Monster Makers’ Conflict-第1部第2章第4話:囚われたルフィーア | 回廊蝦蛄日和

Monster Makers’ Conflict-第1部第2章第4話:囚われたルフィーア

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第1部リザレクションの序章

公式ネームド『ライア』のお話をしますが
本人は出て来ません

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第2章:炎の魔女を探して

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第4話:囚われたルフィーア

「弟子からの連絡です」
ガマグチヨタカ准将はグラナールとセシリアに
部下からの通信で得た情報を渡した
「『ネオ・フェニキス』とやらが引っかかりますね」
グラナールの言葉に准将は頷いた
未知の勢力がいたという話は想定外である
しかもその構成員はケンタウロスだと言う
グラナールは、正直そいつらと対面するのは御免だった
アルボアと言う「盾」は今はいない
そして合流した准将はソレをもう許さないだろう
治癒師セシリアはアルボアの代わりにはならない
肝心の准将は・・・信用するのは危険と言えた
既にグラナールは彼にとてつもない『恨み』を買っている自覚があった
戦闘に突入したら『誤射』される可能性が大いにある
「あなたのお弟子さんにそいつらを片付けていただくのは、いかがでしょうか?」
グラナールはダメ元で提案してみた
このメンバーでの戦闘は極力避けたい
「そうですね、そうしましょう
あの子にも良いストレス発散になるでしょうから
ついでにその提案に付け足しですけど・・・
あの子たちに暴れてもらっている間に我々で目的を達成しましょう
最初から陽動で動いてもらっているので」
グラナールはその案に賛成をしておいた
准将は司令官なだけあって作戦立案は優秀だ
ひとまず
すんなりと意見が通った事にグラナールはほっとした
*
*
*
私はリュミール、吟遊詩人だ
ディアーネさんと共通の友人であり恩人のルフィーア
そしてベステラの友人のルフィールちゃんを助けるために旅をしている
ついでに、つい今しがたキャンプを襲ってきた盗賊たちをノしたばかりだ
「ね~、この人たち盗賊にしては変じゃない?」
ドミニクは顔面を思い切り凹ませて気絶している男を見下ろしながら言った
確かに、服装は盗賊にしては小奇麗だ
武器も剣や斧はともかく、他は鍬に鋤といった農具ばかり
あとプレートメイルすら付けていない
まるで農村の村人のようだ
「とりあえず縛ってアジトの場所を聞きましょうか」
盗賊団のアジトを襲うのはドブロヴォイ様が帰って来てからでも遅くは無いだろう
ひとまず安全を確保するのが先だ
「ベステラ、狼煙を上げて」
ベステラは頷くと、あらかじめドブロヴォイ様から渡されていた煙弾を
焚火の中に入れた
*
*
*
ドブロヴォイは村人たちから聴取を終えた
まず、この男たちは村の者で
ドブロヴォイの見立ての通り真っ先に逃げ出した連中だった
ただ、それは森に逃げた村人の誰にも共通して言えることで
彼らは避難の際にまだ家の中にいる村人には何も告げず
大声で知らせながら逃げる事すらもせず
他者を押し除け踏み越えてまで我先にと逃げ出したそうだ
その結果、このあたりの家々と
少女レイを含むそこの住人、逃げ遅れた者たちが犠牲になった
そしてレイは『ライア』という『魔物の子』の親友であり
彼女が追い出された後も慕っていたため
ほぼ村八分の状態だったという
「一つ聞いてよろしいかしら?
その『ライア』と言う子は何をしたのです?」
村人たちは顔を見合わせた後で口を開いた
「魔物や動物と話をしているのが目撃されました」
「それだけでなく、耳がエルフのように長いんです」
「みんな気味悪がって・・・」
キーラは肩を竦めた
「質問の意味が分かっておられないようですわね?
わたくしはその子が『何をして追い出されたのか』を
聞いているのですわよ?」
今度は村人たちは顔を見合わせ押し黙るだけだった
「”沈黙もまた答え”、とは
