Monster Makers’ Conflict-第2部第2章第12話:<エピローグ>復讐の竜騎士団 | 回廊蝦蛄日和

Monster Makers’ Conflict-第2部第2章第12話:<エピローグ>復讐の竜騎士団

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第2部:歴史の復活

今回は主人公の出番はありません
第2部第2章も終わります

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第2章:浮遊城戦争、勃発す

第12話:<エピローグ>復讐の竜騎士団

幾星霜の時を経て、生まれた惑星の大地へリーヴは降り立った
母船から離れてここに来るまで、リーヴは今までの人生を回想していた
リーヴは、遥か昔にウルフレンドで生を受けたユニコーン族の一人だった
予言によってもたらされた『滅びの未来』への対策として
星の外に逃げたユニコーン族移民団の一員だった
しかし、長い旅路の末に見つけ移り住んだ新たな惑星もまた、安全ではなかった
発達した科学文明を持つ周囲の星間国家は精神まで発達していなかった
平和を中立をあざ笑い小馬鹿にしてきた
その上、ユニコーン族の技術に目をつけられたが、当然ながら拒んだ
戦争にも不介入を貫いていた
転機は突然訪れた
突如発生した「ロボット反乱」で医療技術や多くの資源を提供したにもかかわらず
礼を言われるどころか『少なすぎる』などと言われた
無礼極まりない隣人らの対応に堪忍袋の緒が切れたユニコーン族は二手に分かれた
一つは新たな故郷「モノケロス」に残り周囲の国家と縁を切り維持し続けるグループ
もう一つは母星から飛び出し周囲と和合すべく『争い』について研究するグループ
リーヴは後者のグループについて行った
しばらく大きな争いはないだろう、時間はたっぷりある
そう思われていた
しかしすでに「ロボット反乱」から立ち直っていた宇宙は
二手に分かれての争いを始めていた、それも人類同士で
さすがに辟易し中立を貫いて不介入の姿勢を取っていたユニコーン族だったが、悲劇は起きた
業を煮やした一方の勢力の貴族の一人が
日和見貴族への見せしめに「モノケロス」を破壊したのだ
その時、リーヴたちは旅の最中に『女神』と遭遇し、その協力を得ていた
兵器開発も順調だったし、帰還後は人類にそれを提供するつもりだった
また新たな人類への脅威が出現した時、困らぬように・・・
しかし、「モノケロス」は破壊された
そして成立したての統一国家は、
提供されるはずだった兵器の数々を自分自身でテストする羽目になった
わずか一日で惑星単位、恒星単位で領土を失っていった
人口増加と居住地の少なさが社会問題となり、
戦争による人口調整が密かに為されていたほどの、統一国家すら把握不能な膨大な人口は
まるで砂糖の山が大量の水の中に溶けていくように激減していった
「たかが日和見の平和主義者など怒ったところで怖くない」
そう豪語していた貴族は領土の恒星系ごと消えた、文字通り
行われていたのは戦争ではなく、ただの消去だったから
統一国家はいつしか、反乱の平定ではなく
『人類種の存続』へと方針を転換せざるを得なくなった
広大な領土と統一戦争終結時点で、なお途方もない人口を抱えていたはずの統一国家は
皇帝を含む全人口の3%の生き残りの民を連れての逃亡を余儀なくされた
平和主義を鼻で笑った虫未満の国だ、容赦なく滅ぼされて当然だ
これは害虫駆除なのだ
それが、かつて平和を愛したはずのリーヴらユニコーン族の意思だった
彼らがいなくなった跡地に新たな組織『トリカゴ』は成立した
今度こそ誰もが平和に暮らせる安全な世界を樹立するために
それから長い時間が経った
今、生きているのは彼一人だ
妻であったリーヴスラシルもすでに亡い
自分がいなくなれば、すべてが無に帰す
その一念のみが彼の生きる支えだった

