Monster Makers’ Conflict-第2部第1章第7話:糸がつながる時
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第2部:歴史の復活
サンセールさんにはもうちょい踏ん張ってもらいます
////////////////////////// //////////////////////////第1章:ブルグナの大異変
////////////////////////// //////////////////////////第7話:糸がつながる時
私はリュミール、旅の吟遊詩人だ
闇の軍団に捕まった私はオークの難民キャンプに連れ込まれた
そこに剣豪サンセールという外道ネームドが襲ってきたけど
シャットさんたちの救助チームが私を助けてくれた
その救助チームに一人エルフの女性が混ざっていた
「リュミールお姉ちゃん、この人はアルルさん
双子のお兄さんのアルルさんを助けに私たちと一緒に来たの」
ベステラが説明してくれた
そういえば、彼女はあのエルフの人とよく似ている
双子なら納得だ
「ごめんなさい、私が実行犯で黒幕のせいで
あなたのお兄さんを誘拐してしまって・・・」
「リュミール、混乱してるの分かったから落ち着いてしゃべって(汗)」
ドミニクにツッコミを入れられた、ショックだ・・・・・
「いいえ、気にしないでください
任務中の出来事、兄も覚悟はしていたはずです
それに兄はまだ無事です
私たちは双子ですから、互いのことが分かるのです」
アルルさんはさらっと私の妄言を流してくれた、いい人だ
それに、一緒にさらわれてきたエルフの人の健在が確認できたのも良かった
モンドールも彼は無事だと言っていたけど嘘じゃないようだ
「リュミールはどうやって逃げ出したの?」
ドミニクが聞いてきたのは、もっともなことだ
「逃げていないわ
モンドールがここに連れてきた後で
ここはブルグナだから外は危険だって言われて・・・
その代わり、砦の中なら自由に行動していいって話になったの」
どうせ逃げられはしないからというのと
私が外へ逃げないことを確信しての判断だと思った
けど・・・・・・
「え、あのモンドールが?
キミを縛りもせずに、かい?」
シャットさんは驚いた(&ひっかき傷あちこちにできた)顔でこっちを見る
「リュミール、あいつと何か取引なり話なりしたのかい?」
不思議そうな顔でノーラさんも聞いてきた
私は首を横に振って答える
「私はただ・・・・・・
ブルグナの今やオークたちについて聞かれたから
正直な感想を言っただけ、なんですけど・・・?」
モンドールとの会話で重要そうなのだと思い当たるのはそれくらいだ
あとは当り障りない会話とか必要なものとかくらいしか聞かれていない
「そっか・・・・・・モンドールはそういう所があるからね
だから闇の軍団でも人望が厚いんだ」
ノーラさんは納得したように頷いた
「ところでリュミール、さっきのサンセールだったっけ?」
ドミニクは彼が行った方角へ体を向けながら聞いてきた
「あいつ、ぶっ飛ばしてもいいかな?」
右拳を左掌でパシッ!と受けて鳴らしながら言う
「ドミニクお姉ちゃん、私も連れてって
リュミールお姉ちゃんを殺そうとした奴、許せない!」
ベステラがいつになく殺気立った声で言う
お姉ちゃんは、今はあなたが一番怖い!
「ボクも行くよ、リュミールに刃を向けたお礼をしないとね
ギルドの頭目としてより、シャットとしてね」
シャットさんが賛同した
「ルフィール、オレ、オークを守る戦いする、いいか?」
「もちろん!」
グリンさんとルフィールちゃんも続く
「[ねぇお姉ちゃん、これだけの人数なら、アイツやっつけられるね!]」
オークの少女がオークの言葉で私にそう言った
数の暴力とはよく言ったものだ
そういえばオークは数で押す人海戦術が
昔からのやり方らしいと前に聞いたことがある
「では、私と彼女は兄を探します」
アルルさんはそれが聞こえたのか(オークの言語分かるのかな?)
別行動を申し出た
「ボクも手伝うよ」
いつの間にかクロワルースがアルルさんの隣にいた
「あれ?
ノーラの姉御はそっちなんですか?」
アルルさんの方に行こうとしているノーラさんへシャットさんが声をかけた
「そっちに行ったほうが面白そうだけどさ・・・
さすがに大勢で袋叩きにすることになりそうだから遠慮しとくよ」
なるほど確かに
サンセールが強いとは言っても多勢に無勢の状態で一方的にボコるのは卑怯すぎるか(汗)
ひとまず、オークの女の子を案内役兼使者としてアルルさんたちに預けて
私たちはサンセールを追いかけることにした
絶対にボコボコにノして、詩にしてやる!
