Monster Makers’ Conflict-第1部第2章第5話:思わぬ再会 | 回廊蝦蛄日和

Monster Makers’ Conflict-第1部第2章第5話:思わぬ再会

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第1部リザレクションの序章

色々とぶっ壊れます

第2章:炎の魔女を探して

第5話:思わぬ再会

私はリュミール、吟遊詩人だ
人生最大の危機をたった今迎えていた
「ドミニク、私が時間を稼ぐからベステラをお願い
遠回りしてドブロヴォイ様を呼んできて!」
ドミニクは私の様子に頷いた
私は不安そうに見つめるベステラを撫でる
「大丈夫、今度も切り抜けて見せるわ
愛してる」
私はベステラを抱き締める
「お姉ちゃん・・・」
私は何か言いたそうにしているベステラをドミニクに渡した
「さっきから一体何をしていますの?」
ヤツはすぐ目の前にいる
「見て分からない?」
「・・・今生の別れの挨拶に見えますわね?」
ヤツは呆れ顔で返した
私とヤツは顔見知りだ
私は何度も死んでいるけど、ヤツは違う
そもそも殺せる奴がいるとしたら、それは魔王の類だろう
『タチヨタカ』、かつてブルガンディを中心に暴れていたガマグチヨタカ司令官の一番弟子
実力で言えばアイツに匹敵する強敵だった
しかも、『大戦』でコイツと戦う事になった理由は・・・
「・・・あなたが私を憎んでいるのは分かってるし
それも当然だと思う
あなたの師匠が死んだのは私たちのせいで
今この場にいる仇は私だけ・・・
覚悟は、できているわ」
私はリュートを構えた
「ドミニク、行って!!」
私は後ろを見ずに叫んだ
ベステラの顔を見たら、覚悟が鈍ってしまうから
「ちょっとお待ちなさい、何の話ですの?
わたくしは別にあなたたちを殺しに来たわけじゃありませんわよ?」
頭を抱えてため息をつきながらタチヨタカは言った
「え」
ドベシャア!!と背後で派手な転倒の音がした
「ドミニクお姉ちゃん!!?」
どうやらドミニクが倒れたらしい
「・・・一応、バカ師匠はピンピンしていますわよ
まぁわたくしも冬の時代のあの時は戦死を確信してたから
仇討ちなんてガラにも無い事しましたけど」
生きてたんだ、アイツ・・・
空母が沈んだ時に
艦橋は爆発していたし、あの時あそこに居たのを窓越しに見てたし
何なら真下からの爆風で膨れた床と天井に挟まれて
潰されて焼かれていたとこも・・・
「ベステラちゃん、私はもう駄目、一人で逃げて・・・」
え、ちょっと
後ろで何があったのかすごい気になるんだけど!?
「モンクのお嬢ちゃん、凄い出血ですわね
あの鋭い石に頭をぶつけたようですわ」
私は後ろを向いた
「ごめんリュミール、私じゃ逃げきれなかった
悔しいな、妹分一人守れないなんて・・・」
ドミニクは額から血を流しながらうつ伏せに倒れている
ベステラはそんなドミニクの手を握っていた
「わたくし何もしていませんわよ?」
ものすごい溜息をしながら彼女は言った
「騙されないで、そいつは術を使うよ
それで私、やられちゃったんだ」
そうだっけ?
それなら目の前にいる私が真っ先に狙われてるだろう
狙われるだけの恨みも買ってるし
「濡れ衣ですわ、冤罪ですわ!!
あなたがドジ踏んで転んだ上にそこの石に頭ぶつけただけですわよ!?
なんでもかんでも人のせいにしないで下さいませ!!」
うん、どう見てもタチヨタカが正しい
あとドミニクは出血酷いけど、たぶん大した傷じゃないだろう
「仕方がありませんわね」
タチヨタカは私を通り過ぎてドミニクのほうに歩いて行く
ドミニクはゴロンと仰向けになって大の字になった
「・・・私を、殺していいよ
でもベステラちゃんには
この子には手を出さないで・・・」
ビキ#と言う音がタチヨタカからした
「いい加減に話を聞きなさいまし!!!」

