Monster Makers’ Conflict-第1部第3章第8話:モンタズナの逆襲
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第1部リザレクションの序章
噴火イベントは終わりましたが
もう少しだけ続きます
第3章:炎の帰還
////////////////////////// //////////////////////////第8話:モンタズナの逆襲
私はリュミール、吟遊詩人だ
ルフィーアのおかげなのかどうか分からないけど
ボンベートの噴火は収まったようだ
「これからどうしよっか?」
ドミニクはいつもの天然モードに戻っている
「港に向かってベステラたちと合流しましょう」
リネアちゃんの預け先もこの後で探さなきゃいけないだろう
確か、孤児院が近くにあったはず・・・
「貴殿ら、その少女を渡してもらおうか?」
急にかけられた声に、私は振り返る
筋肉モリモリマッチョな黒マントの杖を持ったおじさんに
同じく赤毛の筋肉モリモリマッチョな女性がいた
「逃げるわよドミニク!」
「え、あの人たち敵なの?」
「敵か味方かじゃなくて、関わっちゃいけない変質者よ!」
ウルフレンドにこういうのがいるとは思わなかったけど・・・
前世だったら警察に通報するなり交番に駆け込むなりが常識だった
シャットさんの館までは遠い、ならどこか近くに交番みたいな所は無いだろうか?
「容赦ないな娘よ」
変態おじさんが傷ついた声を出したので少し悪いことしたかなと思ったけど
鏡で自分を見るべきだと思う
「リュミール、あの女の人がルフィーア連れてった人なんだけど」
ドミニクは女性を指さして言った
「先に言って!!」
私は突っ込んだ
そういえば、彼女については目撃者がドミニクしかいなかった
その人物の情報ならすでに得ている
シャットさんからの情報も付け加えると
赤毛の女戦士は『女闘士アルボア』
ベング出身の、報酬次第で光にも闇にもつく傭兵
リザレクション時代に現れたネームド転生者
ルフィーアの話だと悪い人じゃないみたいだけど・・・
さっきから全然しゃべってくれない
笑っているようだから怒ってはいないと思うけど
ん・・・?
と、言うことは・・・・・・・
私の頭の中にある『ある人物の情報』が、男の特徴と合致した
「変態筋肉おじさん、あなたはもしかしてモンタズナなの?」
グサリ!という音がおじさんからした
心なしかダメージを受けているようにも見えるけど
「くくく、非魔術師の身で我に精神攻撃を仕掛け
ダメージを与えるとは、やるな小娘」
私は何もしていない(「ソウカナ? byドミニク」
あと女の人(アルボア)は、やっぱり笑っている
ていうか、小刻みに震えて必死に堪えて居る
それよりも、これはピンチだ
ルフィーアは気絶中でドブロヴォイ様はまだボンベートの山中だろう
ヴィシュナス様とも連絡が取れない
それに加えて、相手はたぶん私たちを逃がす気はない
つまり、この場にいるドミニクと私だけでどうにかしなくてはならないのだ
「あ、あれ・・・・・・・?」
急にドミニクが声を上げた
視線はアルボアに向いている
「どうしたの?
もしかして知り合い?」
私の質問にドミニクは
「ううん、でも、あの人のこと
どこかで聞いた気がする
確か、お師匠様のお話にあった・・・・・」
私はアルボアを見た
そういえば彼女はベングの出身で、ドミニクも同じ地域の寒村の出だ
これまでドミニクは私に詩の題材になればと
彼女の師から聞いたお話をあれこれ話してくれていた
だから私も、聞いた話だけは覚えている
その中で、アルボアが関連しそうな話は・・・・・・・
「・・・!まさか・・・・・!?」
合致する話が一つあった
彼女の師が彼女と出会う前の話に!
*
*
*
「ドブロヴォイ様!」
ボンベート山の噴火が本当に収まったかを注視していたドブロヴォイたちの元に
クロワルースが駆け付けた
地面に倒れこみ、
荒い息の下で必死に言葉を絞り出す
「はやく、ルフィーアたちの所に・・・・・・!
