Monster Makers’ Conflict-第2部第1章第4話:オークたちの難民砦 | 回廊蝦蛄日和

Monster Makers’ Conflict-第2部第1章第4話:オークたちの難民砦

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第2部:歴史の復活

公式設定資料のネームドキャラクター調べていたら
とんでもないのがいたので出します♪

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第1章:ブルグナの大異変

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第4話:オークたちの難民砦

私はリュミール、赤毛のオークに見張られている吟遊詩人だ
気が付いたら寝ていたらしく、モンドールに起こされた
それも、意外と優しく
「随分と良い度胸だな、光の勢力にくれてやるのが惜しいくらいだ」
しかも感心された
私たちはそのまま船を降り、馬車に乗り換えて海岸線を移動した
道は一応あるけど荒れすぎてて草ぼうぼうで、
せいぜい道しるべ程度の役割しか果たしてなさそうだ
窓の外からブルグナが見えた
どこもかしこも荒れ果てている
それに、オークの屍もあちこちに転がっていた
埋葬すらされないまま、彼らは骨を曝している
私の向かいに座るモンドールが口を開いた
「これが今のブルグナだ
ヒューマン・・・いや、光の勢力がかつてオークの国を滅ぼした
以来、オークたちは国を持つことを許されぬまま
今日まで生きてきたのだ
今や、オークたちはモンスターと変わらん
ただ生きているだけに過ぎん」
そこでモンドールは言葉を切って私の目を見た
「これが、お前たちが正義と信じた光が為したことだ
酷いと思わんかね?」
「思うわ」
あっさり肯定されたことにモンドールは拍子抜けしたのか
ポカンと口を開けて目を見開いた
「私、前に正義と信じていた連中に裏切られたことがあるから
フェニキスって、知ってるかしら?
私は前世で、あの利己的な国で働いていたのよ
自分たちの行動で世界が救われると信じ込まされたまま、ね」
次に転生したときにあの国が復活していたとしても
私は二度とあそこには行かない
特にセントーラの悲劇は、あれは一方的な虐殺だった
皮肉なことにその件で『トリカゴ』を本気で怒らせたことで
逆にフェニキスが一方的に滅ぼされたけど
それでも、私たちがさせられたこと、してきたことの帳消しになるわけじゃない
「そうか・・・」
反論するでもなく怒るでもなく、それきりモンドールは口をつぐんだ
やがて目的地に私たちは到着する
そこは、ちょっとした基地だった
オークたちが大勢いる中、私はモンドールたちの住む区画まで案内される
その間に違和感を感じた
ブルグナはオークの国だしここもオークの基地だから
オークがいるのは当然だろう
でも、何かが違う
武器を持っているオークに違和感があった
よく見ると武器じゃない、農具だ
槍や剣を持つオークもいるけど、クワなどの農具を武器代わりに持つオークの方が目立つ
弓兵の弓矢も軍隊のものじゃない、狩りで使うようなものばかり
それに、前線ではまず見る事が無い女性のオークや子供まで見かけた
ここはまるで・・・・・・
*
*
*
あたしはアルボア、闇の軍団の雇われで部族の長と再会した女闘士だ
長に連れられて、カオニュと一緒にブルグナの拠点の中に連れて来られた
一応は闇の軍団のアジトだけどどこの派閥のものということはなく
オークに安全な居住地を提供する代わりに拠点として
そして戦力の補充場所として利用しているらしい
ホエイは「用事があるから」と言って消えて別行動中だ
ここはかなり古い砦だけど、あちこちが整備されて拠点として使えるようになっていた
当たり前だけど、あたしと長以外はみんなオークだ
ただ、かつてあたしがケフルの前線で戦ったのとは違って
武装してる奴は、あまりいない
外の警備はともかく中にいるのは数えられる程度の数だ
闇の軍団がどっかに連れて行ってるのだとしても少なすぎる
おまけに、大体がボロい服を着ていて武器も軍の支給品じゃない
農具やら手製の弓矢やら、農民一揆のそれと大して変わらない
女のオークもいるし、子供の声もする
まるで難民キャンプみたいだ
・・・いや、たぶんここはオークたちの難民キャンプなんだろう
今のブルグナは荒れに荒れている
国を失ったままオークたちは『国無き種族』として今に至っている
ブルグナは広いけれど痩せた土地で、最近は異常気象が相次いでいるそうだ
・・・そういえば、カオニュはここに来てもいいのだろうかと
あたしは今更気づく
オークとエルフは仲が悪い
ヒューマンほどじゃないけど、敵意を向けられる程度には良い仲じゃないはずだ
「あ、カオニュ姉ちゃんだ!」
オークの子供たちがカオニュの方に集まって来た
オークの言葉じゃなくて共通語で話しかけてきている
「悪いね、ガキどものあいてばかりさせて」
「いいえ、私にできることはこのくらいですから」
母親らしいオークたちと子供たちに囲まれたカオニュがやり取りしていた
どうやら彼女らは顔見知りらしい
「ああ、カオニュは時々私と一緒にここに来て
手伝いをしていたからな」
ミューザ長老の言葉で、あたしは納得した
共通語も長老が教えたんだろう
心配するような軋轢は無さそうだ
「ねぇ、お姉ちゃんは誰?」
「カオニュお姉ちゃんとミューザお姉ちゃんのお友達かな?」
