Monster Makers’ Conflict-第1部第2章第7話:幕間・ある妖精と少女の話 | 回廊蝦蛄日和

Monster Makers’ Conflict-第1部第2章第7話:幕間・ある妖精と少女の話

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第1部リザレクションの序章

閑話休題、キーラの過去話

第2章:炎の魔女を探して

第7話:幕間・ある妖精と少女の話

「ここが、あの子の家ね!」
家と言うかどう見ても物置小屋な建物を前に
タチヨタカ大佐=キーラは呟いた(仁王立ちで)

キーラは妖精として生を受けた
その際に属性として「闇」を持って生じた
他の属性と同じく「闇」もまた世界の属性の一つである
にもかかわらず、キーラはそれだけの理由で同胞から追われた
逃げ込んだ先は行き倒れた少女の肉体
ヒューマンの社会に混じって暮らそうと考えたものの
人里に着く前にハーピーに捕まりミッドガルダの城に連れていかれた
「コレクション」「奴隷」としての扱いの果て
彼女に飽きた魔女は他の「コレクション」と同じく
根城である浮遊城から放り出した
魔力のある肉体だったし魔女が飽きて放り捨てた本で
魔術の勉強もしていたが
高高度の高空からの落下まではどうにもできず
肉体はそれで完全に破壊され戻ることができなくなった
それだけでなく、「魔女の手下」の烙印が
泣く泣く故郷に戻った彼女に待っていた
泣きついた妖精の女王からは
「あなたにも原因がある、だから自分で何とかしなさい」
そう言われた

その一言で、彼女は壊れ納得した
そうか、最初から環境の改善を求めた自分が悪いのだ、と
だから彼女は「自分の力で言われた通りにする」ことにした
捨てられた場所に戻り破壊された肉体を喰い
力を倍増した後で仲間たちの元へ帰った

「どうしてこんなことを」
と、「言われたとおり何とかする」をした後で
予想もしなかったという目で
まるで自分が被害者であるかのような顔で
問いかけてきた女王には
「こうすべきだったと、みんなとあなたが教えてくれた」と
笑顔で答えてあげた
ついさっきまでそこは妖精の住むだけの名も無き森だった
今は女王以外は植物すらも死に絶え溶かされ
毒に汚染された不毛の地の真ん中で
「感謝していますわ、女王様
わたくしの心の枷を解き放ってくださって」
その言葉で女王は自分が何をしたのかを悟ったのか
それともキーラの恐ろしさに耐えられなくなったのか
意識を手放し倒れた

キーラは女王を敢えて殺さずその場を後にした
寄るべき土地を失った妖精の運命は決まっている
放っておいてもいずれ死ぬ
自分がしたことを後悔しながら
その時まで苦しめばいい・・・
トドメを刺して楽にしてやる義理も義務も無いのだから
キーラは生まれて初めて清々しい気分を味わっていた
自分を見下していた妖精たちの断末魔を思い出しながら
鼻歌混じりに不毛の荒野になるだけの故郷を後にした