*
*
*
あたしはアルボア、子供たちを守るために戦いに出向いた妹分を追いかける
ベングの女闘士だ
真新しい血の痕を見つけて、それを辿って走るうち
あたしは戦う二人へ追いついた
「カ・・・・・?」
カオニュを呼ぼうとしたあたしは、思わず固まった
「死んで!死んで!死んで!死んで!死んでよぉ!!!」
早口で叫びながらカオニュはサンセールを攻撃している
明らかに、まともじゃない
完全に自分の防御を捨てていて、
その攻撃が激しいせいでサンセールは糸を防ぐので精一杯だ
こんなの、あの子の戦い方じゃない
『大戦』前に何度か一緒に戦ったことがあるけど
あの子は攻撃よりも防御を重視した戦いをしていた
自分の身を、次いであたしたちの身を守る戦い方を
でも、今のあの子は自分の身すらも守れていない
それにスタミナはサンセールの方が上だろう
あんながむしゃらな戦い方を
あたしみたいに鍛えてもいない身体で長くできるはずがない
・・・いや、とっくに息が上がってもおかしくねぇはずだ
嫌な予感を覚えて、あたしは割って入ることにした
カオニュが糸を引いて飛び退く仕草をしたのを見計らって
サンセールの剣を左腕の腕当で受け止める
「・・・あ、あるぼ、あ?」
「悪い、遅くなった!」
背後のカオニュの状態は分からないけど、血の臭いがしている
相当な出血をしているはずだ
ホエイか長を呼ばないと・・・
「ま、まって、いや、行かないで!」
カオニュは今度は小さい子供のように駄々をこねだした
やっぱり、今のカオニュはまともじゃない
「そこであたしが勝つのを見ててくれ!」
あたしは背後に声をかけた
カオニュは納得したのか黙る
後ろを見て確認したかったけど、
サンセールはそんなことができる相手じゃない
でも、この子は十分やってくれた
サンセールは今の攻防で消耗したはずだ
あたしの勝率がだいぶ高くなるのに十分なほどに
「お前は・・・・・ベングのアルボア、転生したのか」
サンセールは、あたしのことは覚えていたらしい
あたしはいつも通りに笑みを浮かべ、剣を構える
おおよそその通りだから、わざわざ答えることはしない
「お前がいるということは、ここの主はモンタズナか」
大外れだけどわざわざ訂正してやる義理も無い
「相変わらず、無口だな」
サンセールは、あたしが返答しないのを、ため息混じりで愚痴った
おしゃべりなのは、あたしの性に合わない
無駄口を叩く暇があったら今どういう状況かを把握して
次にどうするべきかを考えたほうが生き延びる確率は上がる
と、いうのはジューラ先生たちから教わったことだ
それに、サンセールは油断ならない相手だとあたしは身をもって知っていた
あたしはこいつに前に負けた事がある
それもバッサリ縦に真っ二つにやられて中身ぶちまけた
上下じゃなくて左右に唐竹割だ
さすがに今はそんな死に方だけはできねぇな
カオニュと子供たちに悪影響すぎるし
そんなの見せたらカオニュはサンセールと刺し違えようとするだろう
『死なないこと』、それがあたしの勝利条件だ
それに、長老とホエイが今はいる
二人ともプロの魔術師で歴戦のベテランだ
騒ぎを聞きつけて二人のどちらかでも駆け付ければ
あたしの勝ちは確定する
「邪魔するならもう一度、輪廻をくぐって出直して来い」
サンセールは、またあたしを殺すべく剣を構える
あたしを殺せば三人ともサンセールを生かして返さないだろうけどな!
長老は見た目は10歳くらいの子供だけどヤンデレ入ってるし
ホエイに至っては・・・・・
「生まれてきたこと後悔する羽目になるから
あたしを殺すのはやめたほうがいい」
『大戦』で知ったアレの性格を今更ながら思い出してあたしは思わず忠告した
「おま・・・命乞いか脅しかどっちかにしろ!!?」
サンセールが驚いて怒鳴る
いや、忠告のつもりだったんだけど・・・・・・
普段、あまりしゃべらないからうまく言葉にできないな
「あたしを殺すことはできても、次に死ぬのあんただし」
とりあえず本当のことを言ってみた
「!?き、貴様、まさかこの部屋にワナを・・・!?」
ちがう、そんなものあったら先に使ってる
第一、人の往来が激しい居住地内部の場所にワナ仕掛けるバカはいないだろう
「ここにワナがあったら、どうすんだよ・・・?」
あたしはツッコミいれたつもりだったんだけど
サンセールはますます焦って、あたしから飛び退いた
「言え、どこにワナを仕掛けた!?」
なんでそうなる、無いっつってるだろ?
