【小説・ノベル感想】などらきの首 澤村伊智【レビュー】【ネタバレ注意】 | 回廊蝦蛄日和

【小説・ノベル感想】などらきの首  澤村伊智【レビュー】【ネタバレ注意】

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【小説・ノベル感想】などらきの首  澤村伊智【レビュー】【ネタバレ注意】

 

比嘉姉妹シリーズ短編集!
真琴と野崎の出会いも入っています♪
全部紹介したいのですが
厳選しました

 

【小説・ノベル感想】などらきの首  澤村伊智【レビュー】【ネタバレ注意】
あらすじと感想

 

こんにちは、こんばんは
エビシャコです

レビューまいります

 

・飛んできた

 

UMビル5階の一室、そこでは「怪奇現象」が起きていました
男児の痛がる声、そして体験者の腹部にも痛みが走る現象が・・・

虐待と言う奴か?

当たらずとも遠からず
真琴の名を騙って仕事を引き受けた奈々という女性は
そう推理しましたが・・・
実は
下の4階の従業員(大人の男)が虐待されていたせいでした

どういうことだ?

駆けつけた真琴先生の解説によると

(先生?)

「いたいのいたいのとんでけー」というものがありまして

ああ、子供がよくやるあれか
日本だけでなく外国にもあるようだが

あれが「呪い(まじない)」となって
本当に飛んでいった
というのが真相
で、飛んでいった先が5階の例の部屋と言う・・・

そういうことか

当たり前ですけど、これで4階住人の犯罪がバレました
しかも今回の依頼人は当のビルのオーナーという・・・

終わったな、犯人

4階に入居していた
デザイン事務所「ドラゴンフィッシャーズ」の
桜庭は部下の虐待を日常的に行っていましたが
今回の件で全てオーナーにバレました
退去を申し出ましたが許してもらえず
「1回お話しよう」ということに

そして、ちょうど同居人の友人が実家に帰るため
引っ越し先を探していた真琴に
オーナーは自分の持ちビルの一つを
お礼とばかりに引っ越し先に提案するのでした

なお、なぜか入居者が次々と出ていくお部屋

恩を仇で返すな!!

真琴なら大丈夫と思った故の申し出なので・・・
たぶん除霊成功させたらそれを口実に
敷金や家賃を下げる口実にでもするつもりでしょう

なるほど、回りくどいが
そういう方法もあるな

 

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・組体操の悲劇

皆様、小学校の組体操を体験した思い出はありますでしょうか?
エビシャコは嫌でした
汚れるのと裸足なので砂利や砂や小石が痛いのと危ないのとで#

正直、絶滅して欲しい競技だと今でも思っています

落ちつけ!

ゾンドグ、ン、ボド、ゼグ(本当の事です)!!

グロンギ言語漏れてるぞ、おい

では、子供の運動会も嫌いか?

・・・(キリッ)

小さい子が一生懸命走り回る姿が大好きです
自分より大きな大玉を翻弄されつつ転がす姿が大好きです
玉入れで力いっぱい玉を放り投げる姿には感動すら覚えます!

防犯ブザーを鳴らされても文句も言えないどころか
警察に引っ張って行かれるに値する釈明だな;

こいつはこういう奴だったと失念していた、すまん;

二人して私を変態扱いしないで欲しい!

・・・・・・・はぁ?

後で覚えてて#

さて、今回はその「組体操」にまつわるお話
主人公は「比嘉美晴」
「ずうのめ人形」でも出ていた真琴の姉です
そして今回は小学生
真琴ちゃんも低学年として登場

(顔きもいな~)

体育館で美晴とクラスメイト、そして幼い真琴が出会った心霊現象
それは「真っ白な少女が体育館のキャットウォークから飛び降り自殺する」と
いうものでした
なお、幽霊さんは小学校6年生ですが
美晴さんは「平たい胸」と評価に容赦ありません!

おまえはどこに注目しているのだ?

