Monster Makers’ Conflict-第2部第2章第7話:狩る者どもの里の悲劇 | 回廊蝦蛄日和

Monster Makers’ Conflict-第2部第2章第7話:狩る者どもの里の悲劇

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第2部:歴史の復活

原作コミックにもあったあの話に触れます
残虐描写注意

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第2章:浮遊城戦争、勃発す

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第7話:狩る者どもの里の悲劇

私はリュミール
縛られているノーヒアさんの手綱を握る吟遊詩人だ
どうしてこうなったかというと、この人がかなり危ないからということで
みんなで縛って里まで案内させることになったから
過去にやらかしたアルボアの部族への非道
それに今回のうっかり塔の自爆?装置作動事件
さらに、私たちのところに来る前にモンドール派のシャロンという魔術師を
不意打ちして縛って服を拝借してきたという
これに、さすがのシャットさんも
キレた
「何しでかしてくれてんだ、あんたは!!」
尻尾を立ててノーヒアさんを怒鳴った後で
すぐにシャットさんは手下の人たちに屋敷を探させたけど
すでにシャロンはいなかった
「ああもう、なんてことだ
下手したらこの町はなくなるぞ」
シャットさんは珍しく頭を抱えて気弱だ
・・・って、『町がなくなる』?
「ねぇシャットさん、町がなくなるって・・・・・
その、シャロンて魔術師は権力者なの?」
ドミニクは恐る恐る聞いた
確かに、街を一つ潰せる権力者か軍隊を私有しているというほうが
精神衛生面の都合で良い
「いや、爆炎で焼き尽くされるかもしれない」
しかし現実は甘くなかった
最悪の可能性をシャットさんは言った
「第4の預言者、爆炎の魔術師・・・色々な二つ名があるけど
彼女の怒りを買って無事でいられた町や村は無いんだ
バレル修行院でも『シャロン女史は絶対に怒らせるな』って
すごく有名だという話だ」
つまり、そんな最過激派な魔術師を
塔の中に潜入するためだけに怒らせたわけだ
「バレル修行院って、ガンダウルフ様とかの光の魔術師の拠点じゃないの?」
「それは昔の話だ、今は両方の勢力が在籍している
ウルフレンド中が今はこんな状況だけどね」
ドミニクの問いにシャットさんは肩をすくめて言った
そういうわけで、私たちはルガルバンダさんの誘いを固辞して
ノルデンの町から出ていく羽目になった
今はノーヒアさんの案内で彼女の身柄を彼女の里に送り届けている最中だ
「シャロンを怒らせたのはキミの自業自得だ
長なら自分の尻くらい自分で拭け」
シャットさんは厳しくノーヒアさんへ告げた
そして今に至る
「この先に私の息のかかった里があるので
私の縄をほどいてくれませんか?」
私たちは顔を見合わせた
「どう思う?」
「苦し紛れのウソかもしれないよ?」
「でも、宿があるならそれに泊まるに越したことはないし・・・」
私たちは考えた
ノーヒアさんはウソを言っているようには見えないけど
信用もできない
かといって『安全な休憩所』を見逃すのも気が引ける
私は旅に出て『安全に休める場所』がいかに貴重か
団のみんなが私を含む子供たちのために
『安全』をどれだけ苦心して作ってくれていたか理解した
「じゃあ、解いてあげるから
代わりにスペルネーム教えてよ」
ドミニクがすごい提案してきた!?
確かに彼女のスペルネームを知れば、彼女はもう私たちに逆らえない
それに、彼女の暴走も止めることができる
ただ、スペルネームは魔術師だけが持つルールだ
「え、あの、それは・・・」
ノーヒアさんが言葉に窮している
どうやらスペルネームがある魔術師らしい
ドミニク、ナイス判断だ
「一応聞くけど、変な村じゃないよね?
この辺りは貧しいし寒い
旅人を狙う盗賊の村とかのウワサもよく聞くんだ」
シャットさんの問いかけにノーヒアさんは渋々答えた
「あそこの村は、かつてユニコーン族を狩っていました」
そっちの話か
『有角人種(コーンドレイス)』は角のため狩られることが
