Monster Makers’ Conflict-第2部第1章第1話:黒の長と白の狭間 | 回廊蝦蛄日和

Monster Makers’ Conflict-第2部第1章第1話:黒の長と白の狭間

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第2部:歴史の復活

名前だけ出ていたキーパーソンようやく登場です

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第1章:ブルグナの大異変

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第1話:黒の長と白の狭間

生まれた時からその娘は、稀有な存在だった
ダークエルフの母親とヒューマンの父親の間に生まれ
それでも白い肌と白い髪、赤い瞳を持っていた
両親の他界後は
商人をしていた両親の得意先であるベング高原の部族に預けられ
姉のような3人の少女に世話をされて少女は育った
成長した娘は両親と同じ商人になった

しかし・・・・・・・・・



「大丈夫じゃカオニュ、私がついているからのう」
寝台の上で眠る白い肌と白い髪、赤い瞳を持つ少女『カオニュ』を
小柄な濃い褐色の少女『ミューザ』は見守っていた
カオニュは前世と同じ特徴の肉体に転生していた
だから探し当てるのは楽だったが・・・
「やだ・・・入ってこないでよ!!」
リザレクションの時代では、かつてのネームドは『転生』することが
当たり前となっていた
それが望まぬ転生であったとしても
「ミューザ様、もう眠りたくない、眠ったらまた見ちゃう・・・!」
食欲が落ち、どんどん衰弱していくカオニュを救うため
やむなくミューザは彼女を魔術で眠らせた
彼女の『前世』が入らないように結界を張った部屋も用意し
その中に彼女を保護した
『忘却』は不幸ではないとミューザは知っていた
時として『前世』に苦しめられ、折り合いが付けられない死すべき種族もいる
前世で為した悪事に良心が耐え切れず自ら命を絶った例も聞いている
このカオニュのように、『前世』が地獄でしかない者も・・・
あんな悪夢は思い出すべきではない
確実にこの子は壊れる
あの時のように・・・・・・・
「本当に、残酷な世界じゃ」
呟きながらミューザは窓を開けた
ここは山奥の館、ドラゴンが周囲に棲む人が立ち入れない魔境だ
『(サキューキ、来い)』
ミューザは自身のドラゴンを呼び出した
双頭の黒い竜が舞い降り、頭を向ける
「転生を確実に果たしている我が同胞アルボアを探し連れてくるのじゃ」
サキューキは頷くと再び空へ舞い上がった
*
*
*
あたしはアルボア、死んだばかりのベングの女闘士だ
手のひらを見る、次いで体も
以前よりは痩せた、それでも筋肉がついていて傷だらけの
赤毛の女の体だ
顔も前と同じでオークからは評価される顔立ちだろう
確かに前のあたしは死んだ
でもあたしは今は生きている
それは、あたしが『転生』をしたからだ
あたしに似た体格と名前の誰かの体へ
これが今のウルフレンドの主な転生方法だ
赤ん坊からやり直すよりはマシだけど複雑な気分だ
・・・いや、気が変になりそうだし深く考えるのはやめよう
「どうしました?」
あたしを地下水脈の水路経由であそこから出してくれた押しかけ女房ならぬ
押しかけ旦那のホエイが心配そうに聞いてきた
こいつは優男な外見で『トリカゴ』という侵略者艦隊の一司令官だ
やつらの例に漏れず攻撃的性格の
しかも異星人というか人間ですら無いんだけど・・・・・
ずぶ濡れになった服は
ホエイが前にあたしが着ていた服を持ってきてくれたから
それに着替えてなんとかなった
奴隷の粗末な貫頭衣とは大差ないかもしれないけど
防具があるのは安心できた
愛用の二振りの大剣は、それだけで相手を威圧できる
この体をまた片手に一本ずつ持ち振ることができるまで鍛えれば
あたしを軽く見る男はいない
「ここは、どこだ?」
地下水脈から顔を出した時は、どこかの川だった
少なくともあの暗い洞窟の中じゃない
知ったところであそこに戻るのはごめんだし
記憶にある、奴隷をぼろ雑巾のように使い捨てる現場監督の顔は見たくも無い
「確かケフルの山中ですね
あっちのほうで浮遊城の遺跡があったので」
ホエイは答えた
それはたぶん『ベルタ』だ
ずっと昔にこの辺りに落ちた、伝説の浮遊城
ドラゴンを友として空を駆けた『竜騎士』や『ドラゴンライダー』たちが
住んでいたと聞いている
その悲劇的な結末も・・・
思い出すたびに思う
あたしは、ああはならない、と
彼ら彼女らはヒューマンを、死すべき種族の善意を信じすぎてああなった
『用済みになったら始末される』
それが現実だと、あたしはろくでもない転生生活で散々身に叩き込まれてきた
「ところで、どこへ行きます?」
ホエイの言葉で、あたしは頭の中に地図を思い浮かべた
ここからならケフルが一番近いだろうけど、
オークとの戦争の前線基地になっているあそこは
むやみやたらに立ち入ることはあまり気が進まない
うっかり戦争中に入ろうものなら確実に巻き込まれるだろう
それに、オークには・・・・・・

