【小説・ノベル感想】【完結】戦塵外史シリーズ 花田一三六 (GA文庫) 花田一三六 廣岡政樹【まとめ】 【書籍感想】【レビュー】【ネタバレ注意】 | 回廊蝦蛄日和

【小説・ノベル感想】【完結】戦塵外史シリーズ 花田一三六 (GA文庫) 花田一三六 廣岡政樹【まとめ】 【書籍感想】【レビュー】【ネタバレ注意】

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戦塵外史シリーズ 花田一三六 (GA文庫) 花田一三六 廣岡政樹

 

とある異世界のとある大陸における戦乱を描いた
一大戦記です!

 

 

戦塵外史シリーズ 花田一三六 (GA文庫) 花田一三六 廣岡政樹
あらすじと感想

 

 

こんにちは、こんばんは
エビシャコです

エビシャコの好みを決定した言っても過言ではない作品の
レビューまいります

 

 

・戦塵外史シリーズとは

 

エビシャコの戦記好き人生を決定づけた物語と言っても
過言ではありません

花田一三六先生の描かれる戦記シリーズです
実はけっこう昔から様々な形で書籍化されていまして・・・
つい近年、GA文庫さんですべてがまとめて発行されました
今から集めたいという方は、こちらをお勧めしますが
エビシャコが上記の書籍が出るまで
あちこちの古本屋や本屋を駆け回ってどうにか集めた
過去の刊行書籍と挿絵や表紙などが異なるので
敢えてこちらを集めるのも悪くないと思います

けっこう長い話になるので
中でもエビシャコが大好きな
「野を馳せる風のごとく」を中心レビューします

これはエビシャコが学生時代にスニーカー文庫で買った作品でもあり
相当古いです
GA文庫から出ているシリーズの中にも
しっかり収録されていました

 

・その男「ダリウス」

 

物語の主人公です
小国「アバール大公国」の王子です
父の名はアバール、一代で一国の王に上り詰めた男です
その男の王子とはいっても、おとぎ話に出てくるような「白馬に乗った~」でなく
削り出しの大槍を片手で振り回し
相棒の愛馬に跨って戦場を駆け回る
日本の戦国武将のような漢です
性格も「豪快」をそのまま顕現したかのような人
身長約1.8m、筋肉隆々の偉丈夫です

ただし王子でありながら「王の器ではない」と自ら認めています

奥さんの「アスティア」は元暗殺者、しかもその時のターゲットはダリウス本人
自分を殺しに来たのを口説いて奥方にしたそうです
当然、周囲の反対がありましたが大公国の王子として一喝して黙らせました
なお、彼が権力を使ったのはこれが最初で最後とのこと

側近は一見優男のキルス

ダリウスのような武者ラザーク
実はラザークの方がキルスよりも後から配下に加わっていまして
しかもそのきっかけが「酒場で斬り合って互いを認めたから」という・・・


ラザークについては彼の奥さんが押し掛けてくるきっかけになった
前日譚が「戦士の法」に収録されています

 

・愛馬

 

ダリウスの相棒の赤毛の巨馬です
名前はありません、というよりも・・・
何度もダリウスが名前を付けようとしますが無視
そこでダリウスは気づきます
彼は名前が不満なのではなく
「すでに本当の名前を持っている」ということに

基本、ダリウス以外を乗っけるつもりはなく
自分のことを「一人の戦士」と認識しており・・・
ただの馬を侮った刺客は文字通りの返り討ちにされます
ダリウスに出会う前からこの性格だったようで
「飼い主に似る」でなく
「類は友を呼ぶ」ですね、どちらかというと

彼のおかげでダリウスのことを
「火竜を駆る悪魔」と言う敵の大将もいるほど

 

 

・祖国の敗戦

冒頭でいきなりダリウスの国が滅亡します
相手は大陸統一を目指す大帝国「カルディア帝国」
しかも大軍は皇帝セヴェロス自ら率いています
皇帝セヴェロスは「皇帝」という字がそのまま顕現したかのような人物です
異名も「魔王」「人食い虎」などなど・・・
その苛烈な性格を如実に表しています

敗北を悟ったダリウスの父アバールは自害します
が、「自分で自分の首をはねる」という方法だったのが災いしました

だって・・・
こんなことできる人間は普通いませんから

だいたいみんなこう言うでしょう

案の定セヴェロス陛下は「家臣が命惜しさに王を殺して首を差し出した」と解釈
その激怒ぶりに首を持って降伏に行った家臣は逃げ帰ってきます
(無事に返してくれた、のではなく恐らくアバール国を皆殺しにするつもりだったので
ここで逃がしても結果は同じ、と判断して敢えて逃がしたのではないかと推測)

ダリウス王子、これを聞いて好奇心がうずきます
「会ってみたい」
と、いうわけで側近二人を連れてセヴェロス陛下に会いに行きます
手土産は他ならぬ自分の父親の首


そして先の一件で降伏は認めない姿勢になったセヴェロス陛下が
謁見を禁じた結果・・・

大軍を強行突破して直接会いに行きます
(しかもこの時点でも彼は「穏便に済ます」つもりだったとのこと)

この時、敵兵は何が起きたか分からず
&目の前に突っ込んでくるダリウスたちを避けようと逃げる兵士
上官の命令で進もうとする兵士(たぶん何が起きてるか理解していない)
(何が起きてるか分かっても理解するの無理でしょうけど;)
ぶつかり合って大混乱に・・・

皇帝の腹心イスワーンが立ちはだかってようやくダリウスは馬を止めます
そして皇帝自らイスワーンに命じてダリウスに会います

ダリウスはこの二人を見て「殺したくない」と思いました
「男惚れ」だそうです

その後のやり取りが彼らの運命を決定しました
ダリウス、父親の首を皇帝に放り投げます
皇帝陛下はこの意外な行動に咄嗟に首を受け止めますが
その隙にダリウスの槍が皇帝の首筋に突き付けられました