姉妹一の霊感持ちの長女の琴子さんはなぜかそっけない態度
業を煮やした美晴は事件解決に自ら乗り出しますが
解決の糸口は意外なところから出ました

ほう?

糸口になったのは車椅子での散歩をしている近所のお姉さん「松井さん」
彼女は6年の時の組体操の事故で足が不自由になったのでした
そして、彼女の口から
彼女が卒業した翌年も事故が起きたことが発覚

しかも人が死んでいます

自殺は真相ではないのか?

その時の教師と子供たちは
「失敗した出来の悪い子」が「自殺」したと
わざと事実を歪曲させたのです

二年連続で事故が起きれば大問題になるので
そして・・・・・・
「失敗した出来の悪い子」垣内さんは自責の念が強いのか
彼らの口裏を死んでからも合わせていました

加害者どもを庇うために
自殺者を演じていたというのか?

なぜだ?
呪い殺しても文句も言えん事しているだろう?

常日頃から「出来の悪い子」と言われ続けて
申し訳なく思っていたようです
だからこれ以上迷惑をかけないために
口裏合わせに協力したようです


偶然にも、教育実習生の佐伯と
担任の天野
当時の当事者のうち二人が学校にいました
美晴が二人の前で謎を看破し
さらに幽霊を慰めたことで
霊現象は終わります

そうか・・・
あの琴子が動かなかったのは「無害な奴」だったからか

それもありますが、通常彼女が対応する霊に特有の
「助けを求める声」もしくは「強烈な悪意」が
垣内さんにはなかったので声を聴くこともなく
「ただ飛び降り自殺を繰り返しているだけの訳の分からない子」として
記憶に留められていた模様

それはそれで酷いな
姉妹揃って評価が辛口すぎる;

 

全ては終わったかに見えましたが
美晴は加害者たちが罰も受けず
のうのうと生きていることに
不満を持っていました
佐伯も天野も学校に来なくなりましたが・・・
終業式の3日前、二人は体育館で飛び降り自殺をします

なに?

そして美晴の前で、「白い少女」は
体育館から出ていくのでした

・・・さて、悪意の類の専門家のお前はどう見る?

その肩書はなんなの?#
むしろ肩書にこそ悪意しか感じないのですけど#

まぁいいです
まずですね、垣内さんは体育館に縛られた幽霊
いわゆる「地縛霊」ではないということですね

ああ、その可能性はあるな
「体育館で自殺をしたことになっているから
口裏合わせの演技に体育館にいる必要があった」
それだけの理由であそこにいたわけだ

演じる理由がなくなればいる理由もない

で、自由になった彼女がまずすることは
たぶん当時者たちを見て回ることだと思うのですよ
どういう風に思ってどういう生き方をしているか
「ぼぎわんが、来る」の「ぼぎわん」のように
通話を拾ったり携帯電話を盗み見たりもできていたか
・・・あるいは操作も可能だったかもしれません

何が言いたい?

事件の当事者二人が学校へ来れないほどの衝撃を受けた
そして当時の事を誰にも暴かれたくなかった
・・・恐らく他の8人も同じ気持ちのはずです
そして二人が他の当事者と
連絡を取らないわけがありません
首を突っ込んできた部外者の美晴がしたことは
まさに寝耳に水
かなり悪く言っただろうことは想像に難くないです
そしてこういった加害者たちは例にもれず
被害者にもその矛先を向けたがります
垣内さんへの相当な悪口も言い合って盛り上がったことでしょう
「成仏した」と「思い込んで」いるから
歯止めもなく堂々と

・・・そういう、ことか
自分がどう思われているかを
あいつらの「裏切り」を知ってしまった
だから復讐を決意した

残り8人
恐らく事故か自殺として片づけられるでしょうね
彼らが彼女にしたように
警察も、犯人が亡霊では
どうしようもありません

ちなみに作中ではコメント程度の琴子さんですが
「居酒屋脳髄談義」では仕事を依頼されて「お仕事」します
美晴の死もあって彼女の
「人に害を与える怪異」への情けは皆無
しかもどうしようもない理由でやってる連中ともなれば
絶対零度

執着が強いはずの怪異が「せっかくの獲物を放り出して逃げ出す」のも
納得いくな、アレは;

普通ならあり得ない事をさせてしまう時点で
推して知るべしだな;

 

・などらきの首

表題作、主人公は高校時代の旦那様の野崎さん
お幸せに

結婚どころかまだ出会ってすらいないわけだが!!?