ゴズ!!と音を立ててタチヨタカの右手手刀が垂直にドミニクの顔に刺さる

「うぎゅ!?」
ドミニクは地面に後頭部をめりこませて目を回してしまった
この隙にと、タチヨタカは彼女に治癒の術をかけて傷を治してくれた
「本当にごめんなさい、起きたら私が言っとくので・・・」
ベステラはタチヨタカに謝罪した
「苦労していますわね、こんなに小さいのに」
タチヨタカはベステラに同情している
私も申し訳ない気持ちでいっぱいだった
・・・原因は100%私だけどね!
「わたくし、ドブロヴォイ殿に頼まれて
あなたたちの様子を見に来ましたの
・・・心配するまでもなさそうですわね」
縛られて項垂れている男たちを見てタチヨタカは言った
この連中は近くの村の村人だそうだ
情報屋でもある吟遊詩人の仕事をしているので
酒場で村そのものが盗賊と化した「盗賊村」の話を耳にすることもあったけど
まさか、自分が襲われる側になるとは思わなかった
それも、レオスリック行きの港町の近くで

ここは地図にも載らない南の街道の延長の道の先あたりの
闇の勢力の拠点として有名な『ダンシネインの森』の迂回ルート上の
ウルフレンドの地図でいうと南東の端っこの方になる
南側の断崖が途切れてくれるから、港があるのだ
闇の勢力はまだ復活が本格的ではないはずだから
迂回ルートまで手を出す余裕はないだろう
こいつらは野良盗賊の可能性の方が高いと言えた
「あなたの格好を見たら吟遊詩人だと分かりそうなものですけどねぇ
なぁんで襲ってしまったのかしら?」
縛られた男たちはあからさまに動揺し始めた
吟遊詩人は昔から「情報の伝聞」を生業にしている
文明が発達する以前の昔や文明崩壊後の今
再びその地位に返り咲き
各地を回って情報を酒場で歌と共に伝える私たちは
あちこちでもてはやされている
『知られたくない情報』とかを
うっかり見聞きするとかでもない限り
危害を加えられることは、まず無い
例え盗賊や悪漢であっても『吟遊詩人を敵に回す』をしでかすのは
頭が足りないバカくらいだ
ソレは自分たちの評判を最悪にするに等しい
どこも信用してくれなくなるし、仕事も来なくなる
盗賊団だった場合は、いつの間にかアジトの場所も名前も顔も知れ渡り
討伐されて終わりだ
「こいつらは引き取っておきますわ
あなた方はレオスリックの方々が来た時のために
ここで待機していてくださいな」
「な・・・レオスリックだとぉ!?」
タチヨタカの言葉に村人の一人が声を上げる
「ん・・・その様子だと、ディアーネ王女殿下の暗殺を目論む連中では
少なくともない様子ですわね?」
こいつらを精神的に痛めつけるためのハッタリだと
今の言葉で確信した
正直こいつらにはムカついているので訂正は敢えてしないでおこう
ディアーネさんはレオスリックの正真正銘、本物の王女で
超有名ネームド転生者だ
レオスリックはメルキアの影響を受けない完全独立国家だ
と、言うのもウルフレンドの南端にあたる
ベング高原南側の東西には険しい断崖絶壁が広がっている
その南の少し東寄りにあるレオリックはこの地理的条件に守られていた

レオスリックに行くには
断崖絶壁の切れる東西どちらかの端っこに行ってから
長距離移動に耐えることができる大きな船で航海しなければならない
海路が確立していると分かっているのは、ここの東端の港からのルートだろう
そんな手間がかかる上に島国という立地
さらにジャングルがある程度に自然豊かということもあって
メルキアを含むどの勢力も食指は動かない
この立地条件のため、かつて定期的に到来していたオーク軍との戦争とすら
レオスリックは無縁だった
ディアーネさんをはじめとしたレオスリック出身ネームドが居なければ
もしかしたら存在すら知られていなかったんじゃないかと私は思っている
ディアーネさんならあの崖を自力でよじ登るくらいしそうとは言え

