Monster Makers’ Conflict-第1部第3章第6話:噴火 | 回廊蝦蛄日和

Monster Makers’ Conflict-第1部第3章第6話:噴火

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第1部リザレクションの序章

メインイベント開始

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第3章:炎の帰還

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第6話:噴火

私はリュミール、吟遊詩人だ
ルフィーアが攫われてから一晩が経過した
翌朝、私たちはクロワルースとともに
アルボアが泊っている宿屋へ向かった
クロワルースが話してくれた内容は、かなり衝撃的だった
『大戦』から冬の時代に入ってしばらくするまで
クロワルースの部族は『フェニキス』と対立していた
私やツチラトたちのように世界を救うために渋々ながら協力するのではなく
その危険性を強く認識して敵対する道を選んだのだった
もちろん、『フェニキス』は途方もない相手だ
当時すでに宇宙から来た勢力とも言われているけど
真相は未だに分からない
ただ、当時としては数少ない文明を維持し貪欲に革新する勢力だった
『大戦』でほぼ全ての文明は滅んだ当時、とても相手できる勢力ではない
それでもクロワルースの部族は対立を選んだ
ただ・・・・・・それにアルボアの部族を巻き込んだ
知らないうちにアルボアの部族は共犯者に仕立て上げられた
さらに、クロワルースの部族がヴィシュナス様やルフィーアたちに
とても協力的だったことで知らないうちに『裏切者』の烙印を押されてしまった
クロワルースには秘密に進められていたらしく
『カオニュの乱』の後で彼女はそれを知ったらしい
「みんな!」
けれどもアルボアと対話する前にルフィーアと合流できた
説得が失敗したら戦闘になることを覚悟していた私たちは
拍子抜けした
ついでに彼女の口から
アルボアには匿ってもらっていただけであり
相談にも乗ってもらって
頭が冷えるまで一晩泊めてもらっていただけだと私たちは知った
つまり、「闇の軍団に攫われた」というのは
私たちの早合点だったのだ
「アルボア、わる戦士違うのか?」
グリンさんはそう呟いた
「彼女は・・・善でも悪でも無かった
ただの、ただ生きていたいだけの
この世界のどこにでもいる
死すべき種族の戦士だったわ」
ルフィーアはそう言った
「善でも悪でもないって・・・
どういうことなの?」
ドミニクは聞いてきた
「ドミニク、この世界は善と悪や光と闇
その二元論だけで割り切れるほど簡単ではないのだ
誰であれ善にも光にもなる機会はあるし
悪にも闇にもなるきっかけは存在する
この私も、息子を失ったばかりの一時期は
光でありながら為したことは”闇ですらない悪”だった・・・」
ドブロヴォイ様は過去の行いを後悔するように
ドミニクに言った
「ドミニク、この世界には光と闇より
どれにも属さない人々のほうが多いわ
あなたも見てきたでしょう
ただ事件に巻き込まれるだけの人々を」
言いながら自分もそうなのだと私は悟っていた
私のすぐ前の前世も、『未確認生命体に殺害された一般人』に過ぎない
そういった人々にとって二つの勢力の争いは
ただ過ぎるのを待つだけしかできない嵐のようなものかもしれない
かといって何もしない彼らを責める資格は誰にも無い
使命のために、あるいは世界のために命を捨てる覚悟をしている人間は
二つの勢力の中ですらもごく一部だ
それを人々に強要するのは迷惑行為でしかないだろう
彼らの目にはそれを為した勢力こそが『悪』と映るだろう
理不尽はどんな理由を並べても
理不尽でしかないのだから
「そっか・・・・・あれ?」
ドミニクが納得して頷いたのと同時に
地面が揺れだした
今度は今までよりも大きい
建物の屋根が地面に落ち、壁にヒビが入るほどだ
「あれを見て!!」
ベステラが指さした方向はボンベート山
そこから異常な量の黒煙が吹き上がっていた
そして・・・・・
大きな爆発音と共に真っ赤な溶岩が勢いよく噴出した
噴火だ!
*
*
*
あたしはアルボア、今はフリーの女闘士だ
「准将、少々お時間よろしいでしょうか?」
宿の主がホエイを連れて行ったので
あたしはルフィーアを今のうちに逃がすことにした
特に何も言われてはいないけど、なにせアイツが崇拝する悪魔の王の名を関した娘だ
このまますんなり返すことに同意するとは思えない
「・・・拠点は一時放棄、すぐに人員の避難を優先して開始しなさい!
