【小説・ノベル感想】エヴァの震える朝 15歳の少女が生き抜いたアウシュヴィッツ エヴァ・シュロス 【レビュー】【ネタバレ注意】 | 回廊蝦蛄日和

【小説・ノベル感想】エヴァの震える朝 15歳の少女が生き抜いたアウシュヴィッツ  エヴァ・シュロス  【レビュー】【ネタバレ注意】

LINEで送る
[`google_buzz` not found]
[`yahoo_buzz` not found]

////////////////////////// //////////////////////////

エヴァの震える朝 15歳の少女が生き抜いたアウシュヴィッツ (朝日文庫)

 

あのアウシュビッツを生き延びた女性エヴァ・シュロス氏の体験談
後世に語り継ぐべきノンフィクションです

 

 

 

エヴァの震える朝 15歳の少女が生き抜いたアウシュヴィッツ (朝日文庫)
あらすじと感想

 

こんにちは、こんばんは
エビシャコです

レビューまいります

 

・筆者について

 

エヴァ・シュロスさん
当たり前ですが、この作品は彼女の体験談なのでノンフィクションです

彼女はユダヤ人の家庭に生まれたごく普通の少女でした
そう
彼女が15歳の時にゲシュタポに見つかり
捕まるまでは・・・

ちなみに、
彼女はあの「アンネの日記」で知られる
アンネ・フランクさんとは仲の良い友人同士で
収容所から生還後、彼女の母とアンネさんの父が結婚したので
実質、アンネさんは彼女の義理の妹ということに

そして結婚した二人とも、「アウシュビッツの生存者」という共通点があります

 

・口を開いた理由

 

エヴァさんはこれまでずっと「地獄の日々」を語らずにいました
彼女にとってそれはとてもつらい出来事であり
忘れたい体験だったからです
それでも今、彼女が口を開いた理由、
それは「アウシュビッツの出来事が知られていないため」でした
(近年「アウシュビッツはなかった」という記事が
出回る事件が起きたことも記憶に新しいですね)

彼女はあの出来事を風化させないため
あの収容所で亡くなった多くの人々の死をなかったことにさせないため
口を開いたのです

ちなみにエビシャコは
図書館に入り浸ってる学生時代を小学校の頃から送っていたので
戦争資料には目を通したり、気になることは自分で調べたりしてました
目を通した資料の中には「ユダヤ人強制収容所」ももちろん含まれております

気になった方は、図書館へ行ってみてください
今の時代はネット検索して資料を閲覧もしくは取り寄せることも
容易にできるので
エビシャコが子供だった頃よりは比較的容易に調べることが可能でしょう

 

・日常の終わりは突然に

 

エヴァさんは成長するにつれ、
歴史の流れに飲み込まれつつあることを肌で感じるようになります
ナチスの誕生、ドイツが独ソ不可侵条約を締結
そして・・・ドイツ軍のポーランド侵攻
ここからナチスドイツ軍はヨーロッパ全土にその戦火を広げ
今日も世代を超えて続く教訓やトラウマをヨーロッパの人々の心に焼き付けます

エヴァさんは家族と共に逃れますが・・・
エヴァさん15歳の時、オランダの隠れ家で彼女と家族は
ゲシュタポに発見され捕まります

ちなみにこの少し前、
前述の「独ソ不可侵条約」を一方的に破って
ドイツ軍が侵攻をかましたので
ソ連軍が反撃してスターリングラードで
ドイツ軍が降伏するという事態が起きていました


それまで優位に進んでいたナチスドイツは
ここで足を止めざるを得なくなります

結局、敵を作り過ぎたことと喧嘩を売った相手が悪すぎたせいでナチスドイツは徐々に追い詰められることに・・・

 

・真面目

 

収容所に入る前、エヴァさんの母はゲシュタポへ
金銀の腕輪などと引き換えに彼女たちを匿っていた
レイツマ夫妻を無罪放免にする取引をします
そして・・・
約束を反故にすることなくゲシュタポは夫妻を釈放

収容所にて
ガスではないかと怯えなかなか進まない収容者たちに
安全であることを示すためにお湯を出す指示をする将校がいたり

数合わせのためにエヴァさんの母が連れて行かれた話では
規則に背いてエヴァさんの母たちを連れて行ったカポ(収容所で働いているポーランド人の人たちなど)が
厳しく叱責されてエヴァさんの母が無事に戻されるなど・・・

ところどころで
ドイツ将校たちの真面目な気質が見られます

日本人の場合は勤勉でまじめ・・・と言うと聞こえいいですけど「仕事中毒」って評価を耳にすることの方が多いですね

そういえば、「船から避難する際にどの国の人間にどんな言葉をかければ喜んで海に飛び込んでくれるか」とかいうお話でも・・・

エヴァさんたちは奇しくも相手の「真面目」さに
助けられてもいたのです
逆に、いい加減な性格の侵略者相手ではこうはいかなかったでしょうね・・・

↑酷いところの兵とかはこういうのと大差ないですし、どこのとは言いませんが

ちなみに、前述の「カポ」やドイツ軍人たちも一枚岩ではなく
中にはユダヤ人たちに同情的な人もいたことにも
触れておきます

 

・収容所の日々

 