その後で起こした異変で「師匠」と出会った
今に至るまで色々あった
宇宙にまで飛び出したり、弟分や妹分が出来たりもした
正直、故郷を滅ぼした自分ですらああはなりたくないと思える奴だけど
少なくとも彼は、あの女王がくれなかったものを
自分が欲していたものをくれた
きちんと守ってくれた、庇ってくれた
そのあたりは感謝してもしきれないと思っている
そして今度も、自分はもっと大変なのにもかかわらず
最短時間で『彼女』の転生先を探してくれた
*
*
*
その少女が拾われたのは、幸か不幸か「偶然」だった
キーラに拾われる、その時までは
「あなた、いい子ですわね・・・」
その日、彼女を買ったのは妖艶な女性だった
そういう趣味の者は珍しくもないし
彼女の客にも女性は何割かいた
しかし、その女性は明らかに違った
そもそも「死すべき種族」ですら無かった
少女は何となく見るだけで彼女が「人ではない」と分かった
そして本性を現した女性を目にしても
逃げなかった
「いいよ、食べて」
一糸まとわぬ身を腕を広げて女性へ差し出した
少女は疲れていた
だから、優しく終わらせてくれそうな目の前の女性に
そう希望した
「・・・どういうことですの?」
蛾を思わせる羽を広げて女性は聞いた
少女の運命は、そこで一変した
少女は「どうせ食べられるなら」と相手に身の上を話した
気づけば泣きながら大声で感情を露にしていた
相手が人間でないことなど関係なかった
誰でもいいから聞いて欲しかったものが
溢れ出していた
「どうせのたれ死ぬんだ、お願い
幸せな気持ちのまま、私を終わらせて」
その直後には、女性に抱きしめられていた
「あなたと私が出会ったのは、『運命』かもしれませんわね」
女性は「キーラ」と名乗った
キーラは少女を優しく撫で慰めてくれた
少女は生まれて初めて心の底から安心して眠りについた
その翌朝、少女は「宿」から去った
キーラは身請け代と「チップ」を渡したと言っていたが
女将の態度は異常なほど腰が低かった
ついでにすごく、ほくほくしていた
一体、どれだけの金額を渡されたのだろうか?
「どうして私を買ったの?」
その質問にキーラは溜息混じりに答えた
「わたくしのバカな師匠が、相手が死んでから恋心に気付いて
すごく後悔していたのを目にしたから、ですわ
用意周到さと悪い意味で相手の心を読むことは天才的な人ですけど
自分の本心までは、気づかなかったみたいですわね・・・」
聞いている途中でキーラの本意を知った
「あなたの心の闇に心底、惚れましたの
逃がしませんわよ?」
凄みのある笑顔で言われたものの、少女は逃げる気など無かった
元より行く場所など無いのだ

女性の住む家は、町の中にあった
普通の住宅、それでも少女は外から見上げるしかなかった
暖かい光こぼれる窓のある家
少女は今、その「手の届かぬ場所」の中に入った

少女にとって人生で一番幸せな日々が始まった
自分には一生縁の無いものと思っていた
温かい食事に暖かい部屋
ぬくもりのある寝床
それら全てがそこにあった
キーラは、「どこか」で働いているらしく
お金に困ることは無かった
少女はそれを追及する気など無かった
手にした幸せを壊してしまうのが怖かったのもあるが
キーラが生まれて初めて得た「家族」だという事が
少女のキーラへの依存を形成していた

「妹、ですの?」
ある日の朝の食事中に
キーラが「バカ師匠」の「子供たち」の話をした時
「家族なら孤児院に預けた妹がいる」
と、少女は口を滑らせた
血のつながりなんてない
ただ散歩中にくっついてきた
「お姉ちゃん」と甘えてきてくれただけの
乳離れしたての、捨て子だった
たった3日を一緒に過ごしただけの存在で
このまま自分と一緒には暮らせないだろうと
将来を考えて教会へ置いて行った
「これで良かった」と何故か思い出す度に自分へ言い聞かせ
教会の孤児院への道を避けるようになった
あの子がくるまっていた毛布も捨てられずにいる
そこまで言った時
キーラは溜息をついて言った
「それを先に行ってくださいません事?」
それからのキーラの動きは早かった
行方など分からない、自分と違う人生を歩んで幸せになって欲しいと
置いて行く時に祈っただけの
手がかりも何もないはずの幼児の情報を
キーラは三日としないうちに手に入れてきた
あの子はまだ孤児院にいた
その時はキーラの仲間たちや
ちょうど代替わりしたばかりの区画長「貧しい貴族」も
話を聞きつけて親身になって探してくれた