「そんなに言うなら、自分で探せ」
あたしは呆れて言った
「くっ!?」
サンセールは周囲をキョロキョロしだす
完全に疑心暗鬼に陥っていた
あたしの言うこと信用しろよ?
今お前にウソついて何の得があるってんだ?
できればさっさと出て行って欲しいってのに
*
*
*
私たちは戦闘の音がしている方向に駆けた
でも、それは唐突に止んだ
何か起きたのだろうか?
血の痕が地面にある、それも新しい
まさか、誰かがサンセールを仕留めた?
それとも・・・・・・
「サンセールの奴、モンドールとでも出会ったのかな?」
シャットさんが素早く前方を駆けながら言った
彼は瞬時に前方の安全確認・偵察・罠の有無を確認して
合図を送って私たちについてくるよう促す
その繰り返しだけど、遅さを全く感じない
現に私たちは小走りに駆け続けている
さすがシーフギルドの頭目だ
「止まって、居たよ」
開けた場所の手前の出入り口でシャットさんは私たちを制止した
「・・・サンセールと、女の子が一人に女戦士が一人
女戦士はアルボアっていう奴だね」
気配を消して小声で、それでも私たちにはっきり聞こえる声で
シャットさんは情報を伝達する
「あのバカはいないみたいだね、とっちめてやろうかと思ったんだけど」
どうやらサンセールを護衛に雇ったというアルバラードはいないみたいだ
サンセールはキョロキョロしているけど、私たちに気づいた感じではない
何かを探しているようだ
「・・・ねぇ、アルボアって仲間と一緒じゃなかった?」
ドミニクの指摘の通り、アルボアにはモンタズナ一派と『トリカゴ』の司令官が付いている
「いや、今はアルボア一人だけだね
モンタズナも黒魔術師もいない、闇の騎士らしい奴も気配すらない
ただ、トリカゴのアイツは分からないよ」
確かに、油断はできない
あの司令官は『血の中を出入りできる能力』があることを以前に目撃したばかりだ
さすがに点々としている血痕は小さすぎて無理だろうけど・・・・・
これ以上、ここでぐだぐだしていても埒が明かない
私たちはシャットさんを先頭にその場に乱入した
「!貴様ら・・・くそ、挟み撃ちか!」
アルボアは私たちのことを敵か味方か判断しかねたのか、
警戒しつつ女の子を背に庇った
私は女の子を見た
すごくキレイな子だ、肌は白磁みたいに白くて髪の毛も上質の生糸のような白さだ
目も宝石のルビーのように赤く美しい
そして彼女の美しさの分、露出している腕と足の傷が痛々しかった
肌に赤く染まった糸が絡まっていて、足元にも血が滴っていた
「サンセール、キミの雇い主にボクは用がある
ギルドの長としてけじめをつけなきゃなんないのさ
あいつは掟を破って逆恨みして、ボクの顔に泥を塗ったんだからね」
シャットさんが厳しくサンセールに言い放つ間も私はその子から目が離せない
「お姉ちゃん、あのお姉ちゃん酷いケガしてる・・・」
ベステラが私の後ろから声をかける
「ねぇアルボア姉さん、その子まずいんじゃない?
手当しないと、さ?」
ドミニクも言った
でも、私が彼女から目を離せないのはそんな理由じゃない
「下がって、あの子・・・まともじゃないわ」
ルビーのように赤く美しい瞳には、狂気が宿っているのが見えた
あの負傷も剣によるものじゃない、自分でやったのだろう
あの糸を使って
「あな、た・・・ううん、お、ま、え、はぁ!!」
「カオニュ?」
急に大声を出して立ち上がったカオニュにアルボアが振り返る
彼女の視線は、まっすぐに私に向けられていた
「”また”私から全部を奪いに来たの、『フェニキス』!!」
かつて私が『大戦』前後にかけて所属していた忌まわしい国の名前を
彼女は叫んだ
(つづく)
<解説>
解説:忠告のつもりだった
アルボアさんの無口属性をどう活かそうか考えているうちに
この流れを思いつきました
付き合いがそれなりに長い人たちは
表情などで彼女の言いたいことを察することができますけど
サンセールさんはそこまで彼女を理解しておらず
また彼自身の経験が足を引っ張る形になって疑心暗鬼のドツボです
ではまた
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