わたくしの師匠の言葉でもありますわ」
キーラの言葉にドブロヴォイは頷き
腕組みをしたまま、じっと村人たちを見据えた
それだけで相当な威圧感がある
男たちは竦み上がった
『つまり、何もしていない少女を外見だけで決めつけて
追い出したという訳か!』
と、今すぐ怒鳴りつけたい衝動をドブロヴォイは堪えた
こいつらを怒っても始まらない
聞きたい事がまず一つあった
「赤紫のウィッチロウブの少女を見たことがあるか?」
脅しはもう十分だろうと判断し、ドブロヴォイは本題を切り出した
「もしかして、あの魔女っ子の事ですか?」
男の一人が口を開く
「そうだ、我が友の大切な友人だ
・・・よもや、狼藉を働いてはいまいな?」
男たちは首を横に振った
「い、いえ、乱暴など・・・」
「ただ、伝承の大罪者に似ていたので・・・」
「納屋に閉じ込めているだけです」
ブチっと、今度こそドブロヴォイの中で何かがキレた
「それを狼藉と言うのだぁ!!!!!」
男たちが転がる程の怒声をドブロヴォイは放った
『ここまでとは・・・!』
地べたに額をこすり命乞いを始めた村人らを見ながら
ドブロヴォイは考えた
リュミールらと出会うまで、人々の堕落を見た
悪化を見た、利己主義の台頭を見た
1000年という冬の時代は『大戦』の傷から世界が癒えるのに必要な時間だっただろう
しかし、そこに生きる人々は生きる余裕も無くして行った
喰うに困って盗賊になるものなど今では珍しくも無い
村全体が旅人を襲う盗賊と化した例に遭遇したのも一度や二度ではない
正義が嘲笑され悪がもてはやされる・・・と言うのはまだ聞こえが良い方で
あの闇の軍団ですらも鼻白むような醜悪が世界のあちこちで起きている
『この村はまだマシな方とは言え・・・』
「ドブロヴォイ殿、あれは?」
ドブロヴォイは思考を中断し、キーラが示した方角を見る
リュミール達に緊急時に使うように指示した狼煙が上がっていた
「・・・おい、あっちには私の仲間が居るはずだが
貴様ら何をした?」
その方角を一緒に見て男たちが絶句したのを
ドブロヴォイは見ずに背後の気配で感じ取り
質問を投げかけた
「私はケンタウロスを討った事を後悔しつつある
よもや、あちらが正義で貴様らが悪だったのではと
疑いを抱きつつある・・・」
この言葉は半分は本音だ
武装集団や魔物から襲撃を受けた村を助けた事は幾度もあった
その理由の全てでないとはいえ
『村の方から手を出して報復を受けた』と言うパターンは少なくない
助けたことを後悔したことも1度だけではなかった
それだけでもやり切れぬのに
時には大きなリスクを背負い自分の命も危うくなったこともある
「め、滅相も御座いません!!」
ドブロヴォイは相手に聞こえるよう大きく嘆息した
「向こうに行った連中は諦めろ
お前らには案内してもらうが・・・・・・
成り行き次第では私だけでなくレオスリックを敵に回すことになると心得よ」
これも嘘ではない
リュミールはレオスリックの王女ディアーネの友人だ
彼女がこんな目に遭ったと知れば・・・・・・・
軍を回すことは無いだろうが、王女が暴れて
軍隊に蹂躙された方が遥かにマシな被害を叩き出す可能性もある
彼女が本気で暴れでもしたら、弱い者を踏みにじる事しかできない連中には
ひとたまりもないだろう
「キーラ、悪いがあちらを見て来てくれ」
「まったく、このわたくしをコキ使うなんて罪深いですわよ」
そう言いつつもキーラは狼煙の上がった方に歩いて行った

(つづく)

解説

解説1:『誤射』
戦場における「イヤな上官」の死亡率は国家勢力問わず高いものです
どういうわけか背後から撃たれて死んでいる事もしばしば

解説2:まるで農村の村人のようだ
冒険者=聖人君子ではありません
=腕っぷしが強く荒事に慣れている旅人、なのです
リュミールたちはここまで戦闘経験をそれなりに積んでいるので
村人では勝てません
まして、盗賊と思われた上で迎撃されています
命があるだけマシと言えるでしょう

解説3:『ライア』
この時点ではまだドラゴンは手にしていません
どっかで旅をしています

ではまた

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