キーラはすかさず続けた
「彼女が王女殿下のご友人で、ブルガンディでは一緒に行動していた事も
御存知ないようで・・・」
タチヨタカの言葉に、村人たちは私を見て
青ざめ震え始めた
「タチヨタカ、どうしてそれを・・・?」
タチヨタカは嘘は言っていないけど・・・・・・
私は彼女へその話をした覚えなど無い
「『トリカゴ』の情報網を甘く見ないで下さいまし」
そういう事か、と私は納得した
エルセアに拠点を置くグループが居たように
ブルガンディにもそういうグループが居たのだろう
私はかつて彼らに目を付けられてもおかしくない活躍をした覚えもある
でも、死んでるんだからいい加減に許してくれてもいいんじゃないの?
と愚痴りたい
死んでも許さないと言われる事をしただろと言われたらそれまでだけど
「さ、あなたたち行きますわよ」
私とタチヨタカの会話で、彼らは私たちをどう見たのか・・・
ひたすら私に頭を下げ
「お許しを!」「知らなかったんです!」「死刑だけはどうか・・・!」と
口々に泣き叫びながらタチヨタカに引っ張って行かれた
恐らく相当な誤解をしているだろうけど
私は敢えて黙ってタチヨタカに合わせることにした
少なくとも私たちは嘘は言っていない、うん
「いたた・・・」
丁度そのタイミングでドミニクが起き上がる
「お姉ちゃん、大丈夫?」
ベステラが心配そうにのぞき込んだ
「うん、大丈夫だよ・・・・・」
ドミニクは言葉の途中で黙ると小石を拾い上げた
そして素早く周囲を睥睨し・・・小石を投げる
「・・・そこだ!」
「ぎゃん!!」
ドミニクの手から放たれた小石は、タチヨタカが去った方角とは別の草むらに入った
直後に中から少女の悲鳴と鈍い音がした
私とドミニク、ベステラは顔を見合わせる
そして、一気に青ざめた
「な、ななななな、なにしてくれてるのよドミニク!!」
「だ、だって、さっきからじっとこっちの様子伺ってたから
てっきり新手の盗賊かと思ったんだもん!!」
ドミニクも、まさか様子を伺う相手が女の子だとは思わなかったらしい
「女の子の声だったよね・・・大丈夫かな?」
ベステラは草むらに駆け寄って行く
事故とはいえ、結構な速度で小石は飛んでいた
何事も無いと良いけど・・・
「お姉ちゃん大丈夫!?
しっかりして!!」
ベステラは彼女よりも年上の少女をそこから引っ張り出していた
見た目は私と同い年くらいで、金髪を短く切ってポニーテールにしている
おでこが赤く腫れあがっているのを除けば端正な顔立ちだ
露出している腕と脚は、ほっそりしているけど鍛えられた筋肉が見て取れた
少女の腰には剣が鞘に収まった状態でベルトに結わえてある
緊急時だから召集された村娘の義勇兵と言う感じじゃない
これは農作業で付いた筋肉でもない
長い事、戦士として鍛錬をしてきた者の肉体だ
服装も、着慣れている感じがあった
「あ、あの・・・」
もう一人、草むらから少女が顔をのぞかせる
こちらは先ほどの子よりも一回り小さい
赤いカチューシャをしていて
茶髪をツインの三つ編みにした少女だ
こちらの少女は頭をはじめとしたあちこちに包帯が巻かれていた
顔や腕にも手当された跡が見られた
その腰のあたりに、おっかなびっくりと言う感じで
ベステラと同い年位の金髪の女の子がしがみついている
「あ、あれ・・・リュリィちゃんにレイお姉ちゃん?」
ベステラは声を出した
「ベステラちゃんなの?」
リュリィと呼ばれた幼い少女はレイと言う少女の陰から顔を出す
ベステラは二人に駆け寄った
「久しぶり!」
そして二人の手を取りぶんぶんと振る
ものすごいコミュ力だ、正直凄いと思うし尊敬に値する
ベステラは一座の興行先で友達をいつも作っていた
向こうが忘れていてもベステラは皆の顔と名前を憶えている
ウルフレンドのあちこちに彼女の友達がいる状態だから
こういう再会も時々あった
「レイお姉ちゃん、その怪我どうしたの?」
ベステラはレイという少女を心配そうに見上げた
「ま、まさか・・・私がさっき小石を投げたせいで!!?」
ドミニクはこう叫んでいるが絶対に違うと思う
手当てがされている様子から、彼女の負傷は相当前にできたものだろう
それに、小石一つでついた傷じゃないし
小石でできたとしても複数個をぶつけるとかしないと不可能だ
「ベステラちゃん、シャニーお姉ちゃんは悪い人じゃないから・・・
安心して、いいよ・・・」
リュリィと言う子は、おどおどしながら
倒れている少女を指さしつつベステラに言った
*
*
*
村長との会議がある程度進んだところで
キーラは室内へノックをしてから入った
礼儀作法は彼女の師匠の教育の賜物だろう、とドブロヴォイは思った
「あの子たちにはルフィーアの事は伏せておきましたわ」
「感謝する」
ドブロヴォイは素直に礼を述べた
ここは、村長の家
村の中でもひときわ大きな屋敷と言える規模のものだ
今は村人の避難所であり襲撃者に対抗する要塞と化している
部屋の中に居るのは二人と村長、その側近だけだ
「それではお話の続きをしましょう
ドブロヴォイ殿、わたくしの要望は通してありますわね?」
「無論だ、それとあのレイと言う少女の身柄も引き取ることにする」
レイはすでにリュミールたちのキャンプに向かった
今頃は合流している頃だろう
彼女の親しい友人も一緒だ
「本当に、あの馬どもを駆除してくれるのか?」
「ケンタウロス、だ
馬は人を襲わんだろう?」
