Monster Makers’ Conflict-第1部第2章第11話:<エピローグ>覚醒の旅路へ | 回廊蝦蛄日和

Monster Makers’ Conflict-第1部第2章第11話:<エピローグ>覚醒の旅路へ

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第1部リザレクションの序章

今章最終話です

第2章:炎の魔女を探して

第11話:<エピローグ>覚醒の旅路へ

私はリュミール、吟遊詩人なのに『骸騎士』という
とんでもないアンデッドと対峙している
前に団長から聞いたことがあった
闇の軍団へ与した実力のある戦士の中には
このようになって死後も闇の軍団に使役され続ける事がある、と・・・
それが本人の望みなのか、あるいは闇の軍団が勝手にやったのかは分からないけど
通常のスケルトンとは比較にならない奴と言う事は分かっている
「グフフフフ・・・・・・・」
リッチのソンチョは笑う骸騎士の後ろに回った
「さぁ、やれ!!」
骸騎士は言われた通り剣を振るった
ソンチョの首がコロリと床に転がる
「は・・・?」
何が起きたか理解できないという顔で固まる
その頭を、骸騎士は踏みつけて潰した
残るソンチョの体も塵になって崩れ落ちる
「こいつ、仲間を・・・?」
「彼はそうは思っていませんわよ」
思わずつぶやいたドミニクへタチヨタカはそう言うと、私たちから離れる
「大義でしたわ、骸の騎士
あなたの働きは報告しておきましょう」
骸騎士は、タチヨタカに騎士の礼をすると
私たちの方に顔を向けた
「そう、分かりましたわ・・・
ドブロヴォイ殿、彼は”闇の戦士”としての戦を望んでいますわ」
タチヨタカが告げる
「分かった
・・・ドミニクたちは、どうする?」
ドブロヴォイ様の問いかけに
ドミニクは顔を引き締めて頷いた
私も頷く、そして一連の出来事にも納得した
『骸騎士』はただのスケルトンではない
元々は闇の軍団に与したとはいえ、誇りある戦士なのだ
だから、その心は死んだ後も消える事は無かった
あのリッチは自分の力を過信し過ぎて
『骸騎士』の心を理解せず、無理に使役をしようとして自滅したのだ
「ドブロヴォイ様、彼に転生の機会を」
ドミニクが珍しくモンクらしい言葉を言った
「そうだな、できればまた会いたいものだ
次は、互いに生きている”死すべき種族”として、な」
私はリュートを構えて歌った
ドミニクが飛び出し拳を振るう
ドブロヴォイ様が彼女の盾になり骸騎士の剣を止める
私は歌いながら骸騎士に誓った

私は彼の名前も生前の姿も知らないけれど
邪悪なリッチの支配すらも跳ね除けた
誇り高き闇の戦士は、今この時に確かに存在したのだ
私たちには彼を解放する事しかできない
だからせめて、この戦いを詩にして語り継いでいこう、と