その上で降伏をします
ただし受け入れられない場合は皇帝を殺して
主従3騎で死ぬまで暴れまわる、と

さらに、大帝国の長であるセヴェロス陛下自身も理解していました
自分が死ねば帝国は終わる、と
彼の帝国は彼一人が突出した帝国でした
彼が死ねば、後釜をめぐって家臣や血縁が争い疲弊し自滅するのは
皮肉にも彼自身が一番よく分かっていたのです

そして皇帝は
ダリウスをスカウトします

「虎は飼えるが、龍は飼えぬ」
皇帝セヴェロスがダリウスを前につぶやいた一言です

「自分に従わなくてもいいから、戦列にいてくれ」という
ほぼ懇願
ダリウスは「口説かれた」と思ったそうですが
実際その通りでしょう

この結果、アバール大公国は滅亡し帝国の中に吸収されます
ダリウスをはじめとする人々は約束通り命を助けられました
なお、彼はこの後の作品でも皇帝と一緒にいる場面を描かれます

そしてダリウスを得た皇帝陛下は
後日の反動が恐ろしく思われるほど上機嫌に
宴の席で自ら楽を奏でた、とのことです

ちなみに皇帝陛下
常勝無敗でなく数多くの負け戦を経験しています
「余の逃げ足の速さは帝国一だ」と自ら言うほど

そして武人です
馬上試合に自ら参加するほど
(なお、ダリウスに敗北して準優勝)
(この皇帝相手でも一切手を抜かないところが
ダリウスが気に入られている理由かもしれません)

 

・少女が売られた喧嘩をみんなで買った結果

 

フィアナという少女をダリウスたちが助けます
彼女は小国ながらも200年という歴史を持つ「ガルア」の姫でした
彼女の国がエイジェル王国軍の総大将「ナセル」という男に簒奪され
奪還のために帝国へ兵を募りに来たそうです

彼女にとって誤算だったのは
自分を拾った上に話を聞いたのがダリウスだったことでした
と、いうわけで
ダリウス一行の、皇帝陛下までも巻き込んだ
「ガルア領奪還作戦」が始まります

最終的に、彼ら5人だけでガルアへ乗り込み
城塞都市を奪還、ナセルを外に締め出した上で
決戦になります

「圧倒的不利な戦況覆す」とかいうレベルじゃないですね

決戦は

ナセル率いる王国軍

ダリウス・キルス・ラザークの主従3騎
という前代未聞の戦力差

ですがダリウスたちには勝算がありました
少数で奇襲をかけ大将の首を獲ればそれで戦況は決定します
日本で言うと「桶狭間の合戦」が有名ですね

兵力差があり過ぎて比較にすらなりませんが

そして、火矢を陣に打ち込まれて火事になっている混乱を突いて
ダリウス・キルス・ラザークの主従3騎がまっすぐ
ナセルの陣幕めがけて突っ込みます
突っ込んでくるダリウス・キルス・ラザークの主従3騎を確認して
迎撃しようとした王国軍を文字通り「蹴散らして」
ダリウスはナセルに肉薄します


なお、キルスもラザークも自分たちの役割は
「主の露払いと背中を守ること」と割り切っていますので
手出しはしません
何より、「ナセルと喧嘩したい」というのは
他ならぬダリウス本人の希望です

ここで
「喧嘩売った相手が悪すぎた」→「ダリウス単騎無双状態」と
通常の小説作品とかならなるのですが・・・
ここでこうならないのが「戦塵外史シリーズ」の面白いところです

この時代に生を受けた強者はダリウスだけではないのです
そう、敵の首領「ナセル」は別格でした
ダリウスが力で敵う相手でないと察するや
力押しでなく、
力比べに応じない勝負に出たのです
ダリウスをして「こやつ、水か?」と言わしめる功績を挙げます
対してダリウスは、相手と同じ動きをするという対策に打って出ます
拮抗が破れそうになり焦ったナセル、その焦りが彼の運命を決定しました

ダリウスによって総大将ナセルは首を獲られます
さらに次男は戦死し三男は捕らわれます
エイジェル王国軍は長男を総大将にして西の砦に撤退せざるを得なくなりました

 

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・後日談

 

支配者であったナセルの死により、ガルア領は「空白地」となります
そこでセヴェロス皇帝が「空白地を獲りに」動きました
大軍が三方からガルア領にやってきます
エイジェル王国にとっては寝耳に水でしょう
ガルアを敵に回しても、帝国を向こうに回す気は毛頭なく
そもそも今敵対して勝ち目のある相手ですらありません
兵力の差を見た時点で王国側は諦めました
そしてガルア国は帝国の属国になり
フィアナはその国の国家元首になります
(皇帝陛下直々に推挙したことから、皇帝が彼女を気に入っている様子がうかがえます)

その後もエイジェルと小競り合いがありましたが
ダリウスによって王国側に大損害がその都度出たことは言うまでもありません

そしてガルア滞在中、ダリウスに嬉しい出来事が
妻のアスティアが男児を出産したのです

ちなみに、アスティアが妊娠を報告した時
ダリウスは歓喜のあまり
まず硬直します
そして声を出して大喜び
馬に乗って駆け出し
深夜まで帰って来なかったそうです

これほど活躍した人物にも関わらず
彼の墓は定かではありません
「作るな」「草原に埋めろ」と言ったとも言われているそうです
そもそも、ダリウスについて書かれた記録は少なく
未だにどういう人物だったか
はっきり分かっていないとのこと

彼の死後、アスティアは晩年にこう言ったそうです
「まるで野を馳せる風のようだった」
と・・・

ではまた

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