野崎の友人の巻き込まれた事件の解決が主なお話
彼の友人「寺西」は従兄の雄二にからかわれるのが嫌でした
ですが二人の共通の秘密
そして二人の祖父母のいる村での秘密は共通でした
「などらき」
人に化けてコッソリと紛れ
疫病を与え人を殺す事もあるこの鬼は
村に立ち寄った侍によって首をはねられ
首を(石筍のてっぺんにぶっ刺され)封印されました
ですが、胴体はまだ生きており
今もなお首を取り戻しに立ち寄っています

ずっと居つくとかでなく
たまに立ち寄るのか

 

まぁ、「ある場所が分かっている」のだから
あとは「どう取り返すか」だからな
首は村人と伝承が守ってくれるから
破壊される恐れもない

雄二と寺西はそれを見に行ったことがありました
立ち入り禁止と言われた洞窟
その奥の石筍のてっぺんの「鬼の頭のミイラ」
そして・・
石筍にはひっかき傷が多数ありました
まるで「頭を取り戻そうとあがいた」かのように

寺西は独りで行ったこともありましたが・・・
その時、「などらき」の胴体に遭遇したそうです

よく生きていられたな

その「頭」はある時、なくなりました
雄二は「などらき」が取り返したかのように言いましたが
調査に乗り出した野崎はすべてを推理し看破しました
すべては雄二の「作り話」だったのです

どういうことだ?

すべては寺西を怖がらせるための方便でした
「頭」を持ち出したのは「雄二」だったのです
たまたま村を訪れた年に
洞窟の上にできた「ひび割れ」
そこから入った水はミイラ化し軽くなっていた
頭を浮かせて石筍から外しました

それを雄二は拾って持ち帰って隠したのです
ですが、さすがにやりすぎたと雄二は反省
野崎の介入をこれ幸いと
寺西へ謝罪し頭も返すつもりでした
・・・と、いうことを野崎は
当の寺西と1階から板越しに2階の二人の話を聞いていて
ついてきた寺西の祖母に話しました

・・・ちょっとまて
なんでそいつがついてきている?
その手の老人は
激怒して強引にでも止める行動に出るだろう?

しかも、あの山道を若者二人と一緒に
ついてきていた?

そうですね
たぶん首がなくなって
一番慌てたのは当の「などらき」でしょう
恐らく真上にヒビを入れたのも
水を使ったトリックを考えたのも彼
どうせ誰も入らない洞窟だから頭が地面に落ちたら
後は拾いに行けばいい
そう思っていたのにいざ行ってみたら
何処にもないのだから

 

つまり・・・

雄二の住所を聞いた祖母は
上機嫌に「などらき」の由来
「名前など無い」という人間の言った言葉がそのまま
名前となってしまった
もう誰もが忘れた名前の由来を話し・・・
姿を消します
後には潰れたスイカ製ジャックオーランタンの「西瓜提灯」だけが
残っていました

後日、雄二は死後一週間の状態で発見されます
全身が赤い腫れもので覆われ
彼が持っていた「首」は持ち去られていました

そういう、ことか

たぶん「誰が首を持っていったか」までは
目星はついていたのでしょう
家族に化けて首を探し回ったのかもしれませんが
家のどこにもない
途方に暮れていたところで
二人の話を聞いた
人間に頼るとか相当困っていたのでしょうね
藁にもすがる思いで二人の話に乗って
話を合わせついていき・・・
全てを聞き出した
あとは野崎が用意した段取りの通り
寺西に化けて雄二を訪ねるだけ

寺西と野崎を殺さなかったのは何故だ?

