Monster Makers’ Conflict-第1部第1章第6話:追われる猟犬 | 回廊蝦蛄日和

Monster Makers’ Conflict-第1部第1章第6話:追われる猟犬

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第1部リザレクションの序章

今回の章の裏事情です

第1章:エルセア聖女追放騒動

第6話:追われる猟犬

「猟犬の弱体化」
それはエルセアに居ついていた「とあるグループ」との
たった一つの「取引」が原因だった
そのグループの出自を人々は知らない
いつの間にかそこに居た
いつの間にか家を購入し住んでいた
しかしエルセアで商売をするでもなく、
時々人の出入りはあるもののお金に困っている様子も無かった
当初こそ警戒はされていたが、そのうち誰もが気にも留めなくなった
訳アリの人間などエルセアでは珍しくも無い
商売をしているわけでもないなら、ただの客だ
なら何の問題も無い
そんな彼らがどういう理由か、娼婦を一人抱え込んだ
別にどうという事はない話ではあるが
「猟犬」は人員を送り調査させた
応対に応じたリーダー格の男は、取引を持ち掛けた
「こちらの家に居るのはウチの身内だから絶対に手を出さないで欲しい」
「無論タダで、とは言わない」
「手配中の凶悪犯罪者をそちらに渡す、それも複数、可能な限り」
そのグループは有言実行とばかりに
お尋ね者の凶悪犯を幾人か捕らえて「猟犬」に引き渡した
「報酬も賞金も要らない、ただ要望通りにしてくれればそれでいい」
彼らはそれだけを言って報酬を拒んだ
捕らえられた凶悪犯はと言うと、刑に服することを選んだ
何があったのか誰もが異常に怯えていた
「アイツらにまた捕まるくらいなら死んだほうがましだ!」とまで
言い切る奴もいた
しかしそのグループに対しても「罪は罪」「法は法」を「猟犬」は徹底した
仲間の一人が以前から追いかけていた男=「貧しい貴族」と
グループが保護している娼婦が接触していたのだ
もちろん、その「貧しい貴族」が「猟犬」に追われていることなど
そのグループは知らない
「猟犬」たちも敢えて教えず泳がせていた
そして「猟犬」は事前警告すらせず取引など無かったかのように
「貧しい貴族」が家に入った後で突入した
結果、「貧しい貴族」は捕まり捕り物の際の事故で娼婦は死んだ

その日の夕方、「猟犬」の長の机の上に一通の手紙が置かれていた
誰がいつ持ってきたのか分からない手紙には
たった一言
『違約金の強制徴収を執行します』とだけあった

翌日から、「猟犬」のメンバーの死が相次いだ
ある者は寝室のベッドの上で
ある者は路地裏で
ある者は港の海面で
死体となって発見された
死因は「窒息死」、死体はどれも肺が腐っていた
当然ながら「猟犬」は取引のあったグループを疑った
疑いだけで証拠など無い
そもそもの話、『肺だけを腐らせる殺害方法』など分からない
しかし、彼らが犯人なら一網打尽にすれば犯行は停止する
犯人で無かったとしても犯罪者と組んでいたグループだ
どのみち取り締まるのは必要である
いつものように「疑わしきは罰すべし」だ
ただちに事は実行に移された
そして向かった部隊は返り討ちに遭い皆殺しにされた
「口封じに刺客を送られたので返り討ちにしただけ」と
グループは地域管轄の自警団へ公表
同時に、「猟犬」との取引内容とそれまでの経緯を暴露し
独自の捜査で「貧しい貴族」の身代わりの人間に濡れ衣を着せ
善良な彼が抵抗できないように「人質」を取る形で仕組んだ事
碌な警備も置かないままだったため身代わりの人間の家族が襲撃に遭い犠牲者が出た事
さらに「貧しい貴族」は犯罪歴はあるものの
とっくの昔に服役が完了し
「猟犬」が主張していた窃盗の罪も全くの見当違いの勘違いで
被害届も取り下げ済みだった事なども報告した
自警団の怒りは爆発した
エルセアには「法」がある
そして何より「掟」がある
「猟犬」はその最も重要な「掟」を蔑ろにしたのだ
こういう話は広がるのが凄く速い
瞬く間に自警団は情報を共有し「『猟犬』の速やかな排除」で一致した

さらに、「貧しい貴族」の身代わりの人間が反撃に出た
破滅させられた御礼とばかりに
エルセア王家に詳細を暴露し
調停を依頼したことで全てはエルセア中に知れ渡った
自警団以外の各ギルドや勢力からも怒号が上がった
そうで無くても今度の件はあまりにも酷過ぎた
王家も貴族も黙って見過ごしなどしない
ほどなくして「猟犬」には処分が正式に決まるまでの活動禁止が命じられた
重い処分が下されることは目に見えている
最低でも追放は確実だろう
かくて、エルセア市民と「猟犬」は武力衝突の機会を永遠に失ったのだった



