Monster Makers’ Conflict-第2部第2章第11話:天空の城へ | 回廊蝦蛄日和

Monster Makers’ Conflict-第2部第2章第11話:天空の城へ

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第2部:歴史の復活

急展開

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第2章:浮遊城戦争、勃発す

第11話:天空の城へ

私はリュミール、空飛ぶ吟遊詩人だ
厳密には、ハーピーに捕まって飛行中だ
たぶん、ハーピーだと思う
上半身が女の子で下半身が鳥
腕の代わりに大きな鳥の翼がある魔物だし
「んしょ、んしょ、んしょ・・・」
しかも私を運ぶ当人は
すごい不安になる声をさっきから出している
よく見ると、だいぶ幼い子だ
人間で言ってもベステラより少し年上くらいだろう
そんな子が顔を真っ赤にして一生懸命羽を羽ばたかせ
私を運んでいた
「ふぅ、疲れた」
この子は、ちょくちょく休憩を挟んでくれた
臆病なのか誰もいない広い場所を選んで着地してくれるおかげで安心できる



で、どうして今こうなっているかというと
ヴェストリの里から脱出した後、出た場所がノルディーンの森の近くだった
「気を付けて、森の中に入ったら命の保証はないよ!」
森を見たシャットさんが警告してくれた
彼の言う通り、吟遊詩人の情報網によると
今のノルディーンの森は危険地帯だ
あのモンスターメーカー戦争で汚染され、人間を敵視する精霊や魔物が住処にしている
それだけじゃない、ここにはあのヴァンパイア・ノーブルの居城があるというウワサだった
「魔物除けの歌を歌うから、みんな私の傍から離れないで!」
私は吟遊詩人のスキルを使ってノルディーンの森から安全に離れようとした
で、森からある程度離れたところで
「この歌声・・・見つけた!!」
空からした声に目を向けた直後
「お姉ちゃん!」
「リュミール危ない!」
私はあっという間に上空に連れ去られてしまったのだ
問題はその後だった
このハーピーは私を上空に持ち去ったところで力尽きそうになった
咄嗟に回復のポーションを与えて気力回復の詩を謡わなかったら
私を道連れに地面へ激突していただろう



