Monster Makers’ Conflict-第2部第2章第1話:フース竜騎士団の再生 | 回廊蝦蛄日和

Monster Makers’ Conflict-第2部第2章第1話:フース竜騎士団の再生

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第2部:歴史の復活

いよいよ竜騎士たちが本格的に動きます

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第2章:浮遊城戦争、勃発す

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第1話:フース竜騎士団の再生

あたしはアルボア、闇の軍団に雇われている女闘士だ
「オレがフース竜騎士団の団長ジシュカだ、好きに呼んでくれ」
遥か北のゴブル半島の拠点でカオニュの葬儀を終えた後、
ミューザ長老が待ち合わせ場所に指定した場所で合流したのは、
もうとっくの昔に滅んだはずの竜騎士団だった
ただし、目の前のジシュカってオヤジ以外はアンデッドの・・・(汗)
ドラゴンもドラゴンゾンビやスケルトンドラゴンが主で
あたしの後ろで押しかけ旦那がお世話してるアリクレールみたいな
「生きたドラゴン」は、いない
「じゃあ眼帯おじさん、私たちこれから何すればいいの?」
「好きに呼べとは言ったがその中二病な綽名は遠慮させてもらっていいか?(汗)」
シャロン、速攻で綽名を拒絶された(汗)
ほっぺを膨らませるシャロンに代わって、ホエイが進み出て聞く
「あの、サンセールとかいう輩は処理しなかったのですか?」
部下たちから報告を聞いていたのだろう
この子は、大人しそうな顔してかなり物騒な発言をする
こんなんでも『侵略者の司令官』と言ったところか
「メッセンジャーとして適任だったからな
次に来た時は、お前が好きにしろ
それと・・・アルボアだったか?」
ジシュカは、あたしを見た
「・・・随分と鍛えているな
それにその剣、両手剣だろ?
おいおい、こっちのは斬馬剣じゃねーか
片手でそいつらを扱っているのか?
男でもできることじゃねぇぞ?」
ジシュカはあたしの筋肉を素直に褒めてくれた
いい気分だ♪
「どうだ、モンタズナの次はオレに雇われてみねーか?」
ジシュカは、あたしに誘いをかけた
「将軍、アルボアを雇う時は私に一声かけておくれ
私はアルボアの親代わりじゃからの
それに、この娘は昔から無口でな
交渉役は必要じゃ」
ミューザ長老がすぐ割って入る
「しかしジシュカよ、お前さんたち本当に我々について良かったのか?」
長老が疑問を口にした
ジシュカはすぐ答えた
「前にヒューマンの王族どもに協力してやったら、
オーク軍を滅ぼした後で用済みとばかりにオレたちは滅ぼされた
だから奴らには二度と協力しない
それが、オレの答えだ」
確かに、元々竜騎士たちは対オーク軍の戦力として活躍していた時代がある
それは物語としてウルフレンドのあちこちに伝わっている
中には狂乱したドラゴンにとんでもない被害を出されて
ドラゴンを恨んでいる村もあるけど
あたしに言わせればお門違いも甚だしい
狂乱のきっかけのドラゴンライダー殺しをしたのはドラゴン狩りの兵士どもだ
巻き添えになったのはそいつらのせいだろう
そして、ドラゴンライダーたちの末路を『教訓』としている勢力も少なくない
言うならば『貴族や王族を信用するな』という話だ
あたしもその一人だったりするけど
そして、その教訓はドラゴンも同じだったようだ
と、言うのは
今のケフルはクルアフ山の硫黄の山のドラゴンに貢物を贈っている関係だ
これは今のウルフレンドで起きている『リザレクション』が深く関係していた
山のドラゴンと仲良しの長老の証言によると
当時の記憶を保ったまま当事者のドラゴンたちが復活したらしい