しかし、姉妹の対面は叶わなかった
「貧しい貴族」が面会の段取りの話をしに家に来た
その日、家に駆け込んできた自警団の男がいた
「話が違う」と少女には分からない抗弁をする区画長を
そいつらは拘束した
少女は区画長が悪い人のはずが無いと抵抗したが
男は少女を罵倒した挙句に殴り飛ばした
少女は頭を机に打ち付け床に背中から倒れた
自警団の男は介抱もせず区画長を引っ張って行った
放置されたまま
少女は二度と起きることは無かった
*
*
*
キーラが帰ってきた時、全ては終わった後
少女の遺体は床に放置されたままだった
冷たくなった少女の亡骸を抱えて知っている限りの癒しの術を与えた
寿命をすり減らして、もうどうしようもないと知り
キーラは泣いた
そして考えた
犯人たちを即座に毒漬けにして滅ぼしてやろうと思ったが
すぐに打ち消す
しかしそれは慈悲からでも道徳からでもない
そんなものは故郷を追放された時にすでに捨てた
闇として生まれた妖精が思ったのは
それでは足りない、という話だ
「この世界は等価交換で成り立っている」とは師匠の言葉だ
「少女の命」と「少女がこれから掴むはずだった幸せ」を奪った罪は
数分苦しんで死んだ程度では「償った」とは到底言えない
散々地獄を味わった上で本当に地獄に叩き込まれて
やっと「等しい」と言えるだろう
命乞いなど聞かない
交渉もしないし賠償も受け取らない
あの子にしたように
あいつらをただ踏みにじる事、それもできるだけ苦しめて
それだけが肝要だ
棺に抱き着くように眠り、起きて掃除をし
「狩り」に出かけ、戻ってきたらまた棺に抱き着くように眠る
それが、少女が亡くなってからの彼女の日常だった

しかし、その復讐も終わった
師匠があちこちの勢力に頭を下げてくれたのも
あれこれフォローしてくれたのも知っている
「猟犬」を追い込む裏工作も
全部、バカ師匠がやってくれた
可愛い妹分だった少女の死に、師匠も仲間も激怒していたのだ
本隊から切り離されているとはいえ
精鋭特殊部隊も兼ねる司令官と幕僚たちが本気で相手をすることになったなど
「猟犬」たちは最期まで知らなかっただろう
たった一人の娼婦の少女が、本体から切り離され行動方針を見失っていた彼らに
どれだけの安らぎを与え、また妹分として愛されていたか
理解すらできなかっただろう
知ったところで『パトロン・ミネット』は降伏も命乞いも聞くつもりはない
奴らは喧嘩を売ってきたのだ、それも『身内に手を出す』という下劣極まる方法で
各員の裏工作と「猟犬」たちの日頃の行いも手伝って
キーラの復讐は意外と早く終わった

復讐が終わった後は、どうしようかと彼女は考えた
次の仕事まで棺を抱き抱えながら休眠することも考えた
しかし、ある情報を思い出した
この世界は「転生」と言う現象が起きている
通常の転生では死んだ者の魂は別の肉体に生まれ変わる
それは同種族であることもあるし異種であることも珍しくない
動物に生まれ変わることもある
しかしこの世界の「転生」は、魂や情報が近い名前と容姿の他者に流れ込み
上書きされるというものだ
聞いた当初は人間関係に混乱しかもたらさないだろう欠陥システムと思ったが
師匠はソレを頼りに誰かを探していた
聞いてみたら「結婚相手」などと言うにわかに信じ難い返答だった
そう言うものに興味を示すような存在とは思えなかったのもあるが・・・
もしかしたら、「転生」によってあの子にまた会えるかもしれない
キーラはそう思った
家に居ても鬱々になるだけなので
他のメンバーに留守番を交代してもらい
師匠に付いて出かけることにした
そして今、彼女はすぐ近くにいる
「待ってなさい、わたくしの可愛いピノ・・・」
キーラは呟きながら小屋のドアをノックした
「ぎゃん!!」
ドアは勢いよく倒れて向こうに居た少女を直撃した

(つづく)

解説

解説:ミッドガルダの城
コミック「モンスターメーカー・サガ」での出来事
「珍しいもの」や「綺麗なもの」をあちこちから集めては
飽きたら捨てる魔女ミッドガルダ様の浮遊城です
しかし生き別れの息子を求めるあまり
実子に似てるからと
よりによってヘリオス王子(ディアーネ姫の兄)
手を出したのが運の尽き・・・
彼女は転生後のリザレクション世界でも同じことを繰り返しているようで
本当に凝りていません

 

ではまた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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