私は回想を終えた
ちらりとハーピーを見る
爆睡している、呑気に鼻提灯を出して翼を畳んで丸まっていた
どうも、この子は最初から私を狙って攫ったようだけど
まさかハーピーが私に用事があるとは思えない
この子ら自身でなく、この子らの主が用事ありなんだろう
ハーピーを使役する存在というと・・・・・・
それに思い至り、私はものすごく深刻な事態にある可能性を考えざるを得なかった
魔女ミッドガルダ
遥か昔から転生を繰り返す蛇の化身で、神々にかつて恋し子を為し
今もなお神になる野望を捨てきれずにいる存在だ
集めた情報によると、彼女はハーゲンさんの育ての親らしいんだけど・・・
今のハーゲンさんの拠点は氷の城で、しかも一人暮らしらしい
これは『ネグレクト』ってやつじゃないだろうか?
「ん、よく寝た!」
私はハーピーの声で思考を中断した
「ねぇ、あなた、私の言葉、分かる?」
意を決して私はハーピーに話しかけた
「分かるに決まっているでしょ、人間
こう見えても、わちきは偉大なる魔女ミッドガルダ様に仕える一族の出で
とっても優秀な”えりーとはるぴゅいあ”なんだから!」
ほとんど膨らみのない胸を張ってハーピーは言った
「へぇ、あなたってそんなすごい子なのね!」
言いたいことは山ほどあるけど、この子の機嫌を損ねて
こんな何処とも分からない高山地帯に置き去りにされるのはごめんだ
私は話を合わせておだてることにした
「そーよ、これでも元『トリカゴ』なんだから
あ、『しんりょくしゃ』って言ったほうが通じるかな?」
これは、予想外だった
まさか、あの宇宙から来た連中の関係者だったとは
「元ってことは・・・やめたの?」
私は、思わず口にしてしまった
途端にハーピーは不機嫌な顔になる
しまった、と思ったけど彼女の不満は元の職場に対するものだった
「そーよ!
あんなとこ、こっちからやめてやったの!
強すぎる敵に1回負けただけでクビとかひどすぎるわよ!
あの『タカ』ってやつ!
本当にブラック職場もいいとこよ!」
『三巨鳥』の一人から直々にクビにされるとか、何しでかしたんだろう?
「で、ミッドガルダ・・・様に、拾ってもらったの?」
私の言葉にハーピーは首を横に振った
「ううん、ご主人様に拾ってもらったの!
わちきはミッドガルダ様に仕える一族の出身というだけだし!
ハーピーのほとんどがそうよ
ミッドガルダ様はハーピーの救世主だもの!
ご主人様に言って故郷に里帰りを許してもらったの
あの御方が帰還なされたって聞いたから!
そしたら、ミッドガルダ様に直接声をかけていただいて
お前を攫ったってわけよ」
どうやら、私に用事がある人物は、ミッドガルダで間違いなさそうだ
・・・いや、それより『ご主人様』って言った?
別にこの子の主がいるってこと?
「遅いよ、ペイピ!」
どうしようか迷っていたら、別のハーピーが来た
こっちは金属の胸当てとカブトを着用している子だ
顔つきや体つきも、私を連れてきた子よりも大人っぽい
「こっちのセリフよ『ロイヤル』、
遅刻しといて遅いってどういうことよ?
それに、わちきは『イワトビ』よ!」
それを受け流しながらもう一体のハーピーは言った
「私はポピャーよ!
あんた、また集合地点を間違えたね?
あと、もうトリカゴは辞めたんだから
コードネームで呼ぶのは無しって話も忘れて・・・
・・・いや、あんたまさか私だけじゃなくて自分の名前まで忘れちゃってるの?
マジ?」
なんとなく、この子たちのコードネームモチーフは『ペンギン』関連だと私は察した
「二人がかりで運ぶわよ、ミッドガルダ様もご主人様もお待ちだからね!」
こうして、私はまたハーピーに運ばれることになった
*
*
*
あたしはアルボア、キルギル行きの飛行船に乗る女闘士だ
ミューザ長老は「用事がある」とかで浮遊城ヤコブレイトへ
ホエイは「末娘の手伝いに行く」と言って消えてしまった
クロワと一緒にノルデンで保護した子を含むガキどもの世話しながら待っていると
モンタズナ様から連絡を受けた
仕方なくオークや子供らの世話はクロワに任せて
あたしは迎えに寄越された飛行船に乗り込んだ
これ、文字通りの「空を飛ぶ船」なんだけど・・・・・
上に風船みたいなのがついている奴じゃなくて
船が浮いて飛んでいる、本当に
グラナールを捕まえて聞いたら、落下した浮遊城の残骸を見つけ出して
そいつを材料に作成したらしい
モンタズナ様は、こういう器用なところがある
「アルボア、久しいな」
グラナールの案内で部屋に通されると、本人はスクワットをしていた
いつものことなので、あたしは流しとく
グラナールは人払いされて出て行って、あたしとモンタズナ様の二人きりになる
「キルギルの先代の王が、そなたの亭主・・・
准将殿の息子と揉め事を起こし
准将殿自ら手を下したことは知っているな?」
いや初耳だけど!?