物資運搬用の列車で運ばれて収容所に入れられます
次に「選別」され、識別番号の入れ墨をされたり
髪の毛を剃られたりします
もちろん、持ち物は全て没収
収容所の中では石鹸一個の個人所有すら許されません

食事はと言うと・・・小さな黒パン一個と何かのスープがメイン
そんな状況で
収容者は労働に従事させられました
労働と言っても、簡単なものから肉体労働まで様々

中には「ガス室」で「処理」された人々の遺品の選別や遺体の処分なども・・・

時には人々の遺体すら「資源」「物資」として扱われることもありました

前述しましたが高圧的な将校や兵士がいる一方で
ユダヤ人たちに同情的な「カポ」やドイツ軍人たちもいました

全員がナチスやヒトラーに忠誠を誓っていたわけではなく、否応なしに巻き込まれて行った人々もいました

彼らは彼らなりのやり方で、できるだけ多くの人命を救おうとしていたのでしょう

「地獄」は長い時間続きましたが、終わりは来ました
ソ連軍が東側から反攻作戦を開始
次々と領土を塗り替えながらドイツ軍を押しやり始めます

終戦間際になってくると、
ドイツの将校たちは収容所の人々をどう扱っていいのか
分からなくなり始める様子が出てきたそうです

恐らく彼らの頭の中には軍人として最悪の結末
「敗戦」の二文字がすでに浮かんでいたのでしょう

そして、ソ連軍がアウシュビッツ収容所のあるあたりへ来た時
ドイツ軍はそのあたりから撤収
結果、エヴァさんら生き残りの収容者たちは
管理者のいなくなった収容所に取り残される羽目になり
当然ながらソ連軍が来るまで自活することに・・・

その後、ドイツ軍が戻ってきたり
収容者を連れて行ったり
ソ連軍との間に戦闘があったりしましたが・・・・・
結局、ドイツ軍は敗北し逃げていきました

収容者を連れてったドイツ軍は
いったい誰がそんな無謀な命令を
こんな土壇場で下したのか知りませんが
恐らく助からなかったでしょう
できるだけ迅速にすべき撤収の際に
わざわざ戻ってきた上に
徒歩で捕虜を歩かせて逃げるなど
追いかける側に「捕まえてみてください」と言っているようなものですから

その後、ヒトラーの自殺でナチスドイツは終わります

エビシャコが思うに
ナチスドイツがどうして
ヨーロッパ中を敵に回すだけでも無謀な試みであるのに
さらにアメリカにまで喧嘩売ったり
背後を安全にするために条約を結んだ相手のはずのソ連にまで牙を剥くなどと言う
どう評価しても「自殺」としか呼べない暴挙に及んだのか
まったく分かりません

まともな頭なら分かるはずです
「こんなこと、うまくいくはずがない」「遅かれ早かれ破綻は時間の問題になる」と

 

////////////////////////// //////////////////////////

・自由への解放

 

エヴァさんたちは、ソ連軍が来たことで
ようやく収容所の生活から解放されます

ですが、彼女の家族で生き延びたのは彼女と母親だけで
彼女の父と兄はアウシュビッツの男性の収容所で亡くなったそうです

その後、紆余曲折の末に彼女たちは「帰宅」
エヴァさんの母親は同じくアウシュビッツの生き残りである
アンネ・フランクさんの父オットー・フランクさんと結婚します
彼の家族もまた、アウシュビッツの犠牲になり
生き残ったのはオットーさん一人だけでした

彼の娘アンネ・フランクさんの手記
「アンネの日記」もまた
推薦しますので
この記事をご覧の方々は
ぜひ読んでみてください

ではまた

 

(追記)

後日、詳しく述べますけど・・・
エビシャコの一族、
ソ連軍に満州から追われた生き残りです

エヴァさんたちにとっての解放者であるソ連軍は
私の一族にとっては一方的に条約を破って侵攻してきた
侵略者でもあるわけです

このあたりの巡りあわせの違いもまた
「戦争」がもたらす数奇と言えるでしょう

 

////////////////////////// //////////////////////////

(追記2)


え~とすいません、なんか火急的にこの情報を
発信する必要ができたため
この場にて急遽発信します

ナチスの件も含めた共通事項・・・それは
「ファシズム」は「民主主義」から生まれた存在ということ
それと「大虐殺」は軍隊よりも民衆が引き起こしているケースが圧倒的に多いことです
独裁者の扇動がなくても、一般市民は
集団心理やデマに踊らされるなどして
容易に虐殺の実行者になり得ます

歴史を紐解けば、これが中世ヨーロッパの暗黒期限定ではなく、古代から現代まで続く人間の業とも言うべき事実であることがお判りいただけるかと

何故これを「火急的に発信する必要ができた」のかと言うと
ここのところの世界情勢を見るに
民衆による虐殺が起きそうな場所がそこかしこにあるので
もちろん、先進国で、です

どうか皆さま、

デマに踊らされないでください
困っているのはお互い様です

暴力行為に走る前に冷静に考えてください
相手が本当に脅威なのかどうか

鏡を見て確認してください
むしろ自分の方が相手から見て脅威ではないか

どうか深く深く考えて
目の前の相手に自分がどう映っているか
武器を置いて考えてください


 

ポチリとお願いします


人気ブログランキングへ
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

 

 

コメントは受け付けていません。

サブコンテンツ

このページの先頭へ