カオニュの周りにいた子供の何人かが、あたしを指さす
そうか、ここでの新参者はあたしの方か
「新しいお友達のアルボアお姉ちゃんだよ
悪いヒューマンじゃないから安心してね」
カオニュがそう言った瞬間、周囲が『ざわ・・・』とした
・・・・・なんだ、この空気?
敵対的な感じじゃない、なんというか、こう・・・・・
微妙な感じだ
「マジか、あんなに美しい女が・・・」
「そういえば口元には牙がないし、耳も鼻もヒューマンのものだ」
そっちの意味かよ!
そういえば、前にもこんな感想を言われた記憶がある
オークの目からは、あたしは『美しい女性』に見えるらしい
ただ、それはオークの美意識かつ価値観からの感想だというのが
微妙なところだ
・・・・・ついでに、今不在のアレの美意識もオークとどっこいじゃないかと
今更ながらに思い至った(汗)
*
*
*
「ここにリュミールは運び込まれたらしい」
ブルグナの港の、オーク以外の種族にとって数少ない安全地帯で
シャットたちは会議をしていた
「ただ、おかしな事が分かってね・・・」
シャットは一同を見回し沈黙を促しと見て続けた
「あのモンドールが今回の誘拐の首謀者だ
でも、リュミールは彼に大事に扱われているらしい」
次の瞬間、ドミニクとベステラは口を開いた
「まぁ、あのリュミールだしね」
「お姉ちゃんてば、闇の軍団の偉い人に何をしたのかな?」
アルル(♀)とクロワルースは二人の反応に顔を見合わせた
「モンドールって、あのモンドールですよね?
アルルさんのお兄さんとリュミールを攫った目的は分かりますか?」
シャットは首を横に振った
「それはまだ分からない、ただ・・・・・
リュミールについては誘拐犯と乱闘したって情報があるから
たぶん、攫うつもりはなかったんじゃないかな・・・」
後半のほうでシャットは後頭部に大きな汗をかいた
「ならば、リュミールさんは私と私の兄の恩人ですね
必ずや助けなければ・・・!」
アルル(♀)の中では吟遊詩人の少女は
『身を顧みず見ず知らずのエルフを助けるために
果敢に悪漢に挑んだ強い正義の心を持つ娘』になっていた
それを察した一同の後頭部に大きな汗が出現してずり落ちる
「リュミールは成り行きだとしても、アルルのお兄さんが必要なことってなんだろ?」
ドミニクは疑問を口にした
アルル(♀)は少し躊躇した後で、意を決して口を開いた
「兄は、ついこの前までヤコブレイトに潜入していました
闇の軍団はその情報が欲しいのでしょう」
*
*
*
「なるほど、あのオークどもの砦に吟遊詩人の娘が囚われた、か」
長髪の剣士は呟くように言った
「は、はい・・・
私としたことが、まさか黒い魔術師に騙されたとは・・・」
リュミールの件でブルガンディを追われたスパニエル商団の長アルバラードは言った
シャットにブルガンディから追われた後も不運は続いた
正確には、その一件により破滅が確定した
それまで取引をしていた店も商会も取引の白紙化を申し出てきた上
海賊によって商団の船が狙い撃ちされた
人員にこそ被害は出なかったものの船と積み荷に多大な損害が生じることになった
わずか数日の間にアルバラードは取引先だけでなく
商売の血路である海路すら失ったのだ
このままでは商売など成り立つはずもない
かといって陸に上がってメルキアのどこかに店を構え商売をする方に切り替える余裕などない
何より実家に失敗を知られることだけは避けたかった
やむなくアルバラードは自分の尻をぬぐうことにした
リュミールを救出し誠心誠意謝罪すればシャットも許してくれるだろう
幸い、傭兵を雇うだけの資金はあった
それに、攫われた先の場所がブルグナだったことも幸いした
オークを狙うヒューマンのネームドに心当たりがあったのだ
「気負うことはない、闇の魔術師どもは精神に作用する力を使う
騙されるのは仕方ないことだ」
この剣豪サンセールがそうだ
己の名を上げるためなら何でもする男として有名で
今では率先してオークの村を襲い女子供関係なく殺して回っているという
オークにぶつけるには、うってつけの人材だとアルバラードは思った
「あの砦には大した戦力は無い
私だけでオークどもを皆殺しにするのも容易いだろう」
なお、二人とも『黒い魔術師』がモンドールであることや
シャットたちが近くまで来て救出作戦を練っている事など
知る由もない

(つづく)

 

<解説>

解説1:オークの基地

オリジナルで作りました
もともとは本当に前線基地でしたが、
戦闘で1/3壊滅=戦えるのが全滅した過去があるため
残った補助要員とかやってきた村人オークとかが集まって
ちょっとした難民キャンプになっています
整備とか医務とかが主な仕事な人らが多めのため
あちこち改造され、また守りはかなり固いです
戦闘員は大した数いないので攻撃力はそれほどではありません

 

解説2:ヤコブレイト

公式の地形カードにもなっている浮遊城です
別名「第七浮遊城」
公式設定によると「気象操作装置」だそうです
『緑の魔女』が出てきた場所でもあり
今ではヴァンパイアたちの根城になっているとのこと

 

解説3:剣豪サンセール

公式ネームドです
ちなみに本文の設定もやってることも公式設定です
マジです
これだけアレなことやっているのに闇の軍団とは何の関係もないそうです
下手したら闇の軍団よりも酷いことしてるのですけど・・・

 

ではまた

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