っつーか何してんだよ、あのバカ!?
いくら子供が可愛いからって王族を手にかけるか普通!?
そもそも何しでかして揉めたのかも知らないけど!
ていうか、あたしはまだあいつと結婚していないからあいつは亭主じゃないし!
「あの、謝っても許されないと思います」
あたしはひとまず頭の中のあれこれを口に出さず、提案した
あたしの首一つで相手が納得すると思えないし、
あたしが犠牲になれば、キルギルはアイツの手で人々が流す血に染まるだろう
ヘタすればモンタズナ様も責任者としてタダじゃ済まないと思う
「いや、謝罪に行くのではない
我々はキルギルを貰い受けに行くのだ」
あたしは、話の流れが読めずキョトンとした
力ずくで奪う話なんだろうか?
アイツが合流してからのほうがよくないかなソレ?
あたしの顔で察したのか、モンタズナ様は続けた
「今の王は、先代の王の叔父にあたる人物だ
そして、ディオシェリルらが浸透しているゾラリアの者どもとは
あまり仲が良くはない
彼の者は、暗殺者に常におびえている
一刻も早く王権を手放したがっておる
だが、それは血筋が許さん
そこで、ヤツは条件を出して次の王を選ぶことにした
条件とは・・・」
モンタズナ様は筋トレの手を、ようやく休めて続けた
「キルギルに入り込んだ暗殺者の炙り出しと排除、だ」
*
*
*
「悔しいな、私にもっと力があったら・・・」
ドミニクはベステラを抱きしめながら、呟いた
「お姉ちゃんは、悪くないよ」
「うん、ありがとう」
ここはブルガンディ行きの船の中
シャットは一旦全員にブルガンディの自分の邸宅に集合するように指示し
自ら救出のための情報集めに出かけて行った
いつでも出発できるように待機し、それまで体を休め傷を癒すのが
今のドミニクたちのすべき事だ
分かってはいても、動きたい衝動は抑えられない
ドミニクは、ルフィールほど大きな使命を帯びてはいない
グリンのような大きな目標も無かった
ただ、自分の師匠が命を捨てて助けたあの王女戦士に成り行きでくっついていき
その仲間たちとも出会い、ともに旅をすることができた
その後でリュミールたちとも出会えた
初めて戦う理由ができたと思う
素晴らしい友たちを守り助けるという理由
命を捨ててでも守りたい存在を持ったのも初めてだろう
そのパーティーの中心が、突然いなくなった
咄嗟に近くにいたノーヒアを踏み台にして飛んだが、届かなかった
ノーヒアの体が少し割れて人形のような中身が露出したことも
ドミニクは気にしなかった
初めて味わう、圧倒的に大きな無力感
折れそうな心を支えてくれたのは、
姉がいなくなって一番ショックを受けているはずのベステラだった
ただ後ろから抱きしめてくれただけ、それだけで膝を地に付かずに済んだ
『リュミールの代わりに、なれるだろうか?』
そう自問自答しながらも、やることはもう決めていた
ベステラを、自分を『お姉ちゃん』と慕ってくれる年下の友を守ること
リザレクションですらない、その目的に命を懸けること
命尽きるまでそれを続けることを
転生した師匠ペリエールと再会した時に、胸を張っていられるように
ドミニクは声に出さず誓った
*
*
*
「ふん、やはりな」
シャットたちが去って行った後のノルディーンの森の近辺
すっかり夜の闇に包まれ魔物が跋扈する危険地帯と化しているそこで
深い緑色の体毛のワーウルフが地面から何かの破片を拾い上げていた
「ラートミ姉様の作品、『自動人形』を改造したものじゃな
ノーヒアめ・・・」
今はもう亡い長姉の名前を呟き、ワーウルフは破片を握りしめた
「私を殺してまでツチラトを奪おうとし
私と我が部族を滅ぼしてまで世界を守ろうとしておきながら
自分が死ぬ番になったらコレか・・・・・・
見苦しいね」
衝動的に破片を地面に投げ捨て踏み躙ろうとして・・・やめた
今の自分は一人ではない
もっと良い案を夫ならば考えてくれるだろう
深緑のワーウルフはそこまで考えると、闇の中へ姿を消した

(つづく)

<解説>

解説1:飛行船

モンタズナ様はゲームでも、こういうのを使っていました
モンスターメーカー学園でもゴーレムを操作したりと
割とメカニック?に精通している部分があります
今の彼が育てているのは自分の筋肉ですが(汗)

解説2:ペンギンハーピーズ

元『タカ』配下部隊
任務失敗で放逐された後で『ディアトリマ』派閥の幹部に拾われました
『ちょうど娘が士官学校を卒業して部隊を必要としているから』と

解説3:ラートミ

「4姉妹」長女、名前モチーフは『氷河期』
率いている部族の名前は『スズリ』
フィジカルは全部、次女と三女が全部持って行ったので
発明家なキャラに決定しました

 

ではまた

 

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