Monster Makers’ Conflict-第1部第2章第1話:崩れた塔 | 回廊蝦蛄日和

Monster Makers’ Conflict-第1部第2章第1話:崩れた塔

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第1部リザレクションの序章

小説リザレクション冒頭の場所からスタートですが
「予言の塔」はとっくに崩壊後しています

そして「事故」は起きるべくして起きます

第2章:炎の魔女を探して

第1話:崩れた塔

私はリュミール、吟遊詩人だ
エルセアの騒動をどうにかして、今は「予言の塔」の跡地にいる
ここまで来るのにだいぶかかったけど・・・
塔が崩れてから相当な時間が経っているにもかかわらず
片づけられないまま、瓦礫の山は在った
近くの村の酒場で情報収集したところ
どうやら人々はヴィシュナス様を気味悪がって
誰も弔いすらしていないらしい
この薄情さを別の村とか町とかで歌ってあげようと心に決めた
特にヴィシュナス様が人気の場所で歌えば効果は抜群だろう
「!?いかん!!」
塔の片づけをしていると、ドブロヴォイ様が急に叫んだ
上を見上げて剣を構えている
「あいつは・・・!!」
ドミニクも空を見上げて叫んだ
私とベステラも空を見る
所々白い雲がある晴れた空の上に
蒼いドラゴンが飛んでいた
「リュミール気を付けて!
あいつは危険だ!!
前にディアーネさんと旅した時に襲ってきた、
『蒼龍アリクレール』だよ!!」
その名前は私も聞いたことがあった
幸いアリクレールは数度旋回した後で、どこかへ飛び去って行った
どうやらここへは偵察に来ただけのようだ
あのドラゴンは元々、ヴィシュナス様のドラゴンだと聞いている
ただ、彼女の空白期に狂ってしまい今は闇の手駒にされているそうだ
でも、もしかしたら「墓参り」に来たのかもしれない
「よかった・・・わぁ!?」
ドミニクが警戒を解き一息ついて寄り掛かった壁が崩れた
「ドミニクお姉ちゃん気を付けて、この建物の壁ってすごく脆くなってるから」
ベステラが注意しながら壁の中を覗き込む
「ごめんごめん、気を付け・・・ん、なんだこれ?」
続いて私も中を覗き込んだ
そして私たちは全員度肝を抜かれた
ドミニクが自分が開けた穴の中で無造作に瓦礫から引っ張り出したのは
上顎から上の頭蓋骨だった
「わぁ!!?」
ドミニクはそれをぶん投げる
「投げないでよ!!?」
私はダイビングキャッチして頭蓋骨を無事に確保する
この塔にある遺骨の持ち主と言ったら一人しかいない
「たぶんこれはヴィシュナス様のご遺体だと思う」
ドミニクはじっと頭蓋骨を見る
「なんだ、スケルトンかと思っちゃった」
ドミニクの警戒は、あながちやり過ぎでないことを私は知っている
『ベイオエント』と言う訳の分からない力が蔓延っている上に
ついこの前にエルセアでゾンビ騒ぎに巻き込まれたばかりだ
『スケルトン』という骨が化けたアンデッドモンスターを警戒するのもおかしくない
「え? その頭蓋骨ヴィシュナス様のなの?」
ベステラが寄って来て聞いてきた
「あとね、こっちに何かあるの見つけたんだけど?」
ベステラが瓦礫の隙間を指さした
ドミニクが頭蓋骨を引っ張り出した場所だ
確かに、他の遺骨があっても不思議じゃない
聞いた話だと、魔術師の塔や地下ダンジョンは
そこに住む主の遺体を消し去る装置でもあるという