「お前はどうする?」
ドブロヴォイ様は戦いを見届けたタチヨタカに聞いた
これは単に『この後どうするの?』という意味だと思う
タチヨタカはすでに人の姿に戻っている
骸騎士とは仲間の関係でも
彼の意思を尊重して、敢えて手を出さなかったのだろう
だから、彼女がこの期に及んで戦いを挑んでくるとは考えられない
「わたくしは、もう少し旅を続けますわ
闇も光も再生が途中の今くらいしか
自由に動き回れそうにないですもの」
タチヨタカはそう言うと、闇の渦と化して消えた
どこかへ転移したのだろう
*
*
*
リッチが倒れる少し前
ルフィーアが眠る小屋でベステラとリュリィは
レイの看病もしながら仲間の帰りを待っていた
二人ともリュミール達の勝利を疑っていない
特にベステラにとってリュミールは
幾度も命を救ってくれた姉であり彼女のヒーローだから
自分を残していなくなるということ自体を考えたことが無い
外ではシャニーとクロワルースが見張りをして守ってくれている
「ピノワールじゃない、どうしたの?」
急にシャニーが驚いた声を出した
何かが落ちた音の後に少女の声が続いた
「時間が無いの、通して・・・」
リュリィは出入り口のカギを外し戸を開けた
「ピノワール、お姉ちゃん・・・?」
ベステラはリュリィたちの知り合いか・・・と安心しかけたものの
リュリィの声色から不安を感じ取り
思わず入ってきた少女を見た
赤毛の、リュミールと同い年くらいの少女は
虚ろな目をしてフラフラと歩いてきている
違う、歩き方がおかしいのだ
まるで、足を怪我している人間のような歩き方だった
出入り口の外には、ナイフが落ちている
「思い通りになんて、させるもんか・・・」
倒れかけた少女を思わずベステラは支えた
「あ、ありがと・・・」
良く知る姉よりも豊満な体に抱きしめられたものの
その体温の異常な低さをベステラは感じた
まるで・・・・・・・
「お姉ちゃん、体・・・・・・」
「ごめん、説明している時間は無いの
あの、魔術師のお姉ちゃんのところに行くの手伝って・・・」
ベステラは察して、言われた通りにした
ピノワールはルフィーアの傍に歩み寄る
「アイツも、ここまでは予想していないでしょ・・・」
ピノワールは自分の服の胸元を手で引っ張り裂いた
ベステラは目を見張った
大きな傷口が開いていた、しかし血は流れていない
中はすでに乾いている
まるで、ずっと前に死んだ腐敗していないだけの肉体のように・・・
ピノワールはベステラの視線を感じながら
自分ですでに作った胸の傷口から何かの宝玉を取り出した
「ピノワール、あなた、まさか・・・」
シャニーも、宝玉にもピノワールの手にも
全く血液が付着していない事に気付いた
つまり、すでにピノワールは・・・
「ルフィーア、あなたを解放するわ
代わりに、あいつを・・・私を殺したリッチを
焼き尽くして・・・!」
宝玉をルフィーアの胸の上で握り潰すと
その呟きを最期に、少女は塵と化して崩れた
「ピノワールお姉ちゃん!!」
リュリィが大きな声を出して駆け寄るのと
ルフィーアは同時に起きた
ゴン!!!!
「リュリィ!!?」
「いたた・・・・・・・?
あなたたち、だれ?」
かつて『炎の魔女』と呼ばれた少女の転生は
目を覚ました
その前ではピノワールだった塵の上に仰向けになる形で
リュリィが倒れて目を回している
「ルフィーアお姉ちゃん、よく聞いてね」
ベステラはルフィーアの目を見つめながら
落ち着いて説明を始めた
クロワルースは慌ててリュリィに駆け寄ろうとして
元ピノワールで滑って転ぶ
「ピノワールのお墓作りたいから、あまり暴れないでほしいのだけど?」
一連の出来事で幼馴染の死を悲しむ涙がすっかり引っ込んだシャニーは
呆れ顔で言った
*
*
*
骸騎士を弔った後、
村人たちにはドブロヴォイ様が事の顛末を説明してくれた
そして、シャニーに連れられて元の村長さんが戻ってきた
アンデッドに狙われたところをディアーネさんたちに助けられ
身を隠していたそうだ
アンデッドと言うのは、あのリッチの手下だろう
村人の中にもそれはいたらしく、リッチが倒れた直後あたりで
村人が何人か苦しみながら塵と化して崩れる事件が起きたらしい
「ワシが戻ったからには、もう狼藉など許さんよ」
元の村長さんはレイとライアの親代わりの存在で
彼は実の娘のように二人を育てていたそうだ
なのでライアの追放を止められなかったことを後悔すると同時に
村を守ろうとして戦った彼女を追い出した人々には
内心腹を立てていた
そして今回の件で彼は堪忍袋の緒を切った
リッチに加担し悪事を働いていた村人を
ドブロヴォイ様の協力で捕らえ、追放か苦役かの選択を与えた
争いで荒れ果てた村の修復が主な作業になる
その後はずっと、工事や雑用に無償で使われることになるのだそうだ
ごねる村人は居なかった
今のご時世では『追放』は実質死刑だ
冒険者でもないただの村人が装備を渡されただけで生きていけるほど
甘い環境ではもう無いのだから