このままだと・・・・・!」
そこまで言ってクロワルースは気を失う
「この子は、聖騎士団のところに来た時もこんな感じだった
なのに、我々に知らせるために、また・・・・・・・!」
シャーナは駆け寄り助け起こしながら言葉を絞り出す
ルフィーアたちに何かが起きつつあると察したドブロヴォイは
ただ頷いた
「シャーナ殿、来て頂いて早々、恐縮だが
私の代わりに港へ向かってほしい
私は・・・・・こいつを食い止めねばならん!」
ドブロヴォイは背後に迫る気配に振り返りながら剣を抜いた
高速で飛来しつつ巨大なハサミのようなものを振り下ろしたソレの一撃を
ドブロヴォイは受け止める
「行かせねーよ、この『タカ』が本気で、な!」
後方へ飛び退きながら『タカ』を名乗る異形は言った
フォフォフォフォフォフォフォフォフォ・・・
独特の鳴き声が山に響き渡った
「でっかいセミだにゃ!」
『タカ』を見て、シャーナは言った
「誰がセミだコラ取り消せネコ娘!!!#」
ドブロヴォイは頭からピー!と湯気を出しつつ真っ赤になる『タカ』を見つめた
できれば再会したくなかった相手だ
『侵略者』トップクラスの実力に加えて、
その容赦の無さは随一
使えないと知るや部下ですら躊躇せず切り捨て捨て駒にする男だ
「地球人の擬態はやめたのか、『タカ』大将?」
カニのようなツメを上に持ち上げた姿勢で
『タカ』は応えた
「ドブロヴォイ、あんたのことは評価してるんだぜ?
本気で相手しねーと、オレもヤバイって程度には、な」
この惑星の民にはすでに失われた情報だが
ドブロヴォイは記憶していた
目の前にいる『タカ』大将の本性は
異星人バルルカン星人の近縁種『バルタン星人』
宇宙忍者の異名を持ち、移民船団の船を破壊された事件をきっかけに
光の巨人と巨人が守護する地球人類を激しく憎悪していた者たち・・・
世代交代が進んだのと時間が経ったことで
その憎悪も薄れ共存を模索する者が増えていく中
『タカ』は全く違った
いや、こいつは出会った時から、あの巨人を含む『正義』を『光』を憎悪していた
そのあたりが他の『三巨鳥』との大きな違いであり
より危険であると認識しなくてはならない要因でもあった
「シャーナ殿、クロワルースを連れて行ってくれ
こいつは私が手加減できる相手ではない
巻き添えになる」
「・・・分かった!」
シャーナは強い弱いといった基準
もしかしたら常識すらも通じない事態だと悟っていた
このリザレクションの時代でそれは珍しくないことだ
「総員、撤収!」
騎士団はクロワルースを連れて山を下りて行く
「・・・なるほど、オレを足止めして
代わりにあいつらに行ってもらおうってことか?」
「そういう事だ」
ドブロヴォイはあっさりと肯定した
目の前の相手にハッタリなど通じないと
長年の付き合いで分かっていたからだ
「誤算だったな、あいつらじゃ役不足だ」
『タカ』は『カード』を取り出しながら言った
『タカ』の性格から、魔物召喚のカードではなく
強化系のバフをかけるものだろうと推測しつつ
ドブロヴォイは『タカ』の言葉の意味を考え、口を開く
「お前の手下どもが、この島にいるのか?」
『タカ』は笑いながら否定した
「違う違う、あいつらは別の仕事を与えてあるんだよ
だからここにはいねぇ」
その時だった
二人の頭上をドラゴンが通過して港へ向かって飛んでいく
それは先のヴィラフレックでは無い、青い体色のドラゴンだった
「『蒼龍アリクレール』!?」
「ガマグチを甘く見たな、ドブロヴォイ
アイツは戦力の逐次投入なんざ、しねーよ」
ドブロヴォイは、せめてシャーナたち騎士団の救援が間に合うように
祈るしかなかった
(つづく)
解説1:タカの正体
御覧の通り『バルタン星人』です
ちなみに、彼が歪んだ原因は例の事件ではありません
(そもそも彼はその時にはまだ生まれていません)
彼の素性についてはまた後日
ではまた