Monster Makers’ Conflict-第2部第2章第5話:ヴェストリのノーヒア | 回廊蝦蛄日和

Monster Makers’ Conflict-第2部第2章第5話:ヴェストリのノーヒア

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第2部:歴史の復活

やってることアレですがポンコツだったりします
>ノーヒア

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第2章:浮遊城戦争、勃発す

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第5話:ヴェストリのノーヒア

私はリュミール、旅の吟遊詩人だ
アルボアたちと対話していたら『ノーヒア』と名乗る女性が闖入して来た
なんか知らないけど、相手側の反応から察するに敵対関係のようだ
「あの人、アルボア姉さんたちの敵なの?」
「たぶん、ね」
私はドミニクにそう答えることしかできなかった
彼女に関する情報が頭の中ですごく朧げだ
「ルガルバンダ様、私はここへすべきことをするために来たのです」
「ガマグチヨタカが、あなたに牙を剥いたとしても
私が助けることなどできない
分かっているのか?」
そういえば、ガマグチヨタカはヴェストリを滅ぼした黒幕だった
その帰り道にたまたま出くわした私たちが海底に沈めたんだけど
復活して今この場にいる
「すべきこととは、何じゃ?
私を殺すのか?」
「いいえ」
そう言ってノーヒアさんは剣を抜いてかざした
「しまっ・・・!」
ミューザの背後の無造作に床に置かれた一冊の本
それだけが剣から放たれた光で燃やされ灰になる
「なんてことを、してくれた・・・」
ミューザは鬼気迫る表情でノーヒアさんを睨む
「ミューザ、あの戦はもう終わったのです
長ならばいつまでもこだわるのは見苦しいと思いなさい」
ノーヒアさんは厳しく言い放つ
「・・・ざけるな」
それに対して・・・
「・・・ミューザ?」
「ふざけるなぁ!!!!」
塔全体に響く声でミューザは怒鳴った
「貴様のせいで、我らは、ノルズリは、二度と名誉の挽回は叶わなくなった!!
やっと見つけた、残された記録を貴様は・・・・・!!
私は貴様にとって、都合のいい生贄でしかないのだろう
それは、いい
じゃがな、私の民までもそれに巻き込んでくれたことは絶対に許さん!!」
ひとしきり叫んで、ミューザは荒く息を吐く
クロワルースは素早く動き、ミューザを庇うようにノーヒアさんと対峙した
「姉様、一つだけ聞かせてくれ
他に選択はなかったのか?」
クロワルースの背後から、ミューザは絞り出すような声で質問した
「その質問には『はい』とだけ答えます
幾度分岐が訪れたとしても
同じ選択を繰り返します
この剣にかけて後悔はしない、と」
ミューザの問いかけに、ノーヒアさんはきっぱりと言った
「繰り返す必要はありません」
ガマグチヨタカが声を上げた
手には6枚のカード、それを彼は地面へ放った
ズルリ、ズル・・・
カードからモンスターが実体化する
ガマグチの、背後に
首飾りを付けた、ガイコツの兵隊だ
「私の失態は私自身が償わなければ」
以前に出会った『骸騎士』のような意志は
そいつらには感じられない
ただ簡単な命令だけをこなす操り人形のようだ
それはいい
手駒だろうことは見ればわかる
なんでそいつらあんたの後ろにいるの?
普通、こういうのって前衛に配置する駒だろう
だけど、どう見ても前衛はガマグチだった
・・・あ、司令官自ら参戦する気だ
腰のあたりから『蛇』を取り出して構えたし
「ノーヒア、分かっていると思うけど
あいつの気まぐれ次第で、殺されたら『あいつら』の仲間入りだぞ」
ルガルバンダさんはガイコツたちを指さしながら言った
「知っています、本当に『骸魔』は悪趣味な種族ですね!」
『骸魔』って言うのがガマグチの種族か・・・
さて、私たちはどうしようか?
話で大体どういうことか理解はできた
ミューザたちは、この塔に『大戦』の記録を探しに来ていたのだろう
『裏切りの民』という自分たちの汚名を晴らすために
それを、ノーヒアさんが妨害した
何か事情があるのだろうけど、やり方が強引すぎだ
正直あっちの味方はしたくない
彼女が余計なことをしなければ、
アルボアたちも『裏切りの民』の汚名を着ずに済んだだろうし
「シャットさん、『私たちは戦わない』
いいですか?」
私はシャットさんへ告げた
「これはノーヒアさんが勝手に起こした戦いだから
私たちは関係ない
私たちはアルボアたちと話し合って協力も取り付けたのに
『部外者』がぶち壊しにした
だから彼女たちと争う理由がない
これが、私の答えです」
シャットさんは私を見つめた後、笑った
「奇遇だね、オレもそう思ったところさ
あの、ノーヒアとかいう女は、ムカつく!」
なんかシャットさんの口調が変わってる
彼も怒っているようだ
クロワルースは一言
「姉さま・・・」
そう呟くと
懐から何か取り出してノーヒアさんへ投げた
見るとそれは、何かの紋章が刻まれたペンダントだ
「クロワ、あなた・・・!」
クロワルースは
何か言いかけた彼女に舌を出すとガマグチに駆け寄った
「え、あの・・・そっちの方が安全と言いたいのかい?」
両腕を広げて待っていたミューザは寂しそうだ
ルガルバンダさんはそれを見て
「ガマグチ、お前その子にも餌付けされたのか?」
「二度と口きけないように声帯潰しましょうか?#」
ただでさえ不利なのに怒らせてどうする(汗)
「クロワルース、あなた・・・」
「ボクはもう迷わない!
友達を、大事な人たちをこれ以上傷つけさせない!」
クロワルースは両腕を広げてミューザたちを守る姿勢で言い切った
ガマグチの背中に隠れていなければ
かっこよかったんだけど!(汗)
「いい、ホエ坊
そいつらをしまっておくれ
今日は疲れた」
ガマグチ(ホエ坊ってあだ名か?)はそれを聞いて
骸兵をカードに戻した
「私はホエ坊がおればそれで良いわ
ツチラトが転生してきたとしてもくれてやる
・・・どうせ、運命は私を選ばぬし
欲しいものはホエ坊が全部くれたからな
だから、もう、良い
・・・・・・神も勇者も賢者も私を見捨てた
だから今更手を伸ばして来ても、私から願い下げだ」
ミューザはそう言うと背を向けた
「ここにはもう、欲するものはない
引き上げるぞアルボア」
バサァ!
大きな翼の音がしてバルコニーの外に双頭のドラゴンが姿を現す
「久しぶりだね、サキューキ」
クロワルースはそのドラゴンとは顔見知りのようだ
ドラゴンは嬉しそうに
「話は聞いたよ」
「歓迎する」
しゃべった!?
「じゃあ、ボク行くね」
「またね、クロワお姉ちゃん」
ベステラの順応早!?
「アルボアお姉ちゃん、クロワお姉ちゃんをお願いします!」
「うん、任された」
本当にこの子のコミュ力どうなってるの?(汗)
アルボアとも速攻で打ち解けてるし・・・ベステラ、恐ろしい子!
ともかく、ミューザたちはクロワルースを連れてドラゴンに乗って去って行った
戦闘にならなくて本当に良かった
アリクレールもどうせ連れてきているだろうし
最悪、アリクレールとあのサキューキとかいうドラゴンの2体
それにあの司令官とその手下たちの相手をする羽目になっていたところだ
絶対に勝てない・・・・・・
「ノーヒア、キミはどうする?」
「横から入ってきて人の調査の邪魔をして・・・・・・
落とし前、どう付けるつもりだい?」
ルガルバンダさんとシャットさんが二人してノーヒアさんへ詰め寄る
「ま、待ってください
せめてものお詫びに、情報を渡します
ここの端末から引き出せるはずです」
クロワルースに見捨てられたショックから立ち直るの早すぎないかなこの人?
・・・あの子のことを道具程度にしか見ていないのだとしたら
許せるものじゃないけど
「!?ま、待って!
そいつをいじっては・・・」
ルガルバンダさんが止めるより早くノーヒアさんは端末の操作をした
『端末』は、私が前世でいた世界にあった『ノートパソコン』に似たものだ
その画面に古代文字らしい文字列が羅列して行く
ただ・・・文字が”赤い”のはどういうことなんだろう?
私にはよく分からないけど、二人は震え始めてるし
絶対に良くないことが進行中だ
「『権限外のアクセスを確認、
機密保持のため当施設は自己消去プログラムを実行します』!?
どういうことですかこれ!?」
ノーヒアさんが叫ぶ
どうすんだノーヒアさん!?
「ガマグチがコレを放置して帰るような迂闊な奴なわけないだろう!?
自己消去まで・・・時間がない!」
なんか知らないけど、逃げたほうが良さそうだ
「みんな、バルコニーに走って飛び降りるんだ!」
ここはシャットさんを信じるしかない
私たちは一斉にバルコニーに走った



