Monster Makers’ Conflict-第0部第1章:再起の旅立ち・プロローグ3:ブルガンディ島へ

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リュミール視点のお話です

投稿サイト:ハーメルン – SS・小説投稿サイト 様(https://syosetu.org/)

【MMSS】投稿ページ:Monster Maker ResurrectionRPG FAN SS- Monster Makers’ Conflict-

第0部第1章:再起の旅立ち

プロローグ3:ブルガンディ島へ

私はリュミール、今は旅の吟遊詩人として
妹分のベステラと一緒にカスズの港町に来ている
「リュミールお姉ちゃん、私たちはどこへ向かうの?」
「ブルガンディ島よ」
ベステラの問いに私は答えた
「お告げ」では「ブルガンディ島に待ち人はいる」とあったのだ
それがツチラトとは限らない
でも、たとえツチラトでなかったとしても
きっとあの人は転生している
私と同じリザレクションの旅をしている
だから、再び出会ったときに胸を張っていられるように・・・
「お姉ちゃん前!!」
「え?」
ベステラの声で私は気が付いた
地面が ない
そのまま空中を3歩ほど歩いてから、
私は海に落下した
「おい!女の子が落っこちたぞ!!」
「信じられねぇ!空中を歩きやがった!!?」
ソレは、できれば永遠に忘れ去ってほしい



私はすぐにシャーズの人たちに引き上げられたけど
笑われたのは言うまでもない
ここらの人たちは私たちの一座のお得意様が少なくない
だから、私のことを知る人も当然いる
恥ずかしい・・・
夕方までにはボレソラン団長にも報告が届くだろう
旅の一座「エリミネッタ」のみんなは
しばらくその話題で持ちきりになるに違いない
少なくとも私はほとぼりが冷めるまで一座に戻れなくなった
「面白いもの見せてくれたから、無料で乗せてってあげるよ!」
そんな、今日中にはカスズから足早に立ち去りたかった私に
助けが舞い降りた
「助かりますシャットさん」
私たちはシャーズの「商人」のシャットさんの船で
ブルガンディ島まで行くことになった
シャットさんは私と年齢はそれほど変わらないはずだけど
船をいくつも持っている大商人だ(と、ボレソラン団長から聞いている)
拠点のあるブルガンディ島はもちろん
カスズでもエルセアでも
彼を知らない商人はいない
そしてつい最近、彼はシャーズの貿易に投資して成功し
エルセアに豪邸を建てたらしい
今では商人たちのルールに「シャットを敵に回すな」が追加されていると言われている
ただ・・・
そんな彼も頭の上がらない相手はいる
それが「キャプテン・ノーラ」という人物だ
シャーズ出身の海賊で、船乗りたちの間で彼女を知らない者はいない
海賊ではあるものの弱きを助け悪をくじく「義賊」だ
シャットさんは彼女の弟分で駆け出し時代に
すごくお世話になったという
「ノーラの姉御は、そこでオークどもを・・・」
だって、出会う度にその話をするから、この人は・・・
何度も同じ話をするおかげですっかり記憶してしまった
吟遊詩人としてはありがたいのだけど(汗)




船旅は終わり、私たちはブルガンディの港に着いた
「お姉ちゃん、ここで会う人って?」
私はお告げの声を思い返して言った
「行けば分かるって聞いたけど・・・」
その次の瞬間
「やぁ!」
私の意識は元気な掛け声とともに繰り出された
後頭部への強烈な衝撃によって唐突に刈り取られた
「お姉ちゃん!?ちょ、このお姉ちゃん誰なの!?」
ベステラの叫び、そして
「ぎゃぁぁぁ!人殺しぃぃぃ!!」
シャットさんの悲鳴が私が最後に聞いた音だった・・・



