Monster Makers’ Conflict-第1部第3章第5話:白と黒に別れた友
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第1部リザレクションの序章
ルフィーアさんは平和に過ごしています
////////////////////////// //////////////////////////第3章:炎の帰還
////////////////////////// //////////////////////////第5話:白と黒に別れた友
私はリュミール、旅の吟遊詩人だ
ルフィーアを連れ去ったのは闇の軍団の女戦士だとグリンさんから聞いた
なんでも、以前ルフィールちゃんを狙って襲ってきた奴らの一人で
デーモンロードの召喚の生贄にされていたらしい
そういえば、そういう話をヴィシュナス様から聞いていた
・・・そんな目に遭わされても、酷い目に遭わせてくれた連中の言うことを
まだ聞いている理由がよく分からないけど・・・
記憶を消されているか、記憶を受け継がないまま転生したのか・・・
それとも人質でも取られているのかな?
「妙だな、あの『大罪の魔王』たちが生贄を手にして時間がそれほど経っていない
あいつらが簡単に獲物を手放すとは思えんが・・・?」
ドブロヴォイ様はデーモンロードについて何やら知っているっぽいけど・・・
今はそれよりもルフィーアの行方を探さないと!
・
・
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「と、いうわけです」
私たちはひとまず、シャットさんの館に戻って報告した
「うんうん、うれしいよ頼ってくれて・・・」
本当にうれしそうだ、シャットさん
ウルフレンドでも彼ほど情報に通じている人物はいないだろうから
聞きに来ただけなんだけど・・・
なんなら仕事として依頼して報酬も支払うつもりだったんだけど・・・
シャットさんが嬉しそうすぎて切り出しにくい・・・(汗)
「ルフィーアを連れて行ったのはアルボアで間違いないね
ただ、彼女は今はフリーだよ」
特徴を聞いただけでシャットさんはネームドを言い当てた
いや、このブルガンディに誰が居るのかまで把握済みなのだろう
でも、『フリー』っていうのは?
「誰にも雇われていないってこと?」
ドミニクが手を挙げて質問した
「そう、彼女は闇の軍団のモンタズナの雇われていたけど
転生してからは誰にも雇われていない
一時的に変な奴に雇われてたけど、純粋に労働力としてだった
今はそいつからも離れているようだ」
『変な奴』というのが気になるけど、
少なくとも今のアルボアは闇の軍団とは無関係のようだ
なら、どうしてルフィーアを連れて行ったりなんてしたんだろう?
「ふむ、ならば賞金目当ての可能性がある、な・・・」
ドブロヴォイ様がもっともらしい可能性を口にした
言われてみれば・・・・・闇の軍団がルフィーアに賞金を懸けている可能性は高い
そうでなくとも、連れて行けば少なくない報酬は貰えるだろう
「それだと、彼女がどこの誰と接触するかが問題だね
一番ありえそうなのは彼女が雇われていたモンタズナのところだ」
確かに、モンタズナは以前にルフィールちゃんを狙っていた
一度失敗したからと言って諦めるとは思えない
「じゃあ、すぐに助けに行かなくちゃ!」
ドミニクが立ち上がって言った
「待ってほしい、彼女は一人でなく
魔術師と組んでいるらしいんだ」
シャットさんは言う
どうやらすでにアルボアは誰かしらと接触しているようだ
でも、それだと前の話し合いに矛盾が生じる
モンタズナの名前はあくまで『可能性の一つ』だ
決定じゃない
つまり、その魔術師は少なくともモンタズナ本人
もしくはその手下では無い無関係の誰かなのだろう
「シャット殿、その魔術師の所属は不明なのか?」
ドブロヴォイ様が質問をすると
シャットさんは難しい顔をした
「ん~、申し訳ないんだけど
そいつの情報が少なすぎて分からないんだ」
シャットさんですら分からない事もあるのか・・・
いや、相手は魔術師だ
精神に作用する魔術で周囲を幻惑して情報を隠している可能性もある
だからこの世界では、魔術師は昔から恐れられているのだ
「ボクが、アルボアと話をしてくる」
クロワルースが言った
「クロワルース、しかし・・・・・・」
「ドブロヴォイ様、アルボアには・・・・・
謝って許されることじゃないのは分かってる
でも、ずっと抱え込んでるのはつらいんです・・・」
クロワルースは思いつめた顔で言った
目には涙を浮かべている
そして衝撃的な事をカミングアウトした
「アルボアの、親友の部族『ノルズリ』を滅ぼしたのは
ボクの部族なんだから・・・」
*
*
*
ホエイが周囲に『認識阻害』をかけておいてくれたおかげで
シャーズの密偵の目耳は誤魔化せている
ルフィーアの仲間が、あのシャットと館に入り浸るほどの仲良しだったとは思わなかったし
シャットを向こうに回すつもりも無かったけど・・・
こうなったら、仕方ない
乗り掛かった舟だ、できるだけこの子を隠そう
シャットも事情は知っているはずだし
家出娘を匿っただけで、まさか命まで取りはしないだろう
それにしても、ホエイは本当によく働いてくれる
あたしのためだけに・・・
前に組んだグラナールも魔術師としては使える方だったけど
あたしのことは、せいぜい『肉の盾』程度にしか見ていなかった
・・・いや、あいつは自分以外を『駒』としか思っていない奴だったか
「アルボアさん、私・・・」
ルフィーアが、そろそろお暇しようと口を開けたのを
あたしは察した
「一晩くらいなら、泊ってもいいよ」
あたしはそう、口にした
「どんな事情か知らないけど、こういう時は互いに頭を冷やす時間が必要だ
・・・ってのは、ジューラ先生の言葉だけどな」
そこから先は、他愛もないおしゃべりになった
どういうわけかこの娘は、人の心を解きほぐす才能があるようだ
あたしは自分のこと、とりわけジューラ先生のことは
あまり話さない
ホエイにすら話していない
ジューラ先生には首を刎ねられて以来、会っていない
カオニュもクロワルースたちも
今頃どこで何をしているのだろうか・・・・・・?
(つづく)
解説1:魔術師は昔から恐れられている
魔術師を敵に回すと、どれだけ危険かは
TCGリザレクションの魔術カード各種と
公式ノベル「ドラゴンライダー」を参照してください
炎や雷撃などの『攻撃魔術』が脅威としてよく知られていますが
最も恐ろしいのは『精神へ作用する攻撃』でしょう
ただ心を弱らせるだけでなく、精神そのものを破壊したり
それを死に直結させる事すら可能なのが魔術師なのです
公式小説「ドラゴンライダー」においては魔術師同士の対決で
精神攻撃の描写がありました
抵抗手段のない者が受ければ
ひとたまりもないでしょう
解説2:ジューラ先生
フランスのアルボワがある
フランス、ドイツ、スイスの国境にもなっている「ジュラ山脈」が
名前の由来です
恐竜で有名なジュラ紀の地層があります
物語のキーパーソンのオリキャラです
ではまた