訂正しながらドブロヴォイは頭の中で呆れ果てた
ケンタウロスは乱暴者で好戦的な輩が目につくが
中には毅然とした戦士もいる
だがしかし、この村長の態度はそんなまともな戦士すら
目を剥いて怒りを露にするのも想像に難くない酷いものだ
村人は「急に襲ってきた」と言っているが
どこまでが本当なのか、もはや分からない
先に手を出したのは村人である可能性も捨てきれなかった
軽口ならともかく馬呼ばわりは殺されても文句は言えない暴言だ
第一に、レオスリック行きの船便がある港の
目と鼻の先で騒ぎを起こしたがる軍隊など
ドブロヴォイの知る限り、まずいない
故郷への帰り道が閉ざされかねない事態のため
ディアーネ本人が確実に駆けつけるだろう
そして彼女の怒りを避けることは決してできない
『ヒューマンの傲慢は大戦から何も変わらんな!』
『大戦』の前の戦争でも
ヒューマン第一主義の台頭によって起きた悲劇の数々を目の当たりにした
あの『侵略者=トリカゴ』ですら、多種多様な人種が異なる価値観や文化を維持しながら
所属しているというのに・・・
しかし、この村が狙われた理由がドブロヴォイには分からない
レオスリックが欲しいのだとしても、近くの港町は襲われた気配すら無い
襲われたのは、この村だけだ
事前情報で王女戦士ディアーネの事を知り
彼女とのトラブルを避けるために敢えて港を襲うことを避けたのではないかと
ドブロヴォイは推測した
『つまり、この村には私が知らず奴らが知っている[何か]がある可能性がある、な』
さすがにコレはキーラには相談できない
彼女は今も『侵略者』所属で現役の軍人だ
[何か]を知れば彼女経由で『侵略者』に伝わるだろう
千年という時を経て復興の始まった世界を、また荒らされてはたまらない
「分かった、我々は自衛へ専念する
騎士殿、よろしく頼みましたぞ」
頭を下げる村長と側近たちの腹の中の黒さを
ドブロヴォイは見透かしつつ頷いた
約束が反故にされる可能性は十分にあったが
そのためにリュミール達をここには呼ばずにいるのだ
こちらから合図があれば一目散に港町に向かうよう指示もしてある
恐らくルフィーアの目的地もまたそこだろう
この村に立ち寄ってさえいなければ
今頃はレオスリックに着いていたのかもしれない
そしてドブロヴォイも一目散に逃げるつもりだった
村人が怖いわけではない
その気になれば戦闘に出てきた連中は一人で蹂躙が可能だろう
逃げるのは村人からではなく、キーラの攻撃から、だ
『敵対勢力の芽は摘むべし』が基本方針のトリカゴが
不義理を働いた相手を、例えちっぽけな村だろうと無視するわけがない
まして彼女の所属艦隊の基本方針は『報復は必ず行え』だ
本隊がいなくとも、幾度も目の当たりにしていたキーラの戦闘力はアイツに匹敵する
アイツは島一つを吹っ飛ばしたが、それですら本気の一撃ではない
キーラが暴れれば、こんな村などひとたまりもないだろう
『我々を追いかける暇も余裕も許されんだろうな』
ドブロヴォイは声に出さず一礼してキーラと共に部屋を後にした
去りながら聞き耳を立てる、さっそく村長と側近は話し合いを始めていた
「キーラ、奴らが不義理を働いたら、止めんぞ?」
その内容を聴きつつ言った言葉へキーラは肩をすくめて笑顔で返した
「あなたがわたくしに可能な最大の協力だと受け取らせていただきますわ」
「話を最後まで聞け、派手にやるならせめて我々が退避を完了するまで待って欲しい」
ドブロヴォイの脳裏には、『トリカゴ』接触初期の悲劇があった
トップに居るのがユニコーン族だからと彼らを舐め切って挑発した結果
文字通りの「消滅」をプレゼントとして受け取らされた町があった
『戦など望むところだ』と、どうせ攻めてこないだろうと強気の姿勢をした結果
宣戦布告と受け取られて本当に攻め込まれ滅ぼされた国があった
それまでのユニコーン族のイメージとはかけ離れた苛烈かつ冷酷な対応の数々は
『トリカゴ』の恐ろしさを世界中に知らしめるに十分だった
「まぁ、わたくしはあのバカ師匠の一番弟子ですわよ
そのくらいの配慮、無いと思いまして?」
キーラの返答にドブロヴォイは心の底からホッとした
*
*
*
少女はありふれた存在だった
最初の記憶は名も知られていない小さな都市の中だった
親の定かでない子として路地裏で物心つき
年上の子供たちから学んで
日々の糧を得る術を勉強する
子供の亡骸も彼女には見慣れた光景だった
そしてその死因からも彼女は多くを学んだ
武器を持った大人に手を出してはいけない
野犬は危険だ
酔っ払いは何をするか分からない
貴族にとって自分たちは虫けら同然だ
などなど・・・
「人としての当たり前の幸せ」すら
彼ら彼女らには手に届かぬものだった
幾度かの転生の繰り返しの末に
少女は体が変化する年齢まで生き延びることができた
大きくなればどうにでもできると思っていたのは甘かった
そこから先もまた「生きる」事は容易ではなかった
沼の中でどうにか沈まぬようもがくような毎日
体を売って生活することを仲間から提案され受け入れ
できるだけ長生きするという願いが
出来るだけ苦しまない死を迎えることに変化してきた
ある日
転機は唐突に訪れた
妖精のイメージとはかけ離れた禍々しい闇
それでいて優しく包んで心から愛してくれた
夜のような女性
彼女は妹分との再会を約束までしてたのに・・・

