Monster Makers’ Conflict-第2部第2章第3話:かつて天使と呼ばれた者
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第2部:歴史の復活
「大戦」最重要人物登場です
////////////////////////// //////////////////////////第2章:浮遊城戦争、勃発す
////////////////////////// //////////////////////////第3話:かつて天使と呼ばれた者
その者は、類稀な『才』を持っていた
その者は、海より深い愛情を持っていた
その者は、転生を繰り返し人々を救い
そして、常に過程で仲間を失い続け
最後は人々から見捨てられてきた
それでも、彼は人々を愛し救い続けた
「救うという行為そのものがばかばかしい」と、タカの名を冠する男は言った
「他者を無条件で信用するのは危険すぎる」と、2代目の白鯨は言った
「動物に言葉は通じない」と、空からの脅威を統べるユニコーンの女性は言った
「自分をもっと大事に」と、副官であり親友である男に言われてきた
「お人好しが過ぎる」とは、ただ一人だけ自分の妻と言えた娘の口癖だった
彼女との間に生まれた子供が、あの『ギルガメシュ王』の転生だというのは
運命の皮肉としか言いようがない
あの子が前世にしてきた事も自分の死後にした事も
すべて目を通してきた
すべてが滅んだ後の再生の時代
もう自分が為すべきことは何もない
そう思っていた
だが、気が付けば辺境の村で記憶を取り戻した
ただしその立場は貴族でも王族でも無く
ごくありふれた寒村の少年
それでも、彼はその人生を謳歌する中で思った
才を活かし人々のために動いていたあの時よりも
ありふれた人生を送る今が一番幸せだと
そしてこうも思った
傍に妻がいたら、この生はもっと楽しいものになるだろう、と
成人した彼はリザレクションのお告げを理由に村を出た
長い旅も『罰』だと思えば苦ではなかった
村人を、特に女性を理不尽に虐げガーラの呪いを受けて滅んだ貴族の屋敷に入り
そこで暮らしながら調査を行った
屋敷には貴族が集めた書物や骨とう品が数多くあり
その中には歴史にまつわるものも少なくなかった
『大戦』関係のものもあった
この手の金と権力にモノ言わす輩が『大戦』の情報を集める目的はおおよそ見当がついた
当時は世界の文明水準は最高にまで達していた
今では伝説となった兵器の数々もそこに含まれている
『炎の魔女』による浄化が無ければ、それらは代わりに世界を滅ぼしていただろう
幾千年幾万年経とうとリザレクションが不可能な形で
しかし世界は、救うために焼いた彼女を決して許さなかった
虚空に封じられた優しい魔女
彼女を救うことが自分に科せられた刑罰だと彼は考えた
刑期の満了は突然来た
旧友の一人であるシャットと再会し、ルフィーアの復活を知ったのだ
「じゃあ、ここにある資料はもう必要ないかな?」
屋敷ごと消してしまうべきだと彼は考えた
危険すぎる情報が含まれた資料もある
邪悪な心の持ち主、特に『闇の軍団』に渡すわけにはいかない
「待ってくれルガルバンダ、オレの大事な妹分とその友人たちが
それを必要としているんだ」
シャットは旅をしている事情を話した
ルガルバンダは驚いた
「大氷壁だって?
あそこは今とんでもないことになっているんだ!
危険すぎる・・・」
シャットがそれを知らないわけがないものの
思わずルガルバンダは口にした
「その危険を冒さなければできないことがある
あの子のリザレクションは、それなんだ」
シャットはついでに情報網を駆使して得た『ある情報』を
ルガルバンダに告げた
「キミなら絶対に漏らさないと信じて教えたんだ」
「・・・確かにそれなら、あの『ベイオエント』を
倒すことはできなくても一時的に弱体化させることは可能だろう
分かった、明日にでもまた来てくれ
それまでに準備はしておく」
「ああ、頼むよ」
シャットとルガルバンダは、この時まだ知らなかった
リュミールのリザレクションがウルフレンドの勢力図を
大きく左右する大規模なものになることを
*
*
*
あたしはアルボア、古代の遺跡の調査に同行している女闘士だ
あたしたちは街の屋敷に融合していた『塔』の中を進んでいる
こっそり侵入し、長老の術で暗闇でも見えるようにして
物音をなるべく立てないように
幸い、ここにはモンスターが全くいなかった
そして情報を入手したのは長老だけど、案内しているのはホエイだ
本人はクロワに張り付いているからオオカミ型の『使い魔』が代理をしてくれている
しかも、こいつを介してしゃべることができた
あいつはここに、すごく詳しかった
聞いてみたら、昔『フェニキス』とやり合って占拠した事があるらしい
そりゃ詳しいわけだ
長老はというと、『光の球』みたいなのと何やら分からない言葉で会話していた
そしてそれを中断してホエイに質問した
「ホエ坊、お前は『フェニキス』について詳しそうだから聞くけどね
『ルガルバンダ』という男を知っているかい?」
長老の問いかけに
「ああ、『リル』さんですか」
さらりと当人は答えた、しかも恐らく愛称のほうを
「強かったですよ、
全盛期の彼には一瞬で真っ二つにされたことありますし」
そこまでの情報は求めていないしどうでもいい(どうせ自業自得だろう)
そんな話を楽しそうに語るな戦闘狂!