「猟犬」の拠点のオフィス
「この街に!エルセアに正義は無いのか!」
「猟犬」の長の「ハウンド」はそこで机を叩いて嘆いたが
それを傍らで佇んで見守る副長の「ポインター」は理解していた
自分たちは「やりすぎた」のだと
「清すぎる水には魚は住まない」事を失念し
身勝手な「水質浄化」を続けたことで
元々の住人である各勢力から反感を買った
早い段階で手を止めて警告を聞き入れ、話し合いをするか
あるいはエルセアから離れるべきだった
しかし「猟犬」は止まらずエルセアに踏みとどまり続けた
引き返すことが不可能な深みに入るまで・・・
例え、あの事件を起こさなくても
あのグループが何もしなかったとしても
いずれ誰かが自分たちを狩るべく動いていただろう
今起きている出来事は、そういう事だ
見た目よりも長い時間の記憶を有している「ポインター」は理解していた
上位貴族出身のモノ知らぬリーダー「ハウンド」よりも

やっとこの世界で築き上げた基盤だ
ここで全損するわけにはいかない
それには自主的に退去するのが一番だろう
敵は今や市民や王家だけではない
自分たちが怒らせたあのグループ「パトロン・ミネット」は
情報収集力も戦力も練度も遥かに上だった
あの時に届けられた手紙、あれは彼らの一人が
この中に入り置いて行ったものだ
誰にも気づかれずに、こっそりと
さらに、ハウンドにまだ渡していない手紙がある
ゾラリアからのものだ
「貴殿らの訴えは証拠不十分なり
すぐに拘束中の者を釈放されたし
また、かの者の刑期はすでに満了なり
これも問題は無し」
自分たちがあの「貧しい貴族」を送るのと前後して
ゾラリアの法廷に確認をした奴がいた
該当するのは、あのグループの誰かだろう
悪い事に手紙はこう締めくくられていた
「これ以上のかの者に対する干渉は
ゾラリアの司法への挑戦であると
認識すべし」
つまり「お前らは我々に喧嘩を売っているのか?」という話だ
再犯どころか「服役した過去がある」だけで
疑って追い回していたのだ
当時の裁判官を含め、刑務に携わる者たちには不快極まりない事だろう
面と向かって「無能の役立たず」呼ばわりされたも当然なのだ
怒らないわけがない
今頃、「貧しい貴族」を送り届けた不運な「シェパード」は
司法の面々から怒声を浴びせられている頃だろう
タイミング的に手紙を無視して強行したと見られても仕方がない
エルセアとゾラリア
両方において、あのグループに自分たちは敗北したのだ
それを認めなければならない
あいつらの力量は自分たちを遥かに越えていた
『まるで訓練を受けた特殊部隊のようだ』
・・・と思って
連中の正体にようやく気付いた
奴らのリーダーが「ガマグチヨタカ」とかいう
故郷にいた鳥の名前のコードネームを名乗っていた時に気付くべきだった
あいつらは「トリカゴ」だ
この星の外から来た侵略者たちの「正規軍」
自分たちが怒らせたのは、その特殊部隊の一派だろう
貴族の子弟が己の正義感で作り上げただけの「ごっこ自警団」など
相手になるはずもない
早くゾラリアに帰らなければ
確実に命を失うだろう
あいつらの標的に確実になっている娼婦を殺した連中は
「シェパード」を除いて全員が死んでいるとはいえ・・・

怒らせた特殊部隊に狩られるか、ゾラリアの実力者に殺されるか・・・
少なくとも早く弁明すれば後者は免れる
「貧しい貴族」はエルセアの発展の功労者の一人で
あのシャットとも懇意の間柄だ
容疑者段階であるにもかかわらず
あの男を捕まえるためだけに無実の人間を貶めて罪をでっちあげ、
偽の犯人を仕立て上げるという汚い手段を使ってまで得た結果がこれでは
「無能」の烙印は免れないだろうが
命まで取られることはあるまい

エルセアを出てシェパードをどこか遠くにやれば、
あいつらはそれを追いかけて遠くに行ってくれるかもしれない
だがいずれにせよ、エルセアにおけるゾラリアの影響力が大きく衰退するのは確実だ
それも自分たちの失態のせいで・・・
だが、そんな事は今どうでもいい
生き延びることを考えなければ!
「ポインター、もうおしまいだ
ゾラリアの実家に帰ろう」
ハウンド団長は頭を抱えながら言った
「ははっ、ただちに!」
丁度良かった
自分が撤退を進言する前に決断してくれて
この男はまだ利用価値がある
こいつだけでも失うわけには・・・・・・・
「失礼する!!」
ノックと同時に確認もせずドーベルが入ってきた
それを咎める気力はハウンドには無い
ポインターは、呆気に取られて咎めるどころでは無い
彼女は一人ではなかった
後輩で世話をしているプードルの他に
どこの馬の骨とも分からない少女を3人連れていた
「これが、墓地にあった、説明していただく!」
そのセリフと共に突き出された身分証明の儀礼剣を見て
ポインターは「パトロン・ミネット」に王手をかけられたことを悟った

(つづく)

解説

解説:「ポインター」について
団長と実家を言葉巧みに唆して「猟犬」を作り上げた男です
「大戦」「冬の時代」の記憶を有していましたが
絶対に避けなくてはいけない勢力と記憶していた「トリカゴ」と
知らないうちに衝突してしまいました
彼の正体は次回、明らかに・・・

 

ではまた

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