そして・・・・・・・
ルフィーアは無事に目覚めた
ベステラたちの話では、ピノワールと言う少女が
命と引き換えに目覚めさせてくれたらしい
話の内容から、あのリッチに手下にされていたアンデッドのようだけど
骸騎士同様、あの外道は少女の心までは自由にできなかった
彼女の中に封じていたルフィーアの魂は
彼女自身が身と引き換えに解き放ったのだ
彼女が願ったリッチの滅亡は、あの骸騎士が成し遂げた
少女は奴に一矢を報い
骸騎士は知らずして「騎士」としての働きを為していたのだ
ピノワールたちはリッチに勝ったのだと私は確信している
私はピノワールの事も詩にして語り継ぐことを決心した
*
*
*
「どうしたものか・・・」
グラナールは悩んでいた
准将殿はアルボアの転生を確認するとアリクレールを連れて
さっさと行ってしまった
(アリクレールと離れる事にすごく名残惜しそうなセシリアはともかく)
あの狂ったドラゴンのお世話から解放されて
ホッとしたところで・・・
当初の目的を今更ながら思い出した
モンタズナ様は自分に対して『アルボアを連れ帰れ』と命じた
つまり、アルボアを連れ帰るのは自分でなくてはならないのだ
このまま准将が連れて帰ったら任務失敗になる可能性がある
どうにか取り成してくれれば良いのだが・・・
「グラナール様、准将殿を追いかけなくて良いのですか?」
「(☆Д☆)」
セシリアの言葉でグラナールの頭に状況打破のアイデアが沸いた
『命令遂行のために准将と行動していたが
はぐれてしまい、仕方なく別行動をして命令完遂をしようとした』
こう言い訳すればいい
幸い、モンタズナは固執する性格では無かった
一度命令を発しても興味が無くなればどうでもよくなる
その飽きっぽい性格にグラナールは幾度となく救われていた
ネームドの転生が続いている今、アルボアの穴も埋まっているかもしれない
そうとなれば・・・・・・・
「そうだなセシリア、准将殿を追いかけつつ
モンタズナ様や准将殿の役に立つことをしよう!」
今は力を付ける絶好の機会だ
『魔王解放の褒美』はグラナールへ、さらなる力を与えてくれた
『召喚税の大幅な軽減、あるいは免除』
これからは生贄一つ、あるいは無しで悪魔を使役できるだろう
あのデーモンロードすらも・・・
*
*
*
ネオ・フェニキスの皇子は船の中で目を覚まし兵士から報告を聞いた
聞いた後で兵を下がらせ従者にも用を言いつけ
寝室に一人きりになる
「私は、助けられたというのか
『裏切りの民』と、それに与する者どもに・・・!」
彼女たちはドラゴンと戦う決意をしていた
これ以上の犠牲を出さないように
敢えて乱暴な手段を用いて
皇子を気絶させ、帰らせたのだ
・・・と、皇子は勝手に解釈した
「この借り、必ず返すぞ・・・!」
皇子は心の中で誓った
*
*
*
あのソンチョというリッチは
偏見でピノワールをすでに殺めた上に
アンデッドにして使役していた
ピノワールを見て一目でそれを見抜き悟った彼女は
リッチへの復讐を即座に決意した
『敵対すればただでは済まない、最低でも重傷を負う羽目になると
相手に教え世界へ宣伝することは生存戦略で最も肝要』とは
師匠の教えだ
しかしピノワールはそれを自身で行う事を希望し
また自身の尊厳のための終わりを望んだ
「生きた肉体で愛し合いたい」という
彼女の願いをタチヨタカ=キーラは
無下にはできなかった
彼女がせめて本懐を果たし
運命へ抗った証拠を、生きた証を残せるように
力を貸し与えるしかできなかった事を
運命への無力さを妖精は歯噛みした
「・・・ピノ、わたくしは
諦めませんわよ
運命が、神があなたを見捨てても
必ず、あなたに幸せをあげますわ
わたくしの、この手で」
*
*
*
気が付いた時は、転生していた
場所はどこかの奴隷商の檻の中だった
あたしは鎖で鉄球につながれていた
「ジャドド、リヅベラギダ(やっと見つけました)」
檻の外に立っていた男がこちらを見て
そう言った

 

(第2章おわり)
(第3章へ続く)

 

<解説>

解説1:骸騎士
ただ強いアンデッドというだけでなく
生前は闇の騎士ないし戦士だった、ということで
この流れにしました
ソンチョについても『アンデッドを制御しきれず逆襲される』という
最期は決まっていたので、手下を誰にしてやらせるか考えた結果
こうなりました

解説2:【悲報】主人公PTに魔術師が今までいなかった
↓作者も今頃になって気付きました(汗)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ドブロヴォイ:ヒーロー(ファイター)
リュミール:バード(シーフ)
ドミニク:モンク(プリースト)
ベステラ:クラウン(シーフ)

newクロワルース:クレリック(プリースト)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
↑ルフィーアさん、お世話になります(汗)
彼女はいつまでもくっついている人ではないので
誰か魔術師を追加予定

ではまた

 

 

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