この大陸ではままある
その角が闇で高値で取引されるからだ
装飾品だったり、あるいは薬だったりで
でも・・・
「ああ、その話か
オレがそいつを禁じたから
今は、ぱったりとやめたはずだよな?」
コーンドレイスの角の取引はシャットさんが私が旅立つ前の時期に禁止した
理由は、彼の友人にユニコーン族のハーゲンという人物がいるかららしい
そうでなくとも、『人間を狩る』という時点で非人道的だ
私が前世で過ごした世界では海外の話で聞くことがあるけど
そういうことを国内でしでかすのは未確認生命体だけだ
それに・・・・・
この世界ではすっかり忘れられているだろう
苛烈な攻撃を仕掛けてくる『トリカゴ』の上層部は
ユニコーン族だということを
もっとも、彼ら彼女らがこの世界を起源にしているとしても
その性質は全く異なる
この世界のユニコーン族は平和的で温厚だ
でも、『トリカゴ』の上層部は真逆だ
国一つ丸ごと焼き滅ぼすことも厭わない苛烈で攻撃的な種族になっている
宇宙に進出した『トリカゴ』の上層部に何があったのかは私も知らないけど
彼ら彼女らが『ユニコーン狩り』をする連中をどうするかは想像に難くない
・・・ていうか、シャットさんの一人称が『オレ』になっている
これはノーヒアさん、やらかしたか?
「・・・ああ、そうだ、思い出した
禁じた後も時々『角』が市場に出回ることがあった
ここが供給源か?」
そういうことか
「それはあり得ません
ここらのユニコーン族はすでに全滅してます」
つまり、狩り尽くしたということだろう
「ひどい・・・」
ルフィールちゃんが思わずつぶやく
私たちも、さすがに絶句した
「でもさ、全滅したならどうして角が出回ってるの?
偽物とか?」
「いや、部下に調べさせたけど間違いなく本物だと鑑定された」
ドミニクの問いかけにシャットさんは言った
「・・・ねぇ、村の近くに洞窟とか無い?
氷をしまっておけるような温度が低い場所!」
私は前世の記憶を引き出す
あの世界では国際条約で革目当てのワニの狩猟が禁じられた後もワニ革製品は出回っていた
それは、ワニの革のストックがあったからだ
もしストックがあるなら、禁止がされた後も品物を流通に出すことができる
私はその考えをみんなに説明した
「リュミール、旅が終わったらボクのところで働かないかい?」
シャットさん直々のスカウトをされた!?
「そうかそうか、盲点だったよ
どこかにしまっておける場所があるのなら、なくならないはずだ」
言うまでもなく『人体の一部』なんてものはワニ革と違って全面禁止だけどね
あっちの世界でそんな事したら、間違いなく警察沙汰になるだろう
「あの、待ってください
仮に証拠が見つかったとして
どうするつもりですか?」
「無論、裁くよ」
シャットさんはきっぱりと言った
「『他に産業がないから仕方ない』なんて言い訳は通じない
ボクは代わりになる仕事を金も含めて、たくさん与えたはずだ
なのに『角』の裏取引に手を染めた
食うに困って悪事を働くのと、利潤目当てで人を傷つけるのは違うんだよ
情状酌量は無いってことさ」
ノーヒアさんはそれを聞くと押し黙った
彼女なりに考えがあって目こぼししていたんだろうけど
過去の過ちを忘れて反省もせず、また繰り返してしまったからには同情はできない
そういうわけで、私たちは村の近くの洞窟に来た
中はひんやりしている
ここなら腐りやすい肉とかを保存することもできるだろう
もちろん、ユニコーン族の死体も
「ここで待っていてくれ
中はたぶん、えげつないことになっているだろうから」
シャットさんはそう言うと一人で奥に駆けて行った
角の話は、さすがにまだ憶測の域は出ない
だから証拠品を取りに向かったのだろう
私はユニコーン族の死体が転がる凄惨な光景を想像して
震えながら頭を振って妄想を追い出した
その時だった
「あんたら、ここで何してんだ!」
大声に振り向くと、近辺の村人らしい男たちがいた
「あ、ノーヒア様!
どうして縛られているんだ!?」
「さてはこいつら・・・」
村人たちはノーヒアさんの仲間らしい
しかも、どんどん殺気立っていく
私は村人たちの得物を見た
ノコギリのようなものや見たこともない刃物
そのどれもに古い血が付着している
ユニコーン族の特徴の銀の髪の毛みたいなものまで