寺西を殺すと雄二に連絡が行ってしまい
面倒なことになると思ったのでしょう
万が一、雄二が手放していたら寺西を殺せば
手掛かりは本当になくなってしまいます
最悪、自分が行く前に首を処分されてしまう可能性もあります

野崎は、「見つけてくれたお礼」でしょうね
野崎が「名前の由来が分からなかった」と言った途端に
すらすら自分から話すとか
鬼なりに感謝はしていたのでしょう
つまり「気に入った、お前は殺さないでおいてやる」ということかと

しかし、石筍に登ろうとして失敗したり
高校生に話を合わせて一緒について来たり
頭の行方が分からなくなって途方にくれたり
ドジっ子と言うかなんというか
人間臭い鬼だな
「などらき」は

親しみが湧くな

伝承からの推測ですが
たぶん相当な悪戯っ子なんでしょう
人間にはたまったものではないですけど

 

 

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・真琴と野崎の出会い

最後に心温まるエピソードを
ちなみに「ずうのめ人形」
形勢逆転の一手を放ち真琴たちを命を投げ出して救った
編集長の戸波さんもこのお話で出ています

「明神」という「古株」のカメラマンの
心霊写真撮影に起きた事件
野崎と真琴が初めて出会うお話です

「ベテラン」ではなく「古株」か?

腕はいいのですけど横柄な態度が目立ちましてね

特に若い者への当たりが酷いせいで・・・

後継者が育たなくなって廃業寸前か?

多分そっちの方がまだマシ
正解は
「邪険に扱ったかつての若い連中がどんどん出世して
明神を排斥にかかった」でした

うわぁ・・・・・・・・
詰んだな、完全に;

まぁそういうことも起きるだろうな
こういう業界はカメラマンは明神だけではなし
ライターとして食っていくなど道も多岐にある
そして才能あるやつやコネを見つけた奴
偉いのに気に入られて拾われた奴はどんどん出世していく

ひな鳥が大きくなり強大な捕食者に成長する
卵から産まれた幼虫が生き残ればオオカマキリになり
食われる側から小鳥やカエルすら食らう側になる
自然界では当たり前の景色ですが
彼にはそれすら理解できなかったようで・・・
その結果、今では相当追い詰められていました
それでもあの横柄な態度は治らない模様

それで治らんならもう手はない
死ななきゃ治らんだろう

そんな時、まったく覚えのない写真が
撮られていました
野崎たちの調査、真琴の参戦で
それは「かつてあった懐かしい景色」
「明神にはとても重要な景色」だったことが明らかになります

それは、心霊写真なのか?

そうです
彼女はとても恥ずかしがり屋なので
自分ではなく「思い出」を写真へ写し
明神へメッセージとして送ったのでした

「彼女」?

今回の首謀者は明神の亡き恋人「ミキ」
彼女はずっと明神を見守っていて
今回、彼が心配になってメッセージを送ったのです

いや、もう手遅れ感が半端ないんだが?;
上の方は怒り心頭のかつての被害者で埋め尽くされているぞ?

もっと早くメッセージ送るべきだったのではないのか?;

「ミキ」の死は明神の心に大きな傷を残しました
彼女関連の写真をすべて破棄
その記憶すら薄れ忘れるほどに・・・
ですが今回、彼は思い出しました
思い出も過ごした日々も
「初心」

さらに、彼が廃棄した写真
1枚だけ残っていたのです
マスターは廃棄されましたが
「本」に掲載されたものは明神も消せません
在りし日の彼女、そして彼女を囲む
「カップルをからかいに来たいたずらっ子3人」
その中に野崎の同僚で今回の依頼者の周防もまた
いたのでした

偶然か・・・
いや、これこそが
運命
なのだろうな

ではまた

 

 

 

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