バルコニーの下には布団やらクッションやらが敷き詰められていた
シャットさんが万が一を考えて部下の人たちに指示して用意させたらしい
おかげで、高い位置から落っこちてもケガ一つなく済んだ
・・・と、言いたいところだけど
改めて塔を見上げたら、屋敷の3階程度の高さしかない
結構高いところまで登ったと思ったんだけどかなり低い位置だった
・・・やはり、超古代文明が作ったこの塔は、普通の建物ではないのだろう
私は目の前で砂と化して崩れていく塔を見て思った
よく見ると中の家具とか無事だった本なんかもまとめて砂になっている
・・・どうやら、塔が砂になるんじゃなくて
塔と中のものがまとめて砂になるシステムのようだ
脱出が遅れていたら、私たちもああなっていたわけだ
「なにこれ、塩辛いよ!」
いやドミニク、なんであなた地面に落ちてるもの舐めてるの!?
「これ、塩だね」
シャットさんはそう言った、目を輝かせながら

後日、シャットさんのギルドは『超古代文明塩』なる塩を販売して
大儲けしたのだけど
それはまた別のお話

(つづく)

<解説>

解説:自己消去プログラム

いわゆる「自爆装置」
頑丈な建築物でも関係なく原子を素粒子レベルで強制的に組み替えて
ただの無害な塩にしてしまうものです

ではまた

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