現地戦力が来て安全を確保するまで外に出ないのがこの惑星での基本行動だ
以前にデシル星の調査隊が現地人の襲撃で全滅した事件を教訓に設立されたものである
しかし、それを無視してでも彼は大地を踏みしめたかった
自分が生まれた大地に、子供の頃のように立ち歩き走り回りたかった
「『コマドリ』副総司令、お久しぶりです!」
割と早く迎えが来てくれた
現地へ留まり商売を成功させていると報告があった三巨鳥の一人『ディアトリマ』だ
「ああ、久しぶりだね『ディアトリマ』大将」
あの統一国家の駆除作戦でも、彼は敵国内部に勢力を作り内側から混乱させてくれた
非ユニコーン族でありながら、同胞の仇討ちに危険を顧みず貢献してくれた
その功績を『コマドリ』は決して忘れてはいない
*
*
*
リュミールがハーピィに攫われた
浮遊城の連中の仕業と見たシャットは、一早く浮遊城に関する情報を集めた
「ミッドガルダめ、オレはもう小僧じゃないぞ!」
誰が相手だろうと自分を舐めてくれたツケは必ず払わせる
シャットはそう、決意していた
そしてケフルに浮遊城が向かっているという情報を受けて
いの一番に向かった
ここはオークとの戦いの最前線でもあるため、
すでにグレードン王復活の情報で戦々恐々として臨戦態勢だ
しかし・・・・・・
「相手が空の上では、どうしようもない」
ここは、ケフルを囲む頑丈な壁の上、
隣にいる剣豪サンセールが歯噛みしながら言った
もちろんシャットは彼を許したわけではない
ただ『慈悲』を与えただけだ
ケフルに入ってすぐ、手下に捕らえられたサンセールはシャットの前に引きずり出された
自分が生殺与奪を握っていることを伝えた上で
二度とリュミールに手出ししないこと
ケフル滞在中は自分の護衛に徹して勝手に出歩かないことを条件に
助命した
もちろんシャットを殺して契約を反故にするなど不可能だ
傷つけただけでも、即座に暗殺者が放たれるだろう
サンセールは自分がやすやす捕らえられたことで、
シャットの持つ『力』を理解していた
だから彼はシャットに従っている
しかしながら割と真面目に護衛任務をこなしてくれていた
「あのシャットの護衛を務めたという実績は
我が名に箔をつけてくれるだろう」
と、いうのがサンセールの言い分だったが
シャットとしては自分の忠告、
とりわけ『リュミールには手を出すな』という命令さえ聞いてくれるなら文句はない
「申し上げます!」
シャーズのシーフが音もなくシャットの傍に現れ耳打ちをする
「なんだって、ケフルに向かっているのはミッドガルダの浮遊城じゃないって?」
シャットの呟きにサンセールは反応した
「『ヤコブレイト』か!」
そして、もう一つの有名な浮遊城の名前を口にする
「アンデッドどもか、いったい何をするつもりで・・・」
そう呟いたシャットの頭に、竜騎士たちの物語が浮かんだ
かつてヒューマンの国家のためにオークと戦い
用が済んだら滅ぼされた悲劇の伝説を
「ドラゴンライダーか竜騎士が、転生してくれていればいいが・・・
いや、していたとしても、あのような扱いを受けたのだ
我なら絶対にメルキアへ手は貸さんだろう」
そしてサンセールの呟きは、シャットの頭に湧いた予想を確信に変えた
「は、はは、そうだよね
なんで気づかなかったんだろう」
「?シャット様?」
主が急に漏らした自嘲気味な震えた笑い声に、報告に来たシーフは声をかけた
シャットは即座に姿勢を正し、シーフへ命じた
「どこでもいい、頑丈な建物の中に全員入るように伝達するんだ!
王族だろうが貴族だろうが、生き延びたければそうしろと伝えろ!
オレの名前を出しても構わない、
文句あるなら、生き延びられた時に好きなだけ聞いてやるって言っとけ!」
シャットが手早く指示すると、シーフは音もなく姿を消した
ほどなくして、警報の鐘が鳴り響く
その前には、シャットもサンセールも壁の上から中に入っていた
「今ここには竜騎士もドラゴンライダーもいない
当然だ、自分たちを裏切った連中に手を貸そうなんて奴はいない!」
先ほどサンセールが言ったのと同じ内容をシャットは言い
そして続けた
「けどそいつと、復讐したい奴がいるかどうかは別の話だ!」
ドン!!
その言葉が終わらないうちに壁の中は地震のように揺れた