警報は最大レベル!」
ルフィーアを外に出した後で何やら指示を出しながらホエイは戻ってきた
「ボンベート山は近いうちに噴火します、避難の準備を!」
藪から棒に何を言ってるんだこいつは?
そう思った刹那・・・
轟音が外でした
何か固い物が屋根にぶつかる音が2階の室内に響く
「申し上げますガマグチヨタカ准将、噴火です!」
宿の店員が慌てて駆けつけて報告してきた
「早すぎる、なぜ・・・?」
宿の主とホエイ、そして店員は、すっかり『トリカゴ』モードだ
かなり慌てているのか
すぐ前に部外者の あたしがいるのに、隠そうともしない
そんな あたしの耳に、子供の泣き声が聞こえた
それも複数
宥める様な女性の声もした
そういえば、この近くに孤児院があったな・・・
「お前たちはやるべき事をしろ!
あたしは・・・あたしがやるべき事をしてくる!」
あたしは窓に手をかけると返事を待たず飛び降りた
孤児院の位置は把握しているし
子供たちの声で分かる
行く途中で道の真ん中で一人で泣く女の子がいた
茶髪の長い髪の毛のその子を
あたしは抱えこむと走り抜けた
胸に庇い、降ってくる軽石から守りながら
「おねえちゃん・・・だれ?」
「後で話す!」
子供たちの悲鳴と泣き声に向かって、あたしは走った
あたしは頭の中に道順の地図を思い浮かべる
一番近い孤児院は「リネアの家」だ!
*
*
*
ボンベート山中のゾール神殿
ガイアーネは目の前の巨体に跪いた
この大噴火の中にあって、火山内部の神殿は無傷で居た
しかしそれは神殿内に居る者たちには当たり前のことだった
自分の城を自分で壊す神がどこにいるのか?
彼の神はそんな愚かな神なのか?
答えは否、だ
「お待ちしておりました、我が主よ・・・」
目の前のそれは、彼女が転生を幾度繰り返してでも欲した存在だ
この瞬間を、その復活を
長い時間が経った今まで望み続けた存在だ
「大儀であった、我が愛しき巫女よ・・・」
彼女が望んだ言葉を、欲した感謝を
彼の存在は与えた
彼の存在にとって、それは当然の行為だった
闇に染まったとはいえ、信者の功労に報いぬ存在は神とは言えない
あのディスボールと自分は違うのだ
崇拝者を横から奪い、道具にしたあの神と呼ぶのも忌々しい不埒者めとは・・・
ディスボールへの憎悪を一旦打ち切り、巨体は天を仰いだ
「聞け、世界のすべての者どもよ!!
お前たちが敬い崇拝すべき神ゾールは
ここに復活したぞ!!」
ゾール神の咆哮は、ますます火山活動を活発化させ
火山弾と溶岩を山体から解き放った
『タカ』は楽し気に表の様子を水晶玉経由で見ている
「いいぞ、このまま街を焼き尽くせ!」
「そんなこと起きるわけがなかろう?」
『タカ』の発言をゾール神は打ち消した
ギギギ・・・と錆びた音をさせつつ『タカ』はゾール神たちを見る
「この島は我が神として君臨するための神都とする
封じられている間に色々あったようだが
これだけ街が発展しているのならば問題は無い
あとは、我が呼びかけに集う我が使徒たちを待つだけよ!」
「え、じゃあ、この噴火は・・・?」
『タカ』は白くなりながら聞いた
「我が復活を知らしめるための狼煙よ!
我が不在に惰眠を貪った光の者どもめ
恐れおののくがよいわ!!」
高笑いするゾール神と、それに合わせて笑うガイアーネを尻目に
『タカ』は崩れ落ちて真っ白な灰となった
完全に燃え尽きた

(つづく)

 

 

解説1:リネアの家

書籍「カードの国の大冒険」でルフィーアさんが迷い込んだ、あの家です
あの森は色々と捜索されていたっぽいのと
その後に続いた戦乱を考えると、どこかに移転した可能性が高いと考えて
いつかどこかで出そうかと思っていました
そういうわけで、一番安全そうなブルガンディ島に引っ越してもらいました
今回は名前だけですが、次回以降掘り下げていきます

 

解説2:神都

魔王でも邪神でも
さすがに自分の家の敷地を燃やしたがる人はいないと思ったので
この展開にしました
ゾール神は元々お祭りが大好きな神様でしたから
お祭りをいつでも開くことができるように
大好きなお酒がいっぱい作れる環境が整うようにするには
発展していてくれたほうが都合が良いでしょう
ちなみに、『ナルド預言書』のお話では
引きこもった際に神官や巫女たちを一緒に連れて行った上に
彼ら彼女らを不老不死にして自分の世話をさせたものの
人間には神々の時間を過ごすことが耐えられず
徐々に生ける屍と化していったというエピソードがありました

ではまた

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