塔は崩れ燃え、地下ダンジョンは崩壊して主の遺体を葬るのだと
でも人間の肉体と言うのは意外と頑丈で
私が前世にいた世界では「火葬場」と言うものがあって
そこで遺体を焼いて灰と骨にしていた覚えがある
「できる限り集めましょう、そしてお墓を作ってあげましょう」
「ううん、骨じゃないよ、光ってる」
私とドミニクも隙間を覗き込んだ
確かに何かが光り輝いている
球状の物体だ
「どれどれ?」
ドブロヴォイ様までも覗き込みにかかり・・・
そして、事故は起こった
「ドブロヴォイのおじさん、きついよ・・・・・」
「ドブロヴォイ様、も、もう少しそっち行って・・・」
「ぐるじ~!」
ドブロヴォイ様まで収納するスペースがあるはずもなく
私たちは隙間にぎゅうぎゅう詰め状態になった
そのうち
スポン!!と、良い音がして私は前のめりに転がり出てしまう
「いたた・・・!」
おかげで塔の中に入る形になった
私は輝く球体を拾い上げると隙間から出た
「その・・・すまん」
ドブロヴォイ様が謝ってくれた
私は怒っていないことをジェスチャーで示す
この人は時々こういう所がある
そしてそれは、しっかりツチラトにも遺伝していた記憶があった
「これ・・・・・水晶玉?」
ドミニクが私の手の物を見て言った
そういえば、ヴィシュナス様はいつも水晶玉を愛用していて
肌身離さずに持ち歩いていた
これが、それなのだろう
ヴィシュナス様の生前の力でも残っていたのか
主を失い塔が崩れ共に焼かれたはずのそれは
私の手の中で輝いていた
「・・・・・・・・!」
「え?」
私は誰かの声を聴いた、聞き覚えのある優しい声だ
「リュミール、ここです」
私は水晶玉を覗き込む
そこには、あの老女の姿ではなく
瑞々しく若々しい女性の姿のヴィシュナス様が映り込んでいた
*
*
*
ここは港町エルセアの近くの街道沿いの道でモンタズナの移動工房代わりの馬車の前
そこでモンタズナはグラナールから言い訳と言うか弁明と言うか
命乞いと言うかを聞いていた
モンタズナは最強の闇の魔導師だ
そう自負している
ある意味それは正しいと言えた
まず筋力の勝負になったらあのモンドールでさえ勝てないだろう
体を鍛えている魔術師はいないわけではないが、
彼ほど過剰に『筋肉を育てる』ことに固執した輩は、まずいない
その見た目はまさに魔術師と言うよりも「歴戦のファイター」ですらある
魔術師の杖が無ければ、誰も彼を魔術師とすら見ないだろう
だが、彼の筋肉は無駄ではない
まず、相手を見た目で威圧することができる
その姿を見れば、相手はまず「闇の騎士」を疑う
生憎と「闇の騎士団」はモンタズナでなくモンドールの配下だが
一時でも相手が恐れ怯えてくれれば後は闇の力でどうにでもなる
さらに言うなら、モンタズナの外見は魔術よりも
直接的かつ物理的な「暴力」を思わせるのに十分だった
それは、時代を問わず威圧として手段として有効だ
例えば法の盾も目の前で振るわれる拳から身を守る物理的防御にはなり得ない
それの前に晒される者は、瞬時に地位も名誉も権力も関係がなくなる
その時に身を守るのは自分自身以外にない
王であろうと乞食であろうと平等に例外なくそうなってしまう
「ワシに手を出せば、ただでは済まんぞ」というセリフは
『暴力』を振るわれる「その時」に防ぐことすできなければ意味が無いのだ
だがしかし魔術師と相対する場合に警戒されるのは魔術である
世界広しと言えど暴力を警戒される魔術師など彼以外にはまずいないだろう

