手形」を元に「首代」を徴収する
凄腕の取立人が関わっていく短編集です
作者は、あの「薩摩義士伝」平田弘史先生です

 

 

・そもそも「首代引受人」とは?

 

まず、「手形」の説明から・・・
合戦などで助命を乞う代わりに、自分の首と同価値の金銭を
後で支払うという約束を書いた契約書の事だそうです
判子の代わりに血の手形が押されています
主人公は、この金銭(「首代」)を徴収する任を負った侍「首代半四郎」です

 

・うまくいくのか?

 

すんなり支払うようなら主人公は苦労しません・・・
お金を用意できていない、はまだいい方
中には主人公を返り討ちにして契約を無かったことにしようという輩もいます
ですが、この「首代引受人」はあくまで「契約主の代理」で徴収を行う人物なので
主人公を倒してもまた別の取立人が来ることでしょう

・踏み倒すとどうなるか

契約者を殺してでも踏み倒しにかかる人物はいました
中でも酷かったのが最後のエピソードに登場する「酒井山城守重澄」のパターンで・・・
主人だけでなく家臣一丸で踏み倒しに協力する始末です
まず、取り立てに兄の代理で来た弟の「温井次左衛門」を殺した上に死体を肥溜めに落とします
そして弟を探しに出た兄の留守中に温井家を襲い、子供一人を残して一家皆殺しに・・・
その子供も病死したため
兄がその復讐に酒井家に入り首代を盾に好き放題をした所へ、主人公が100両の徴収に登場します
ここで兄が真相を明らかにし、「金で起きたことだから金で解決しよう」と、命までは取らず金1000両でカタをつける話になります
酒井家側はここですっぱり諦めていれば良かったのですが、酒井家は兄を追跡した上に兄を殺して1000両を取り返しまし
刺客に囲まれても反撃をするだけで慣れた様子で怒らなかった主人公も

これにはブチキレます
主人の酒井山城守重澄の首を刎ね、襲い掛かって来た家臣団も皆殺しにし、
金をすべて持って去っていきました・・・
「約束の手形とは生命賭けてのことなれば・・・破断は断じて之を許さず」
なお、最初の手形はたった「100両」でした・・・
素直に弟に100両を払っていれば良かったものの、変な気を起こしたために
金どころか命まで失う羽目になったお話でした

・この時代の時刻の知り方

エピソードの一つに、金の工面に困り果てて母と妻子は一家心中
主は関係者全員と殺し殺されする事になった武士の話がありました
心中前の妻子たちの月見の台(ススキの入った花瓶とかが設置してあるもの)
金を待つ男たちの家屋の縁側の床に刺さった刀
これが実はつながっていました
この時代、現代に生きる我々のような「腕時計」などというものはありません
今はデジタル表記で時刻や日付まで分かりますが、当時はそうもいきません
では、何をもって時刻を知るか、ですが・・・
なんと、このエピソードの人々は「月の位置」
「月光でできる影」を見て時刻を知ろうとしていました
原理は、南向きの場所(縁側)に影を作る物(刀や花瓶など)を用意し、
その影が作る角度で時刻を知っていた・・・というものです
つまり「日時計」と似たものですね

この短編集は「首代」をめぐる様々な人々の生き様が見られました
また、金をドル袋(表に$が表記されている袋)に入れていたりといった
「遊び」も各所に見られるので、凄惨なエピソードが多いだけに
不意打ち過ぎて笑いと突っ込みしたい衝動がこみあげてきます

ではまた

薩摩義士伝 上はこちら

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