「詳しいねぇ、ホエ坊」
ミューザ長老は(よせばいいのに)先を促した
「彼とは色々ありました
中立都市を共同経営したり・・・
彼が仕えていた王様が土地が惜しくなって裏切って破壊したんですけど
そのあとで私が王様殺しましたが
それに偵察艦を沈められたり・・・
あの後でリベンジして私が彼を殺しましたね、良い戦いでした♪」
うん、言うまでもなくそんな殺伐したガチ殺し合い話は求められていない
長老が杖落としてひっくり返ったのを、あたしは見守るしかできなかった
とりあえず、そいつと出会ったら真っ先にホエイを生贄に差し出そうと
あたしは心の中で決めた
あたしは今の今まで『差し出される側』だったんだ
たまには『差し出す側』になってもバチは当たんないだろう
戦闘狂は戦闘狂同士で迷惑かからない無人島とかで好きなだけ殺し合ってて欲しい
こっちを巻き込むなと言いたい
「亡霊たちに聞いたのじゃが、復活して隣の屋敷に住んでいるそうじゃ
・・・・・恨まれて、いないかねぇ?(汗)」
長老は死霊術師みたいなこと言いだした、そういえばこんな人だったと思い出す
だんだん、あたしの記憶は戻ってきているようだ
それが良い事か悪い事かは別として、『経験』は『力』になる
ジューラ先生も言っていた
「無関係の人間に手を出すような男ではないですよ
甘すぎて自分に降りかかってきた火の粉すら払う事を躊躇する人なのですから」
おかげで組んでいた時期はしなくてもいい苦労を散々する羽目になった
と、火の粉振り払った返す手で火元吹っ飛ばすコレが申しており・・・
正直、超過激勢力の一員が言う『甘すぎ』は『通常』の範疇じゃないかと思ってしまう
いやきっとそうに違いない
そいつが常識人であることを願おう
*
*
*
私はリュミール、お化け屋敷を探りに行く吟遊詩人だ
私たちはシャットさんとその客人で案内人のルガルバンダさんを先頭に屋敷へ向かった
屋敷は後から増設されたものだということが見て分かった
屋敷の中央にある塔だけ、明らかに材質が違う
実際に屋敷に入ってそれに近づくと、予感が正しいことが分かった
石のようで岩のようで土のようで砂のようで
でも、触っても崩れない
人工物なことは間違いないけれども、この素材を私は知らない
ただ『フェニキス』在籍時にちらっと見たデータの中に
この塔に似た建築物を見たことがある
その説明欄には「超古代文明の遺物、解析中」と書かれていた
この塔もきっと、『大戦』よりもずっと昔に作られたものなんだろう
町で得た噂の中に
『かつての戦で爆弾が直撃しても塔だけはびくともしなかった』とかいう情報があった
あながちガセネタではないと、この塔を目にして私は思った
「気を付けて、塔の中は空間が違うから」
入り口でルガルバンダさんはそう忠告した
その通りドアの向こうは、ありえない空間だった
灯台程度の規模しかないはずの塔だったはずなのに
広い円柱状の部屋だ
外周に沿って螺旋階段が続いていて
見上げると明らかに外見以上の高い場所に通じている
というか、見えない
「これ、昇るの?」
一番体力が有り余っているドミニクが恐る恐る聞いてきた
この子ですらコレだ
非力な職種の私は踏破できるかどうか・・・
「大丈夫だ、ここは通常空間と違うから
『辿り着く』と思っていれば数分でてっぺんだよ」
ルガルバンダさんは優しく笑いながら言ってくれた
ほっとしたのはドミニクもだけど
私もだ
「クロワルースだっけ?
ボクとキミとで先頭を行こう」
シャットさんがいきなりクロワルースに提案してきた
「え?
私じゃなくていいの?」
ドミニクが思わず聞いてきた
大体こういう時は盾にもなれる戦闘職が先頭だ
いつもはグリンさん(と回復役ルフィールちゃん)、次にモンクなドミニクが先頭を歩いていた
彼女はこれでも優秀な格闘僧侶だ
モンスターが不意打ちしてきたとしても対処できる
彼女とグリンさんで大抵のモンスターはどうにかなる
後続の私たちのバックアップが必要な場面は多くはない
「ここは、シーフの出番だからね!
久しぶりに腕が鳴るよ!」
「えええ・・・・・」
クロワルースはイヤそうだ
・・・いや、なんか困っている感じがする
「大丈夫、グリンがすぐ後ろにいる」
グリンさんはそう言ってクロワルースを勇気づけてくれた
クロワルースは渋々ながら頷く
その後も彼女は時々背後を気にしていた
私たちを気遣っているのかと思ったけど
私たちでなく、その後ろを見ているようだ
誰もついてきていない・・・・・はずだけど
(つづく)
<解説>
解説1:ガーラの呪い
小説「カード国の冒険」より
ガーラ様でなくディオシェリル様が来ても結果は同じだったでしょう
解説2:ルガルバンダ
名前は神話より引用のオリキャラ
(息子のギルガメシュ様は超有名ですけど彼はすごくマイナー)
策略家なのは認めるのですけど不要な感情や甘さに振り回されがちな
(ゴイン!)
ぶぎゃ!?
以前は、大変失礼なことをしました
今度会ったら無理にでも謝罪しますので
勘弁してください(代筆アルボア)
あと・・・これかな?
っ「ではまた」
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