Monster Makers’ Conflict-第2部第2章第6話:閑話休題-久方ぶりの集結 | 回廊蝦蛄日和

Monster Makers’ Conflict-第2部第2章第6話:閑話休題-久方ぶりの集結

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第2部:歴史の復活

箸休め回です

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第2章:浮遊城戦争、勃発す

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第6話:閑話休題-久方ぶりの集結-

あたしはアルボア、ベングの部族出身の女闘士だ
「この記録媒体を先に回収しておいて正解でした」
ホエイは、そう言って『箱?』を何やら訳の分からない装置につないでくれた
ここはブルグナから逃げ出したオークたちの避難所になっているアジトだ
塔から脱出した あたしたちはここに戻ってきた
ノーヒアはあの時に、あたしたちが探し出した本を破壊したけれど
中身はホエイが別に確保していた
面倒だからと、あそこにあった書籍全部が収まっているらしい箱?のようなのを
持ち出してアリクレールに持たせて先に帰していたのだ
『データ化された』とか言っているが、あたしにはちんぷんかんぷんだ
あたしはそれを見た、というか長が「お前がいない間の出来事だ」と見るように言われた
そうしてあたしは、あたしが死んだ後の出来事を知った
「ノーヒアめ、『大戦』の再現を恐れるあまり真実までも葬ろうとは
愚かな姉じゃ・・・」
長は呟くように言った
それが理由でもノーヒアのは過剰反応すぎだと、あたしは思う
あたしたちは、あいつの身勝手のせいで滅ぼされた
それに、この箱?の中には大戦の頃の兵器の設計図とかは無かった
ただの記録が収められていただけだったし、見ただけじゃモンタズナ様でも再現はできないだろう
見るためにも専用の装置が必要になる面倒なシロモノだ
ホエイの話だと、今回は超古代文明のまだ動く装置が代用されたけど、
本来はもっと脆くて安い量産型の装置を使うらしい
『大戦』の時代は科学文明は最高水準になったものの
超古代文明の全てを取り戻すには至らなかったというのが長の話だ
そんな超古代文明は、あたしには途方もなく思えた
「さて、やっと存命のノルズリがこれで全員揃ったねぇ」
長はそう切り出して前のアジトから持ってきた数少ない家具の椅子に座った
(当人が気に入っているので、それは『子供用のハイチェア』だということは黙っておこう)
(ホエイ、噴き出すなよ堪えろ、長が自分で気付くまで黙って見てるんだ)
あたしは周囲を見回す
長の他は、あたしだけ
あとは押しかけ旦那(そういえば長とも冥婚してたなこいつ)とクロワだ
カオニュは死んじまったし、オルボワとジューラ先生に至ってはどこにいるのかも分からない
あたしの妹ピノはホエイの弟子が探しているらしい
早くあの子もこの輪に加えたい、あたしは心の底から思った
あの子たちが加わっても、それでも指で数えられるだけの人数
それが、あたしの部族の現状だ
リザレクションの時代になったけれども、あたしたちはそれの恩恵にはまだ授かれていない
いや、授かることができるかどうかも分からない
どの時代もどの世界も、奇跡や幸運はネームドやその関係者について回る
時には、ただそういった存在が『助けたい』と願っただけで助かることもある
反面、あたしらのような『かすりもしない』連中はあっさり死んでいく
それを、あたしは長い死にまくりな人生で思い知っていた
「長、カオニュは、もう・・・?」
クロワはカオニュのことを聞いた
「残念じゃが・・・あの子はもう、転生できん
アルビノのダークエルフのハーフなど、
そもそも存在自体がごくごく稀だからねぇ」
長がカオニュの魂を自身に取り込んだ時点でそんな予感はしていた
あの子が一体、何をしたって言うんだ?
あたしは運命を心底呪った
『運命の神』なんてものがいるのなら
今のあたしはたぶん殺せる
—あいつらは、あたしたちを虫けら程度しか思っていないから—
・・・・・・・?
なんだろう、今あたしは何かを思い出しかけた
たぶん、とっくに消えた過去の断片なんだろうけど・・・
ホエイを見る
あの時、あいつはあそこにいた・・・?
「これからの方針を伝える
我々は、フース騎士団と正式に合流した上で
ベイオエントに協力する!
私はこの後でヤコブレイトへ向かうつもりじゃ」
長は高らかに宣言した(子供用ハイチェアに座ったまま)