こびりついている様子から、もうクロで確定だ
シャットさんが証拠を持ってくるまでも無さそう
村人たちの数は多いけど、それほど強くないだろう
私たちは臨戦態勢になった
こいつらをぶっ飛ばすのに理由なんていらない
一発殴ってやりたいと思っていたところなのだ
「ぎゃあ!!」
その時だった
突然、村人たちの後ろのほうで悲鳴が上がった
「おうおう、こんな所で雁首揃えて何してんだ?」
後列の村人たちが血しぶきを上げてバラバラになる
私は咄嗟にベステラの目を覆った
「ルフィール、見てはいけない!」
グリンさんもルフィールちゃんの目を隠す
血煙の向こうにいたのは
目つきの鋭い青年
ただし、できれば出会いたくない相手の一人だ
「た・・・『タカ』!?」
村人だった残骸を踏みつけて、そいつは私を見た
「ん?
ああ、誰かと思えばガマグチを仕留めた連中の・・・
いや、あいつ生きてたから仕留めちゃいねーか
っつーか、その名とオレの顔知ってるってことは
前世の記憶を保持しているな、てめー?」
見た目はチンピラの大将っぽいやつだけど
一言二言でここまで看破するのは
さすが『三巨鳥』の一人といったところか
まぁ、私が相対したのは正確には前世というか前々世で
しかも『タカ』はその時に
後にフェニキス建国する王様にボコられて
『第四次モンスターメーカー戦争』が本格化する前段階で脱落したのだ
結局そのあとでコイツのことは見てもいないし
他の『三巨鳥』とかその配下の幹部とかとばかり出会っていたし
「で、お前ほどのやつが何でこいつらに囲まれてんだ?
言っておくがこの村のやつらはオレらと関係ねーぞ?」
どうやら私はいつの間にやら『トリカゴ』内部で有名のようだ
ガマグチのやつって、そんなに強かったのかな?
いや、巨大空母を任される程度には実力者なんだろうけど・・・
「お、お前、こいつの仲間か!」
リーダーらしい初老の村人が叫ぶ
「んなわけねーだろ
オレの部下だったら攻撃対象の村を避けて通るなんてしねーよ」
その言葉に、私ははっとした
だったらこいつは村を避けず通過したという事だ
『攻撃対象』、その言葉の意味は『トリカゴ』では『殲滅命令』が出されていることを意味する
「オレは、強いて言えば・・・
あんたたちがその洞窟の奥に隠してる
ユニコーン族の配下、だな」
『タカ』の言葉に対する村人たちの反応は・・・
武器を構えて『タカ』を睨むことだった
「知られていたか、なら生きて帰すわけにはいかん!」
これ絶対に次に私たちも狙われる流れだよね!?
「リュミールつったか?
お前らもう行っていいぞ
どうせ残りはここにいる連中だけだ」
私たちと村人たちに『タカ』は言い放った
幸い『タカ』は私たちには興味がないらしい
「理解できねぇか?
とっくに”全員一人残らず殺してやった”っつってんだよ
生きてるのはお前らだけ、オレは残りのお前らの始末に来た
OK?」
絶句している村人たちに『タカ』は説明するようにゆっくりと言い放った
「な・・・オラの妻も、幼い子供らも、か?」
『タカ』は村人の一人のその言葉に
「あ~、あれ、お前の家族だったか
ご愁傷さまだ、な」
ただそう言い放った
「洞窟の中に退避して!
巻き込まれたら死ぬわ!」
私はベステラを抱えてドミニクを引っ張りながら言った
グリンさんもルフィールちゃんを抱えて洞窟の中へ飛び込む
「よくも・・・ぎゃあ!!」
「この、こ・・・げぇ!」
断末魔と肉を割く音、何か湿ったものが地面にぶちまけられる音が連続する
絶対に後ろは見たくない
『タカ』の非道は明らかにやりすぎで許せるものじゃないけど
今の私たちが向かっても殺されるだけだ
実力差がありすぎる
これが、『三巨鳥』なのか
帰りもできれば別の道から迂回して行こう
私は固く決意した
「ま、まて、まってくれ、この奥にある『角』は全部くれてやる
売って得た利益も全部・・・」
「いらねーよ」
最後に聞こえたのは
あの長らしい男の命乞いと、それを一蹴した『タカ』の言葉だった
「このまま奥に走ってください
私の拠点に通じています」
ノーヒアさんはそう言った
・・・そうだ、この人一緒だった
ああは言ったが『タカ』はこの人を狙って来るだろう
あの村はこの人の息がかかった場所なのだから
他の退路は無い