ただ、ドラゴンたちはヒューマンよりも知的で理性的だった事でケフルは滅亡を回避した
全員が平和主義で過去の過ちを水に流そうなんて言う聖人君子だったわけじゃない
当然、復讐あるいはヒューマンの壊滅を考えるドラゴンはいないわけじゃなかった
それでもドラゴンたちが報復を断念した理由は『時間の経過』だ
肝心の復讐先はとっくの昔に墓の下だ
それもその墓石が朽ちて砂に土に還るのに十分すぎる時間が流れている
今はリザレクションと転生が盛んな時代だからどこかで復活している可能性もあるけど
それでも全員が記憶を保持しているとは限らない
あたしだって記憶は全部そろっているわけじゃないし
悪魔に連れ去られた記憶は特に薄くなってきている
まぁ、あれは思い出したくもないからありがたいことだけど
体は悪魔を見るたびに覚えている事を自覚させてくれた
その、肝心の悪魔はすごく優しく接してくれるんで何とも言えないんだけど・・・
ともかく、そういうことでケフルは滅びることはなかった
ただし、それとヒューマンへの強い不信感は別の話だ
ドラゴンたちはケフルから使者が来ると自分たちが上の存在であることを植え付けた
ようするに脅してドラゴンへ手出しをしないように約束を取り付けたんだ
で、話し合いの末にケフルは山の外のケフルを含むヒューマンの土地を襲わない事を条件にして
ドラゴンたちに貢物を贈って御機嫌を取っているのが現状だった
ついこの前まで、あたしはドラゴンが復活している事を全く知らなかったんだけど
ホエイ曰く『クルアフ山中や南の島々で相当な数が復活している』そうだ
あたしの知ったことじゃないけど、闇の軍団の中には『闇のドラゴン』の復活を目論む連中もいる
そいつらにとって今は願ったり叶ったりだろう
『従えることができれば』の話だけど
ドラゴンがそんなに甘くない事を、あたしは以前のグラナールの護衛任務で知った
山一つ簡単に吹っ飛ばす、あのドラゴンブレス
あの衝撃と恐怖は幾度転生したとしても忘れることは無いだろう
あんなもの、どれだけの軍勢を従えてきても直撃されたらひとたまりもない
甲冑も鋼鉄の盾も意味を為さない
骨が残ればまだ御の字もいいところだ
「さて、行くぞ」
ジシュカはそう言って歩き出した
「将軍、浮遊城は本当にあるのかい?
ヤコブレイトは、そこのホエ坊の勢力が押さえ済みと聞いているのだけど?」
長老の疑問にジシュカは笑って応えた
「ヤコブレイトじゃねぇから安心しろ、悪魔どもとやりあう気はねぇからな
そいつはな、はるか昔に落っこちた浮遊城だ
『コア』さえ使えるようにすればすぐ飛べるぜ」
そう、あたしたちの目的は『浮遊城の復活』なのだ
*
*
*
私はリュミール、ゴブリンの王様の謁見の間に来た吟遊詩人だ
「次はどいつだ!!?」
玉座の上で王様を踏んづけて仁王立ちで吠えてるのはドミニク
私たちの仲間だ
その周囲には彼女に挑んでボコられたゴブリンの兵士たちが転がっている
「さすがに、やりすぎだと思う(汗)」
グリンさんから苦言が提出されてしまった
シャットさんは、投げようとしたナイフの行く先がなくなり
呆然と事態を眺めている
クロワルースに至っては五体投地の姿勢で床にのびていた
彼女なりの感情の表現だろう、たぶん
事の発端は、ノルデン近くの遺跡の城で勝手に王を名乗ったゴブリンの調査だ
ノーラさんの船でノルデンの港まで私たちは着いたわけだけど
そこで早速こんな事件が起きていた
横暴で困るという事で酒場には冒険者たち向けの調査依頼の紙が貼られていた
大きなトラブルに発展する前に処理したほうが良いというシャットさんの助言で
私たちは依頼を受けることにした
連中の兵士だという、粗末な革鎧の兵士?にシャットさんの名前入りの手紙を渡したところ
あっさり謁見が可能になったのだけど・・・
