Monster Makers’ Conflict-第1部第3章第13話:<エピローグ2>もう一つの噴火の終わり | 回廊蝦蛄日和

Monster Makers’ Conflict-第1部第3章第13話:<エピローグ2>もう一つの噴火の終わり

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第1部リザレクションの序章

第1部最終話&闇側エピローグです

第3章:炎の帰還

第13話:<エピローグ2>もう一つの噴火の終わり

地中海の沖合の『船』の上で、騒動を観察している派手な髪の色の女性がいた
「火山は、噴火しましたわね」
火山から噴き出す『闇』を観測しながらキーラは呟いた
ボンベート山は、ただの火山ではない
あの『ゾール神』封印の地だ
さらに、元祖闇の神ディスボールが彼に干渉を続けたことで
闇の力は溜まりに溜まっていた
悪魔たちがそれに目を付けないはずもなく
密かに計画は練られ、実行された
『ゾール神の封印』という『蓋』は外れた
火山の噴火は、必然的に溜まっていた『闇』を
世界中にばらまいた
モンスターは活性化するだろう
ベイオエントも本格的な活動を起こすに違いない
もちろん、悪魔たちも

闇の勢力は知らないだろう
自分たちの活動が彼らの手助けになっていることを
闇が濃くなれば濃くなるほど
それをエネルギーとする悪魔たちは力を増すのだ
『大戦』の時のように・・・・・
「これからもっと、面白くなりますわ~」
彼女は空を見上げて右手を翳した
『(キーラ様、大好きです)』
不意に、空にピノの笑顔が浮かび彼女は目を見開く
今まで、こんな事はなかった
楽しいはずの混乱も混とんも無秩序も
ピノの居ない穴を埋めるには至っていないのだと
キーラは認めつつあった
転生がまだなのか、ピノとは未だ会えていない
それなら、と
生前の彼女の願いであった『妹分の安全』を遂行しようと
気を遣って休みを与えてくれた師匠に無理を言って
ブルガンディまでくっついてきたのだ
直接会うことは無かったものの、遠くから見ることはできた
彼女を拾ってくれたあの男は幸い紳士だ
あの子を預けても大丈夫だろう
エルセアでもその名を馳せた『貧しい貴族』なら・・・
キーラとその仲間たちはそう結論付けていた
「ピノ・・・虜になっていたのは、わたくしでしたわね」
別の任務を終えて帰還した別行動中だった仲間に指摘されるまで
キーラは自分が涙を流していたことに
気付くことはなかった
*
*
*
ゾール神殿では準備が進められていた
メルキアの首都ゾラリアの地下にゾール神の神殿が作られ
信者がそれを報告に来たためだ
すぐさま、そちらにゾール神が出現できるように
『御神体』や儀式の手順をまとめた書類が作成された
ボンベートは緩やかな噴火を繰り返す火山になった
しばらくすれば、人々は付き合いに気を付けながらも
これを観光資源にすることだろう

ただ一つ確かなことは・・・
「こんな所、人間が住めるか~!!」
『タカ』は絶叫した
『大戦』そして『冬の時代』
その長い年月はゾール神殿へのアクセスを経年劣化という形で
危険に困難にしてしまった
それだけではない、噴火によって神殿のある場所は高温に見舞われ
有毒ガスも充満していた
バルタン星人である『タカ』ですら、すごく暑いのだ
地球人種準拠の頑丈さしかないこの惑星の住民は生存すら不可能だろう
あの脆弱な種族どもは数秒どころか立ち入るだけで死ぬと
『タカ』は判断していた
「やはり、引っ越すしかないか」
この期に及んでもガイアーネとゾール神は神殿からの移動を渋っていた
悠久の時を生きる彼女らには最初の地であるここは
愛着があるのだろう
しかし、先のボンベートの大噴火もあり
ここに居座るのはデメリットしか無くなった
ゾール神の大好物の酒も作れない
ブドウを植えたところで収穫どころか枯らさず生育することすら不可能だからだ

「では、資金調達のためにヒューマンの社会に食い込んでいく計画と
ゾラリア政界・財界進出計画を同時進行しようかえ」
ガイアーネはそう切り出した
「くそ、世知辛いのはこの星も一緒か!」
『タカ』としては気に入らない『正義』を叩き潰すのに必要な
『強大な悪』を手放したくはなく、できるだけ強大に育てたい
ガイアーネとしてはゾール神の気の召すまま計画が進めばそれで良く
自分はその神官長としてゾール神の傍らに居続け
代弁者として信者たちの、ゆくゆくは世界の頂点に君臨し続けられれば文句はない
両者の利害は一致していた

だがしかし、そのためには避けて通れない『壁』があった
『資金』である
ゾール神殿は長い間放置されていたのと盗掘被害のために
金目のものはとっくに無い
ガイアーネの財産は一応あるが、彼女の私有戦力の維持でやっとだ
一方で『タカ』は資金面では同じ三巨鳥の『ディアトリマ』にこれまで頼っていた
彼には戦闘の才能はあっても商才は皆無だ
だから、それを持つ仲間に頼るしかなかった