夢を見た、あの日の夢だ
団長が「私の娘です」と言って
赤ん坊を連れてきて数日が経過した
その日の夜、団の天幕は魔物に襲われた
私は赤ん坊=ベステラを抱いて
テントの裏口から逃げ出していた
モンスターとの戦闘経験もある仲間たちと違って
私はまだ非力な幼い少女なのだ
できることは限られている
そう自分に言い聞かせて、後ろ髪を引かれつつ
みんなに言われた通り「教会」へ逃げ込んだ
でも、それは巧妙なワナだった
襲ってきた魔物のリーダーの目的は、最初から私だった
そいつは知っていたのだ、私が「カード使い」だということを
そしてそいつは、危険度が遥かに上の存在だった
オークなどとは比較にならない、と言っても過言じゃないくらいには
団長がこの襲撃の首謀者の正体を知っていたなら
たとえ情報がそいつ一体だけであっても
絶対に私とベステラを先に逃がすようなことはしなかっただろう
そいつは頭がキレる、ただでさえ強大な力を持つのに知略が得意なのだ
私たちはまんまと、そいつの策に踊らされた
ほっと息をついて天井から聞こえた軋むような音
そこに目を向けた時、私はそれを悟った
闇のような真っ黒な衣装を身に纏った
端正な顔立ちの白い肌の青年が天井から逆さにぶら下がっている
そいつは狼のような鋭い牙の生えた口を開けて笑った
「待っていたぞ、娘よ」
冷たい氷のような声に背筋が凍る
そいつは「ヴァンパイア」
闇夜の世界で無敵を誇る、「夜の王」を自称する高位アンデッドだった
ウルフレンドにも古くから伝承はあるけど
目の前のそいつは、そんなおとぎ話の簡単に倒せるようなのと
格が違うことがはっきり分かった
モンスターを従える統率力に獲物を追い込む知恵
教会の中という、自分が有利な閉鎖空間を狩場にする知能
こいつを前にしたら単独で夜の闇に紛れ美女を襲うような
古風な吸血鬼など可愛いものだと思った
元居た世界にいたコウモリに似た「未確認生命体3号」の方が
まだマシかもしれない、会ったことはないけど
腕の中のベステラを見て、私は覚悟を一瞬で決めた
ベステラにキスをすると
ヴァンパイアも触れることができなかったのか
祭壇に放置されていたた小さい銀色の十字架を小さい手に持たせた
「大丈夫、絶対に守るからね」
精一杯笑顔を作って、そっと祭壇の銀の燭台の後ろに置く
これであいつは、少なくともベステラには手を出せないはずだ
ベステラを背にしてもう一つあった銀の燭台を手に持ち魔物を睨む
「死」をはっきりと自覚していた
私は怪物退治もしたことのない元女子高生だ
それ以前に、今の肉体は幼稚園児か小学校低学年もいいところの年齢で
しかも前世では未確認生命体に返り討ちにされた
けど、ヴァンパイアの弱点は知っていた
太陽の光と銀だ
あいにく、今は夜で太陽はあと数時間しないと昇らないだろうし
ヴァンパイアもそれは計算へ入れているだろう
私が燭台を手にすることも、おそらく・・・
でも私は、魔物と刺し違えてでもベステラは守る
その覚悟は決めていた
それに勝機が無いわけじゃない
「心臓に杭を打つ」、この燭台をあいつの心臓に刺すことができれば・・・・・
「ほぉ? 私に挑むかカード使いの娘?」
つぶやいて魔物が天井から私めがけて飛び込んでくる
私は目を瞑りながら燭台を突き出した
覚悟した衝撃は私の体に、なかった
綺麗な女性が目の前に立っていた
その背中から魔物の腕が生えている
お腹から背中まで魔物の腕で刺し貫かれていたのだ
「大丈夫、この魔物は、もう・・・」
彼女は口から血を流しながら微笑んで・・・