つまり、あたしたちはヴァンパイアや悪魔たちに協調行動をするってことだ
ついでに言うと、そのヴァンパイアらの王は
ホエイの仕えている王族の姫様の婚約者だか恋人だかだったりする
ホエイ曰く「それでも縁談の話は舞い込んでいるけど良いのは無い」らしい
婚約者がいるのに縁談なのかと思ったけど、
魔界の常識はこちらとは違う
こちらの世界で王や金持ちが側室を何人も侍らせるように
魔界の姫君が何人も男を侍らせていいのもあり得る話だ
なにせ、魔界の王の娘だ
その権力は途方もないものなんだろうし、
その血縁に自分も入りたいという王侯貴族はたくさんいるだろう
「前から思ってたんだけど
ミューザ様はガマグチ・・・ホエイを甘やかしすぎじゃないかな?」
クロワがド直球の正論をミューザ様に投げた
「悪いか?
・・・・・じゃない、そんなことはないぞ
これは、私が長として考えた上で出した結論じゃ!」
いや、あんた本音出てたよ今さっき?
「待って、長
ヤコブレイトってホエイの仲間たちが拠点にしてるんだろ?
あたし悪魔に生贄に幾度もされてきたんだけどさ
全員が全員コレみたいに、あたしたちに友好的なわけじゃないだろ?」
と、いうのはホエイからの情報も入っている
(スペルネーム使うまでもなくベラベラ内情しゃべってくれるんだよなこいつ
こんなの部下にしてて大丈夫なのか魔王様?)
(当人は「下手な憶測並べられるよりは真実知ってもらったほうが都合がいい」
「知ったところで支障は出ないし人間たちには止められない」と自信ありげだったけど)
もう記憶はだいぶ薄れているけど
『生贄』にされた感覚は魂が覚えている
あたしはさすがにこれは言っておこうと思った
ホエイは、あたしにどういうわけか惚れている
惚れた弱みなのか、ほいほい言うこと聞いてくれるけど
あいつ以外の悪魔はそうとは限らない
むしろ、人間を食事程度にしか思っていない奴がほとんどだろう
ホエイはあくまで『例外』だと思っておいたほうがいい
「安心しな、アルボア
全員がヤコブレイトへ行くとは言っていないよ
私は少なくとも行くが、問題ないね」
そういって長は歯を見せて笑った
姫と称されるにふさわしいその綺麗な歯並びの中に違和感があった
犬歯が驚くほど大きくなっていることに、あたしは気づいた
「報告はすでに済ませています
襲われることはないでしょう」
ホエイが言う
そういや、こいつにとってはあっちが『身内』か
*
*
*
魔術師シャロンは不機嫌だった
用事で遅れて行った結果、塔の調査には参加できなかった
その上、変な女に縛られて身ぐるみ剥がされ
下着姿で屋敷の中に放り込まれたのだ
ガマグチヨタカの弟子が探しに来てくれたおかげで
その屈辱は短い時間で済んだが・・・
助けられた当初は気晴らしに村の一つ二つ焼いてやろうと思ったほど
彼女は怒り心頭だった
誰かの大切なものを奪う快感でしか、このストレスは晴らせない
「あの女、絶対に見つけ出して燃やしてやる!!」
「わたくしたちも、あいつには多くを奪われていますわ
ただ殺すだけでは足りないほどの恨みを、抱えていますの」
その弟子は宥めるでも止めるでもなく
同意してくれた
だから怒りは緩和されて不機嫌程度で済んでいる
「あの女は、ろくでもないことをまた企んでいますわ」
その弟子は、さらにこう続けた
その意味をシャロンは瞬時に悟る
「いいわ、この第四の預言者にして
爆炎の魔術師シャロンが手を貸してあげる」
その弟子は微笑んでこう言った
「ついでに、女の子がどういうのを喜ぶのかを
教えてくださいませんこと?」
「は?」
恋人を捕まえるのが今の主な目的のくせに恋愛に全く疎いバカ師匠では
あてにもならない
そんな愚痴を聞かされつつ、シャロンはキーラの恋愛相談へ乗ることになった

(つづく)

<解説>

解説1:お姫様の縁談

姫様(魔界のプリンセス)自身のカードテキストより
解説役はたぶんというか十中八九ノーブル様
姫様の寝所に入れる人ってあの御方くらいですし

解説2:その血縁に自分も入りたいという王侯貴族

ぶっちゃけるとそんな仰々しいものではなく
「うちの子とかどうですか?」的な、かなり軽めのものです
寿命も価値観も死すべき種族とは異なるのと
魔界が成立した当時&
魔界の王の堕天の事件の当事者かつ目撃者は多数が存命という状況なので
(そもそも「寿命」や「死」の概念がない
&RPGの魔王がそうであるように「死んでもいずれ復活する」方々ばかり)

 

ではまた

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