ピノワールはそこまでを夢に見て目を覚ます
ここは彼女にあてがわれた村の小屋
家具は粗末なベッドくらいしか無く地面が剥き出しになっている
この小屋が彼女の家であり村とその周囲が彼女の全てだった
やっと掴めそうだった幸せは残酷な運命が持ち去った
次に運命が用意したのは、小屋があるだけマシな少女だった
この少女の境遇も今までの自分と大して変わらない
奴隷同然の、村に何かがあれば真っ先に見捨てられ
脅威に対しての捨て駒が確定した
毒見役の少女・・・
「残酷、すぎるよ・・・」
ピノワールの中に運命に対する黒い感情が渦巻き始めていた

(つづく)

解説

解説1:シャニー
リュリィの保護者で戦闘もできる村娘
血のつながりは無いものの
リュリィとは実の姉妹のように仲が良いです
モンクとしてはドミニクの先輩ですけど
さすがの彼女も顔面への不意打ちは不意過ぎて対応できませんでした・・・
(=人=)ナムナム

 

解説2:ピノワール
ある公式ネームドの前世で前の章で死んだ娼婦ちゃんの転生
まだ「溜め」の段階
元々は捨て子で「捨て駒」にするために育てられた村娘です
記憶の引継ぎはあるもののキーラが自分を探している事に気付いておらず
キーラがそこまで想っている事も現時点では気づいていません
ついでに言うと「パトロン=ミネット」の面々には恩はあるものの
家族同然に思われていた事にも気づいていない
前世に続いて自己評価の低い子です

 

解説3:リュリィ
公式ネームド
この時はまだ「封印者」として目覚めていません
カードが出るのもずっと後(newtype)なので
しばらくはマスコット枠

解説4:レオスリックへの行き来と港の存在
ディアーネ姫がどうやって行き来しているのかを
考えて出しました&いつか出してみようと思っていました
というか、海路が無いと帰れないですよね・・・
断崖絶壁に守られた島国なので
一番楽なのは空路ですけど、文明は崩壊してるので
飛行艇のような便利なものはなく
ドラゴンライダーがパーティーに四六時中居るわけではないですし
ミリエーヌさんみたいにグリフォンを手懐けているとかならともかく・・・
(どうやって手懐けたんでしょうね彼女?)
(ロリエーンさんに至ってはカードテキストの描写見ると「アレ」を配下にしていますし)
浮遊城は言うまでもなく論外

ではまた

 

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