「・・・ちゃん!リュミールお姉ちゃん!」
私は目を覚ますと同時にベステラに抱き着かれた
周囲を見渡す
木造の家屋の中のようだけど、調度品がかなり整ったものだ
窓は恐らく鉄を使っていてガラスもハマっている
多分、どこかの金持ちの家だろう
・・・と、思っていたら
壁に「キャプテン・ノーラの肖像画」が飾ってあったので
シャットさんの館だと私は察した
彼のキャプテン・ノーラへの尊敬は並大抵ではない
口を開けば必ずと言っていいほど彼女の名前が飛び出す
話をしているといつの間にか彼女の武勇伝が混ざっている
前世をしっかり覚えてて苦心の末に当時の写真を発掘したetc
・・・あげればキリがない
「大丈夫、うなされていたけど?」
ベステラが心配そうに私を覗き込んだ
「うん、ちょっと悪い夢見ていただけだから・・・」
「ごめんなさい!!」
バキィ!という音のしたほうに顔を向けると
床に額を打ち付けている少女がいた
「私はドミニクです、お師匠様の霊魂から
あなたに会うように言われたので・・・
実力を試そうと思って飛び蹴りをしたら倒しちゃいました」
うん、さっぱり分かんない
何を言っているんだ、この子は?
「ドミニクお姉ちゃんは悪い人じゃないの!
さっきのは、リュミールお姉ちゃんが
”このくらいなら死なないだろう”って思って蹴ったんだって」
ちょとまってベステラ、その言い訳のどこを解釈したら
「ドミニクお姉ちゃんは悪い人じゃない」になるの?
つまりお姉ちゃん、その人に殺されかけたんだけど?
「あ、良かった、目を覚ましたのね」
頭を混乱させていると
部屋に誰かが入ってきた
「あ、ディアーネお姉ちゃん!」
私の目の前で「あり得ない事態」が進行中だった
ドアから入ってきて
目の前に来て私の具合を見ている
水色のマントと衣装の女戦士は
間違いなくレオスリックの「ディアーネ姫」だ
「王女戦士」と名高いネームドで
最強ランクに位置する光の戦士
その数々の冒険は伝説となって今も語り継がれている
ベステラは覚えていないかもしれないけど
一座「エリミネッタ」はレオスリックで公演を行ったこともある
当然、国王一家とも顔見知りだ
「久しぶりね、リュミール」
あの輝く瞳を持つ王女を間違えるはずもない、この人は本物だ
「おひ、お久しぶりです、ディアーネしゃま!」
私は噛みながらも即座に正座して深々と土下座した
ゴン! と頭が床にぶつかる
・・・この床、木じゃない、大理石だ
痛い・・・
あのドミニクという子はすごい音を立てていたけど大丈夫だろうか?
「ディアーネでいいのよ、今の私は旅の戦士なんだから」
クスリと笑ってディアーネ・・・さんは
私の後ろに回った
「コブにもなっていないみたいね、良かったわ」
憧れのお姫様が私のすぐ後ろにいる
そして彼女の手が私の後頭部に触れていた
「・・・ふにゃ~」
私は幸せと緊張のあまり、気絶した
「お姉ちゃん!?」
「ちょ、ディアーネさん!?」
ベステラとドミニクの声がする
「え、私は何もしてないわよ!?」
そんな騒ぎを耳に、私の意識は夢の中に入っていった
*
*
*
ブルガンディ島のボンベート山の森の中
焚火を挟む影が二つあった
「パタギ、ビ、バン、ジョ、ジョ、グ(私に何の用)?」
ちょうどいい窪みのできた大きな石に座り
独特の言語で深紅のフードを目深にかぶった人物は
対面の隻眼の男へ問いかけた
「悪いが、あんたのその言語は、オレには分からねーんだ
できればヒューマンの言葉かシャーズの言葉で話してくれねーか?」
ふむ、とフードの人物は考える仕草をして、口を開いた
「この私に何の御用だい?」
流暢なヒューマンの言語だ
隻眼の男は笑みを浮かべて答えた
「あんたの力を貸してくれ、悪いようにはしないぜ
この『隻眼のジシュカ』と、あんた・・・
いや、あんたたちの利害は一致するはずだ、
『侵略者』さんよ?」
(つづく)

<解説1>
ドミニクの設定について:
オリキャラではなく「リザレク」のネームドキャラクターです
公式設定ではベング高原の寒村で僧兵に育てられていたのですが
九月姫先生のコミックのディアーネ姫の冒険で
僧兵がディアーネ姫を助けるために自爆し死亡したので
そのままディアーネ姫のリザレクションに同行していきました
このSSの時系列はそのコミックの後のあたりで
小説リザレクションの前の話という設定です
(参考文献:マスターズTCGアンソロジーコミック(幻冬社))
この後で同じベング出身の「女闘士アルボア」を
レギュラーとして出す予定なので
彼女に光側のレギュラーとして頑張ってもらうことにしました
(ベングつながり)

<解説2>
シャット:
好きなキャラクターなので出しました(オイ
モンスターメーカーの初期シリーズから出ているキャラクターで
シャーズの海賊キャプテン・ノーラの舎弟として
走り回ることが多かった彼ですが
リザレクションではブルガンディ盗賊ギルドのトップに君臨し
投資で当てて豪邸を建てるまでに成長しました(感涙)

ちなみにリュミールたちが「商人」と言っているのは
ボレソラン団長から「そう聞いている」ためで
まだこの時点で彼の「裏の顔」を知らないからです
いずれ明かす予定

<解説3>
ディアーネ:
知らない人はいないだろうと思われる
モンスターメーカーシリーズ看板娘
大体「ルフィーア」「ロリエーン」とセットですが
今回は諸事情により「ルフィーア」登場はずっと後です
苦情は、彼女を虚空に放り込んだ封印者どもへ送ってください(オイ
「ロリエーン」はホリィアックスを巡る冒険で出ましたが
(このあたりはTCGアンソロ「マスターズ」参照)
今は他の離脱メンバーに送られる形でエルフの森へ報告に戻っているので
いないという設定にしました

<解説4>
ヴァンパイア:
ヴァンパイア・ノーブル
一応、固有名を考え済みですが、しばらくはこの名称で
過去に「とある事情」でリュミールたちを襲撃しました
彼の目的は何なのかは、いずれ明らかにします

<解説5>
隻眼のジシュカ:
モデルは「フス戦争」の英雄ヤン・ジシュカ将軍
隻眼の理由や行動目的は
これから明かしていきます
・・・考えていないわけではないですよ(汗)

<解説6>
深紅のフードを目深にかぶった人物:
「侵略者」の一員
本隊の撤退に付いて行かず残った人員の一人
現地の情報を送信したりといった行動が主な「監視官」であり
橋頭保の守備や他の人員のまとめ等を行っている立場です
種族は一応「シャーズ」ですが・・・
本性は「言語」から、分かる人には分かるかも?

ではまた

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