私たちは唯一の活路の洞窟の奥へと走り出した
*
*
*
あたしはアルボア、惨劇の村に通りかかった女闘士だ
「ひでぇなこりゃ」
あたしは周囲を見回す
家には火が放たれて村人たちがあちこちに死体になって転がっていた
奇妙なのはその死に様だ
どいつもこいつも真っ二つ
中には唐竹割にされたり4つになったりしてるのもある
壁ごと何かに貫通されて大穴開けてるのもあるんだけど・・・
オークじゃない、かといってオーガでも無い
あいつらはヒューマンに敵対的だけど、ここまで死体を壊せるやつはいないし
ここまで壊すほど憎んでもいない
「生存者は?」
「ダメだ、生きている奴は見たところいない」
ホエイは相棒の邪神と会話している
・・・本当にあの二人は仲いいな
もっとも、あたしとホエイたちはここに遊びに来たわけじゃない
長がフース騎士団と話をしに行っている間、
拠点にしやすそうな場所を探しに来ていたんだ
その役目に立候補したのがホエイだった
クロワは置いてきた
働き詰めだし療養が必要だ
それに、これ以上仲間を失いたくない・・・
だから一緒にあたしも来たわけだ
ホエイの名誉のために言うけど、この惨劇はコイツの仕業じゃない
あたしと一緒に、つい今しがた到着したばかりだし
「・・・・・!」
あたしは殺気を感じて剣を抜いた
ザク
攻撃は、あたしに届く前にホエイの左腕に刺さって止まる
「が・・・ガマグチヨタカ准将!?」
攻撃を繰り出した奴は驚きの声を発した
「あなた、確か『タカ』大将の部下でしたねぇ?」
あたしには絶対に向けない氷のような声でホエイは聞いた
ていうか、話から察するに襲ってきたのは『トリカゴ』の一員らしい
ホエイの腕に刺さっている、というか切り込まれて途中で止まっているのは
そいつの右腕だった
いや、よく見ると騎士の馬上槍みたいなものだ
それが右腕と一体化して二の腕から先が武器になっていた
「『ガマグチヨタカ』、なぜそいつをかばい立てする?」
やっぱりあたしをねらって来ていたのか、こいつ
・・・狙われる理由が思い当たらないんだけど
少なくとも『トリカゴ』と敵対した記憶は無い
第一、あたしにいい寄ってきている奴は『トリカゴ』の高官だし
「私の妻になる女性ですよ
何を言っているのですか『ヘビクイワシ』大尉・・・いえ、今は中佐でしたか?」
「へ?
この村の奴じゃねーのか?
そいつは悪かった・・・」
あっさりと『ヘビクイワシ』は引き下がった
その前に目の前にいるのは明らかにヒューマンじゃない
筋肉質な肉体を装飾入りの黒いタイツで覆った
金属製のパンツと腕輪、ブーツを身に着けている
髪の毛は赤いのか黄色いのかどっちにも見える
ライオンのタテガミのような感じで、
水色っぽい水晶のようなものが顔の上半分を覆う仮面の目にあたる部分にハマっていた
ホエイはホエイで傷を瞬時に再生させる
・・・どうやら、こいつらにはあの程度のケガはケガにもならないらしい
「あなたたち、どうせ村の殲滅任務でしょうけど
私たちのチームは拠点の場所探しに今到着したばかりなのですよ」
「なら、ここにすればいい
片づけ終わったところだからな
我々の任務は占拠ではなく殲滅だ、あとは知らん」
「できれば労働力になる人材も確保したかったところですけどね・・・」
二人の会話を聞きながら、あたしはそっと後ろに下がった
そこにある茂み、そこを体で隠すように
『ヘビクイワシ』が気付いたのか、あたしを見た
「何をしている?」
「あなたが異質すぎて怯えてんですよ
なんでこの惑星の人の姿になってないんですかね?」
ホエイは、あたしの事情を知ってか知らずかフォローしてくれた
そう言う当人は硬そうな外骨格に覆われた尻尾を地面にビタンビタン叩きつけている
尻尾の先端の槍の穂先みたいなところから液体がもれて
地面を溶かしてるし
「「お前が言うな」」
あたしと異星人『ヘビクイワシ』はハモった
「・・・で、どうします?
彼女を襲うならそれは私への決闘の申し込みになりますが?」
ホエイの言葉に両腕を突き出しながら『ヘビクイワシ』は首を横に振った
「割に合わない、お前と殺しあうなど・・・・・・
それに、理由のない味方との戦闘はご法度だ
うちの大将の時みたいに『反逆罪』で襲われるのはごめんだぜ」
ようするにこいつの上官はホエイに粛清されかけたということだろう