かつて世界を脅かした闇の勢力は今
『資金難』という強敵と対峙していた
それは光の勢力よりも強大な難敵かもしれない
*
*
*
私は——、名も無い寒村の村娘
いつか来る春を信じて、今日を生きて明日につなげるために
日々頑張っている
いつか、きっと・・・

最近、友達ができた
人間じゃないけど、小さな子だ
たぶん赤ちゃんくらいだろう
すごく乾いていて、水をあげたら仲良くなった
言葉を教えるうちに「お姉ちゃん」と甘えてきてくれた
あの子はまだ、動くことはできない
でも、たくさん動けるようになったら、
いつか一緒に・・・・・



水の音で目を覚ます
あたしはアルボア、どこかの鉱山で働く奴隷だ
落盤に巻き込まれて閉じ込められて数日
沁み出す地下水で水はどうにか確保できたけど
食料は、無い
コケも虫もネズミも革の装備すら食べ尽くした
助けなんて最初から期待していない
こういう所に送られるのは使い捨てが前提の『消耗品』だけだから
「今度は、いきなりコレかよ・・・」
もう動くこともできない、そんな体に
あたしは流れ込んだ
また転生するのも時間の問題だろう
いや、その前に・・・・・・
あたしは傍らの蝋燭を見た
あたしの残る命を示すように、それはすっかり短くなっている
昔、ペリエール先生かジューラ先生に聞いたことがある
『人は無音の暗闇に置かれると精神がもたない』って
これが消える前に、あたしが死ぬか
これが消えて、あたしは発狂して死ぬか
その違いしか無い

ふと、昔聞いたおとぎ話を思い出した
貧しい女の子が、道中で出会った人や子供に
持ち物を全部与えて・・・
最後に全てを失って裸になった女の子に
神様が天から銀貨を与えて救うという童話だ

よく知った年上の、あこがれだった女性に似たその女の子の話は
しかしながら作り話だと、あたしは思った
そんな慈悲深い神様なんていない
もしいるのなら
あたしは、あたしたちは
どうしてこうなった?
持ち物どころか命すら差し出して、あるいは奪われて
それでも何も得られず時には死やそれ以上の過酷な最期が待っていた
当たり前のように次から次へと転生先で搾取され続けた

所詮、世界は奪う人間と奪われる人間しかいない
それが現実だ
リザレクションの時代も変わらないと思い知るのに
それほど時間はかからなかったから

あたしが童話の女の子だったら
その結末は違う
飢えて凍えて終わりだ
別の物語のように、マッチを擦っても誰も迎えに来やしない
あの、あたしによく似た鳥の話のように・・・
命を懸けて何かをしてもそれは消されるか踏みにじられる
誰も救ってなんかくれやしない
誰も・・・・・・
「——」
ふと顔を思い出した、あいつのスペルネームを呟く
今頃は、”少し前の”あたしの死体と一緒に居るだろう
死ぬ前に『あたしの全部』をくれてやると言っておいたのを思い出す
そもそも負け戦だから、あいつへ与える報酬なんて持ち合わせて無かった
宿屋においてある荷物と財布の中身、
あたしの衣服、それに傷だらけの肉体以外には与えられるものなんてない
手切れ金として釣り合うなんて思っていないけど、
二度と会えなくなるのは分かっていた
次にどこへ転生するかなんて誰にも分からない
モヤモヤを抱えたまま別れるよりはマシだと思って『全部』くれてやった
持っていたものも肉体も、全部

もしかしたらネームドもやめることになるかもしれないから
持っていても仕方ない
その前に前世の荷物は来世には持ち込めない
あたしは目を閉じた
蝋燭はもうすぐ燃え尽きる、あたしの命もそれまでだ
せめて次の転生先は、もっとマシな・・・
「はぁい」
そんなことを考えていたら
地下水の染み出る天井の隙間からアイツは出てきた
後で知ったことだけど、
『名前を呼ぶ』だけで召喚条件になる怪異は珍しくないらしい
『名前を口にしてはいけない』という、嫌われまくった人間や
恐ろしい怪物に行われる『忌避』の一種は
こう言う事があるから成立したものなんだろう
意識が遠のく中で、あたしは抱えられる感覚を覚えた
自分の服が汚れるのも構わず、あいつはあたしを抱えてくれた
これが夢じゃないなら
次に目が覚めた時はマシな場所にいるはずだ
今までずっと、あたしは報われなかった
このくらいの『銀貨』をタダで受け取っても、バチは当たらないだろう
*
*
*
深い山奥、ドラゴンだけが住まう場所で
一人の男と一体のドラゴンが対峙していた
「会いたかったぜ、フース」
ドラゴンは甘えるように男に頭を近づけた
「この時代は、オレたちをどう扱うんだろうなぁ?」
ようやく出会えたかつての相棒の顎を撫でながら
ジシュカは語りかけた

「もう二度と、あんなことは繰り返させねぇよ・・・」

そう、決意を呟きながら

(第一部おわり)
(第二部へつづく)

 

第二部は、いよいよ闇の側の『あの重鎮』たちが動きます

 

ではまた

 

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