どういうわけか、着いて早々ゴブリンの王様は私たちへ魔術を放った
ルフィールちゃんが咄嗟に打ち消したおかげで被害はゼロだった
(そもそも軽く痺れさせる程度で実害はほぼ無い軽い魔術だったらしい)
が、いきなり攻撃されたことでうちの暴走格闘僧侶がキレた
そして今に至る
「ドミニク、もういいわ」
残る兵士たちは武器を捨てて逃げて行った
たぶん金で雇われただけの連中だろう、王への忠誠心など持ち合わせているように見えない
そもそも装備が粗末な革鎧で、中にはナベをヘルメットの代わりにしていたり
農具で武装している奴もいた
盗賊ですらここまで酷い装備はしていないだろう
「いたた・・・」
王様も生きていた
彼は周囲を見回して、開口一番に言った
「お前ら、誰?」
は?
私たちは、あなたに呼ばれたんだけど?
「どうしよう、ドミニクお姉ちゃんに強く殴られすぎて記憶が飛んじゃったみたい
お金、もらえるかな?」
ベステラが心配しているのはコイツじゃなくて
依頼が失敗に終わってしまうことのようだ(汗)
「そうだ、オレは確かこの遺跡で財宝を見つけて、王冠を被ったら・・・」
ゴブリン王?の独白を聞いて、シャットさんは王の頭から外れて落ちている王冠を拾った
そして素早くそのへんにあった木箱へ放り込む
「こいつが元凶だったみたいだね」
私はシャットさんが抱える木箱を見た
『(そこの小娘、力が欲しくないか?
余ならば貴様を女王にしてやれるぞ?)』
思念が直接、頭の中に流れ込む
「・・・これ、あまり良くないものですね」
私は王冠の誘いを蹴ってあらかじめ購入しておいた符を張り付ける
ただの符じゃない、ソフィア聖騎士団で購入した本物だ
エミリオン姉さんの件も含めてアンデッドと関わるとろくなことにならないと学習した私は
これを用意しておいた
ヴァンパイアですら、これが張られたドアや窓を壊せないし、触れただけではじかれる
もっともあの『ノーブル』に効くかどうかは分からないけど・・・
結局、『王様』の正体は遺跡の発掘を生業にする
ただのゴブリンだった
王冠(に宿っている悪霊)に操られていたらしく
しかも操られていた時の記憶を当人は失っていた
逆に言えば、これ以上彼を問い詰めても得るものは何もないし
罪にも問えないわけだ
元凶であるこの王冠を持ち帰りお祓いすれば任務完了だろう
それにしても、着いて早速こんな事件に巻き込まれるなんて・・・
ここは大氷壁により近いから、『ベイオエント』の影響をかなり強く受けているんだろう
これ以上、何事もないといいけど・・・

(つづく)

 

<解説>

解説1:ケフルとドラゴン

ケフルがドラゴンへ貢物を送っている話は公式設定です
どうしてそんな事をしているのか考えた結果、こうなりました
オーク侵攻の対応で手いっぱいな上に
現在は対抗手段を失っているケフルにとって
過去の復讐に燃えるドラゴンたちの復活は、さぞ悪夢だった事でしょう

 

解説2:ゴブリン

ウルフレンドにおいてはオーク同様、「死すべき種族」=「人種」です(公式)
最近のファンタジーでありがちなアレなモンスターではありません(公式)
ただし国はとうの昔に滅び、町や村単位で暮らしている人々がいるのみです(公式)
また善良な性格のために黒い魔術師に騙されてこき使われることもあるそうです(公式)

 

解説3:ゴブリン王

小説『ナルド預言書』にあったエピソードがモチーフです
最初はアルボアチームに行かせようと思いましたが
闇の軍団(と超攻撃的な侵略者勢力)が無礼な目に遭ったら
どう考えてもゴブリンたちがえらい事(殲滅)になるので
やはり『ナルド預言書』にあったように光側のリュミール一行に
行ってもらうことにしました
穏便って大事ですね・・・

ではまた

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