一方で、彼の目の前で平伏しているグラナールは
怯えていた

リザレクションが始まってまだ間もなく闇のネームドも全てが復活したわけではない
魔術師どころか被支配階級に当たる戦士、
奴隷の一人ですら惜しいのが現状なのだ
その人材不足の最中にレベル4ファイターでレスラーという稀有な切り札の「アルボア」を
独断で生贄に使ってロストした挙句に
リザレクションの任務まで失敗したのだ
当たり前ながら、報告を聞いている目の前のモンタズナは大変不機嫌である
その傍にいる魔術師らしき青年は、事を見ているだけで一言も言葉を発していない
そいつは、いつの間にかそこに居て
じっと佇んでいた
そいつの気配はグラナールもどこかで覚えがあった
目にしたこともあるが、今の姿ではなかった
『擬態』だろうと、見当を付ける
どうしてこいつがここに居るのかは今はどうでもいい
今この時を切り抜けなければ、最悪拾った命を失う事になる・・・
長い沈黙の後でモンタズナは口を開いた
「グラナール、お前は一つ勘違いをしている
お前はまだ、失敗はしていない」
「え?」
グラナールは間抜けな声を出してモンタズナの顔を見た
『まだ闇の軍団は復活して間もない、自分のような人材を
失敗者とはいえ始末するようなことは無いだろう』と
タカをくくってまではいたが、怒鳴られる覚悟はしていた
「我がお前に課した仕事は『炎の魔女をこちらに引き入れる事』だ
彼の存在はまだ完全に復活してはいない
つまり、お前の任務は失敗も成功もしていない、まだ途中だ」
温情、などと言う言葉は
この筋肉魔導師にあるはずも無い事くらいはグラナールは分かっていた
つまり、失敗を見なかったことにする代わりに
任務の続行を要求しているのだ
他に使える駒が無いというモンタズナ派の人材事情も響いているだろう
だが、こんな幸運は二度とは無いだろう事もグラナールは理解していた
モンタズナは、そんなに甘い魔術師ではない
「ここに、トリカゴの将であるガマグチヨタカ准将がいる
彼を失われたアルボアの代わりにお前のパーティーに加えると良い」
そこで初めて佇んでいた男は口を開けた
「よろしく、お願いします」
丁寧にそいつはお辞儀した
言葉がどことなくたどたどしい
「あなたの事は、同胞から聞いています
幾度も契約を交わし、我々をこの地へ
誘う手助けをしてくださった、と」
グラナールは目の前の奴が『どこのどいつか』を
おおよそ察した
時々いる、召喚されたのでなく自ら世界にやってきて
気ままに動きまわる類の怪異だ・・・
「そういえば、アルボアさんを、『あの御方』へ、
生贄に捧げられた、とか?」
その言葉と、同時に・・・
ヒュン!
風を切る音と共に『ガマグチヨタカ』の体から
『何か』が飛び出してグラナールの足元に刺さった
地面に突き刺さったソレが『植物のツタ』のようなものだと
グラナールは認識した
「・・・次、無い、ですから・・・ね?」
ソレを引き抜きながらソイツは続けた
グラナールは壊れたどこかのオモチャのようにただ頷いた
刺さった場所にあった石が砕け割れていた
アレは人体を容易に貫通する威力はある
そんなものを食らえば致命傷は避けられないし
当たり所によっては即死だろう
アルボアを失った今は肉の盾はこの場にはいない
「しかし准将、アルボアをどうするつもりなのだ?
魔術師でないとはいえ貴重な戦力だ
我が軍から失う事は我としても避けたいのだが?」
キョトン、と言った感じの表情をガマグチヨタカはした
少し考える仕草をして、もじもじしながら
言葉を発した
「目的は・・・・・・婚姻、です」
「「は?」」
主従二人の魔術師は思わずハモった

(つづく)

解説

解説1:ヴィシュナス
小説「リザレクション」の扱いから察するに
こういう状態ではないかなと想像して描きました
リザレクションエイジの様子から察するに
遺体放置状態なのは彼女だけではないと思われます
当然ながらそれは
ベイオエントの尖兵を増やす手助けになってしまうわけですけど(汗)

解説2:アルボア
まだ魔界に囚われている状態です

解説3:グラナール
小説リザレクションで「炎の魔女を味方にしろ」と言われながら
「炎の魔女の復活の阻止」をしでかしていました
アルボアさんを失った上に盛大に敗北したことで
今回怒られに来ています

ではまた

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