カタブツだと思ってはいたけど、憲兵みたいなこともしてるのか・・・
そんな奴が、あたしとくっつきたがる理由がますます分からん
「なぁ、あんたのことだからやってないと思うけど
誘拐とかしてないよな?」
『ヘビクイワシ』は、あたしを見ながら言った
ホエイはそれを聞くと、笑いながら右腕をモンスター化した
「っと、うちの大将がお呼びだ
あっちも片付いたみたいだな
・・・後ろから襲ってくるなよ、いいな!」
『ヘビクイワシ』はそう言って攻撃が繰り出される前に
どこかへ去って行った
「・・・お前ら、もう大丈夫だ」
あたしは茂みに隠れている子供に言った
10歳くらいの女の子と4歳くらいの男の子だ
たぶんここの村人だろう
あたしの事を連中の仲間と思っているのか
男の子は自分よりずっと大きな女の子を庇いながら
あたしを睨んでいる
やっぱりそうなっちゃうか・・・
「あの、その子たち連れてここを離れてください」
ホエイがそう言ってきた
・・・確かに、これ以上ここに居ても意味はない
死体の中にはこの子らの身内もいるだろう
そう思っていたら・・・・・・
返事をしようと顔を向けた時、ホエイの前に人影がいた
一人二人じゃない
それも腕がなかったり腹が割れて中身がこぼれてたり・・・・・・
どう見ても死んでいる
なのに立ち上がり、何かを探すようにキョロキョロしたり
匂いでも嗅いでいるのか顔を上にあげたりしている
そういえば、ここはブルグナよりも大氷壁に近い場所だ
つまり『ベイオエント』の影響はすごく強い
こんなところで死人を出したらどうなるか・・・
あたしはガキ二人を両脇に抱えてノルデンまで走ることにした
ホエイを見捨てるのかって?
アンデッドにはアンデッドをぶつけるんだよ!!
*
*
*
「ガキ二匹くらいならいいや
生き証人としちゃ妥当だろ」
部下の報告を聞いた『タカ』は特に咎めもしなかった
『タカ』にとってこの任務は雑務に過ぎない
拠点をゾラリアに移してから情報収集に事欠かないのは良かったが
おかげで『動かなければならない事案』がぐっと増えてしまった
一応のビジネスパートナーである
ガイアーネとゾール神を放置してでもしなければいけないことも含まれている
『ユニコーン族を狩る村』など、放置してはならない
まして、その情報を握りながら捨ておいたなど反逆の意を問われかねない
自分はガマグチヨタカにコードネームの件で突っかかって
突っかかられた本人から反逆者扱いされてその場で粛清されかけたことがある
下手な疑いは持たれないに越したことはないだろう
だが、本来こんな『便所掃除』など、もっと下の奴らがやることだ
『タカ』は一応ユニコーン族に忠誠は誓っている
軍を率いる総司令という女は唯一自分が頭を垂れるに値する戦士だとも思っていた
尊敬していた
だから『タカ』は命令とあればそれに従う
長い時間をかけてふるいにもかけて
今の自分の少数精鋭チームは最高の仕上がりだ
決して『便所掃除』などに使うべきでは本来ない
もっと有意義な戦の場にこそ出すべきだろう
そう思っていた
「ゾラリアに戻るぜ
まだ生きている奴がいたとしても
あとは『ベイオエント』がどうにかするだろうからな」
その通りのことが起きて『ガマグチヨタカ』がその巻き添え食らっている件など
『タカ』の知ったことではない

(つづく)

 

<解説>

解説1:ユニコーン族の角

コミック版モンスターメーカー作品「モンスターメーカー・サガ」の
リンク編にあったエピソードが元ネタです
ユニコーン族がトップの超攻撃的組織が知ったら
まぁこうなりますね

解説2:『ヘビクイワシ』

三巨鳥『タカ』配下、階級は大尉(大戦当時)→中佐
『マグマ星人』というウルトラマンシリーズでは有名な種族出身
ウルトラマンレオさんの故郷を破壊したことでも知られています
(大体助かったりしてる中で復興不可能な形で完全破壊したという珍しい例)
『ヘビクイワシ』はその後に生まれたので、その事件は不参加
&レオさんとの面識はありません
(昔こういうことがあって、そういうウルトラマンがいる程度の認識)

ではまた

 

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