ジシュカ将軍は夢心地だった
かつての相棒と共に空を飛び
かつての仲間たちと共に編隊を組んでいることが夢のようだ
自分以外はアンデッドであることを除けば
その事実とかつて受けた仕打ち
理由は十分すぎるくらいあった
だから今、ツケを支払ってもらっても構わないだろう
彼はそう考えた
「攻撃目標『ケフル』、かかれ!!」
時を経て、かつての雇い主たちに裏切られた竜騎士らは牙を剥いた
急降下して不運な兵士を引き裂く
ドラゴンブレスで壁を施設を破壊する
ケフルは瞬く間にアンデッドの竜騎士たちに蹂躙されていった
この襲撃で甚大な損害をケフルは受ける
もしかしたらオークの大軍を防ぎきれないかもしれない
グレードンが復活し、オークの大軍団が再結成されたことはヤコブレイトにも知られていた
しかしそれはジシュカの知ったことではない
かつて自分たちは、オークの軍団を退治した褒美に滅ぼされたのだ
ならば今度は、オークが攻め込みやすいように手間暇かけてやるのがスジだろう
「引き上げだ!」
ジシュカは号令を上げ指笛を吹いた
そろそろ奇襲攻撃のダメージから立ち直る時間だ
火矢を携えた弓兵が壁の上に出てくるのが見える
ただし、そいつらは撤退の理由ではない
これは雇い主から通達されていた作戦行動だ
アンデッドの竜騎士たちはジシュカの命令に文句ひとつ言うことなく従う
「昔みたいに、悪態の一つでもついてくれりゃいいのにな
フースよぉ・・・」
ジシュカは、アンデッドドラゴンとして復活した相棒の頭を撫でながら呟いた



「ドラゴンたちが、退いた・・・?」
サンセールは壁に開けられた穴から外を伺い、呟いた
「サンセール、まだ終わっちゃいない
死にたくないならこっちに来るんだ」
シャットはサンセールに手招きしながら言った
「この壁がもってくれるといいんだけど・・・」
雇い主の命じるまま傍に寄ったサンセールが
どういう意味なのか聞く前に
凄まじい轟音が轟いた
「うわぁ!!」
「落雷だ!!」
兵士たちの悲鳴が聞こえる
誰かが落ちたのか、鈍く湿った音も聞こえた
「退避!
退避だ!
竜巻が来るぞ!!」
降って湧いたような急激な悪天候だ
「ったく、こうなるから隠れて居ろって言ったのに!」
その混乱を聞きながらシャットは呟いた
「ヤコブレイトは気象を操作する浮遊城って話だ
今までブルグナで暴れていたのは、テストも兼ねていたんだろう」
サンセールはその意見に目を剥いた
「テストだと、あそこにいるのはアンデッドという話では・・・?
まるで、奴らに浮遊城を操作する知能があるかのようなことを・・・」
その反論へ、首を横に振りながらシャットは言った
「そうだね、あいつらは知能が低い
生前の記憶があっても
たいていは恨みや本能で動くような奴らばかりだ
『ヴァンパイア』のような上位種族を除けば、ね」
サンセールが黙ったのを確認し、シャットは続けた
「今までアレはただ暴走しているだけだと思われていた
けど、妙だとはオレも思っていたんだ
暴走しているならどうして、
ブルグナばかり狙って荒らしているんだろうか、ってね
行き先が出鱈目なら、メルキアやシャルトン半島に行ってもおかしくないんだ
もちろん、地中海にもブルガンディにも、ね
でもアレはブルグナから今まで一度も出て来なかった
その答えが『誰かが操作している』のなら、納得がいくよ」
「つまり、最初からヤコブレイトは
制御されていた、そういうことか?
しかもそいつは、ヤコブレイトを自由に操ることができる、と?」
「あるいは『そいつら』だね
ヴァンパイアの王は魔界の連中と通じているって話だ
あちらから知識人がご来訪していても、おかしくないさ」
二人は会話しながら共通のことを思っていた
もう、自分たちの手に負える範囲の話ではない、と

この日、『浮遊城戦争』と名付けられることになる
戦いの幕は上がった

(つづく)

 

<解説>

解説:ゲシル星の調査隊が現地人の襲撃で全滅した事件

小説「カードの国の大冒険」の一篇「第一次探検隊」より
光線銃も、彼らの体形が災いしてすぐに抜くことができなかった模様
また、彼らの姿形が「大ネズミ」とそっくりだったことも災いし
その場でモンスターとして退治されてしまいました
彼らの魂は宇宙へ帰還できず、ネームドとなり
今もウルフレンドを彷徨っている模様
ちなみに二人のうちの一人の名前『メルキタム』が
リザレクションのカードの名前になっています

ではまた

 

 

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