かと言って、エルフの本拠地になっている
エサランバルの森は論外だ
エルフと闇の軍団は仲が悪い
あそこには幾度も闇の軍団が攻め込んでは失敗を繰り返している
それに、闇の軍団はエルフと不仲のオークをよく使役するからなおさらだ
ロリエーンとかいうエルフ娘とこの前かち合っちまったし
たぶん、あたしの顔も知れ渡っているだろう
それに、ハーフエルフを疎外する連中には
あたしも良い印象は持っていない
つるむのはこっちから願い下げだ

と、なると道は限られる
山をこのまま北へ抜けてブルグナに入るのが良さそうだ
あそこは闇の軍団の勢力がすでに多く入っている
モンタズナ様のところに早く合流もできるかもしれない
「お~い!」
あたしは、空から呼んでいる声がしたのでそっちを見た
「~え~ぼ~!!」
「ぐげぇ」
ものすごい勢いで落ちてきた何かがホエイの背中を直撃して潰した
あまりにも早かった、あたしじゃなければ見逃していただろう
もっとも、防ぐことはできなかったけど
「ホエ坊、生きててくれて良かった!
心配したんじゃぞ!!」
あたしはソレを観察する
見た目は10歳くらいの少女で、あたしよりも濃い黒褐色の肌に
深緑の髪に紺色の暗い青い色の瞳
こんな見た目”だけ”は幼女な人物を、あたしは一人しか知らない
「おい長老、なんてことしてくれた」
あたしは久しぶりに出会ったのに挨拶もなしで
あたしの恋人へ垂直急降下即死タックルをかましたバカ長へ言ってみた
ついでに『ホエ坊』は地べたの石に顔面を強打してビクビクしてる
・・・・・さすがにこいつでも、やばいんじゃねーかな?
「・・・久しいな、アルボア」
長老は雰囲気だけ纏ったまま言った
うん、全く違和感しか存在しない
っつーか、早くホエイからどけ
マジでヤバイ痙攣を始めてるから(汗)
「驚いたぞ、お前が我が夫の正妻になったと聞いたが・・・」
「まだ結婚はしてねーよ」
あの『カオニュの乱』で死別して以来の久しぶりの再会が
こんな形になるなんて思わなかったし
まだホエイと『冥婚』を続けているとも思わなかった
『冥婚』って魂の婚姻らしいから別れる方法たぶん無いんだろうけど・・・
「あの~、どいてくれませんか?」
ついに潰されっぱなしの当人から催促が入る
「おお、すまんな」
やっと長老はホエイの背中からどいた
コイツでなければ即死だっただろう
「ところで、この山の中に何をしに来たのじゃ?」
あたしは少し考えた後で、これまであったことを話した

(つづく)

 

<解説>

解説1:ミューザ長老

モデルは書籍『バンパイヤー戦争』のミュザ姫様
アルボアさんの実家の部族の長老です
最初っから『ロリ長老』として誕生し
出番はまだかと騒いでおられました
他の部族の長老とは姉妹同士で彼女は末っ子ちゃんです

解説2:サキューキ

モデルはコミック『壬生の狼』のサキ・ユキ姉妹
ミューザ長老の相棒の双頭ドラゴン(雌)

 

解説3:カオニュ

『カオニュの乱』の最重要人物でした

 

ではまた

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