Monster Makers’ Conflict-第2部第2章第9話:墓標の洞窟 | 回廊蝦蛄日和

Monster Makers’ Conflict-第2部第2章第9話:墓標の洞窟

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第2部:歴史の復活

またやらかします

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第2章:浮遊城戦争、勃発す

第9話:墓標の洞窟

私はリュミール、ヴェストリの里に辿り着いた吟遊詩人だ
「紹介します、彼はジャヴェル
ずっと私に仕えている私の副官です」
「ノーヒア様、それは一体なんの趣向ですか?」
副官さんは混乱していた
まぁ、自分の主人がいきなり縛られた状態で連行されてきたのだから無理もないか
「キミらの息のかかっている村がやらかしてくれたんだよ
オレを騙しただけじゃなく
『トリカゴ』をこの上なく怒らせてくれちゃって、ね」
シャットさんが進み出て告げる
私たちは洞窟の中で彼と合流して全てを話していた
さらに言うと
ちょうどそこは狩られたユニコーン族の死体倉庫になっていた
私はそこで見た光景を一生忘れないだろう
中には赤ちゃんを抱きしめた女の子もいた
私たちはそれを許すつもりはない
あの村は『トリカゴ』に自業自得の形で滅ぼされたけれど
この惨劇を見逃して目こぼししていたノーヒアさんたちも同罪だ
「オレのことは分かるよね?
あんた確か、オレとあの村の当時の長が取引する場にいたはずだな?
あの村はユニコーン族の一派『トリカゴ』に報復されて全滅だ
追いかけてきていないということは、キミらの関与はまだ知られていない
でも、いつまでもつのか分からない」
シャットさんは単刀直入に切り込んだ
ジャヴェルさんは真っ青になった
「ばかな、『ガマグチヨタカ』の奴が、そこまで・・・!?」
ちょっと待って
なんでここで『ガマグチヨタカ』の名前が出るの?
あいつも確かに『トリカゴ』だけど、あの場にはいなかった
それに、うっすらとある記憶だと
『タカ』がいるのとは別のグループの司令官のはずだ
配置転換とかで『タカ』の部下になったとかなら分からないけど
「襲っていたヤツは『タカ』とか名乗っていたけど?」
一応、訂正してあげることにする
「そ、そうか・・・・・なら・・・」
私の言葉にジャヴェルさんは安心していた
どうやら、彼にとっては三巨鳥よりもあの方面司令官のほうが恐ろしい存在のようだ
いや、なんで?
「あのな、オレの部下ですら情報を掴めないヤツに
どんな喧嘩の売り方したんだよアンタ?
さすがにオレでも庇いきれないぞ?」
シャットさんの言うとおりだ
『タカ』だけでも厄介なのに『ガマグチヨタカ』まで敵に回しているとか冗談じゃない
これ以上ここに居たくない
あの二人で組んで来られたら確実に助からないだろう
ひとまず、ノーヒアさんの縄をほどいて自由にしてあげることにした
『ギギギ・・・』という音がした後で、ノーヒアさんは立ち上がる
・・・なに、今の音?
「あの洞窟の他に出入り口はあるかい?」
シャットさんは洞窟を指さしながら聞いた
こんなとこ、さっさと逃げるに限る
「出入口はあの洞窟だけです
ただ、あそこは別の場所に出られる道がいくつもあります」
ノーヒアさんは答えた
「そうか、ならあの村に続く道は埋めたほうがいい
ここまで分かりやすいくらいの一本道だからね
ユニコーン族も弔ってやってくれ」
*
*
*
あたしはアルボア、洞窟の中で迷う女闘士だ
ホエイに死者の群れを相手させて逃げたはいいけど
今度は『クリムゾンローズ』に襲われた
あの厄介なバラの毒は、思い出したくないものを思い出させてくれる
あたしはガキ二人を抱えて洞窟に逃げ込むしかなかった
毒のせいで嫌な記憶が押し寄せてくるけど、
あたしにとっては慣れた思い出だ
地獄の底辺で張って生きてきたことで、あたしには耐性があるようだった
松明に火を着けると
女の子が、あたしの腰に手をやって、心配そうに見上げてくるのが見えた
あたしは返事がわりに、笑顔で心配してくれた女の子を撫でてやる
そして改めて洞窟の中を見回した
そこはひんやりしていて、そのせいか人食い花は追いかけてこない
奥に進むと、ユニコーン族の死体があちこちにあった
どれも角が取られている
『角狩り』の犠牲者だろう
こういう事は『大戦』の前からずっとあった
ユニコーン族だけじゃない
ヒューマンの欲望はヒューマン第一主義が台頭してから他の種族へ向けられた
オークはもちろん、共に戦ったシャーズ、エルフらにすら・・・
その時のことを思い出すと吐き気がする
もっとも、ユニコーン族への迫害は『トリカゴ』が来たことで終わった
あの侵略者たちの上位種族は、信じられないことにユニコーン族だった
ただ、中身はあたしたちの知るユニコーン族とは全く違う
彼ら彼女らの苛烈な攻撃は、ユニコーン族を狩った連中だけでなく
思想を理解しない者・思想を笑った者・約束を反故にした者にも向けられた
かく言う、あたしの恋人も攻撃への参加者だ
むしろユニコーン族より積極的だったことで
上層部からはある程度の評価と危険物扱いを得ていたりするらしい
「寒くないか、お前ら?」
あたしは冬の厳しい寒さのベング出身だ
過酷な環境には自信があるけど拾った村の子供二人はそうはいかないだろう
・・・と、思っていたけど二人とも大丈夫そうだ
そういえば、ここは大氷壁の割と近い場所だ
寒さには慣れているんだろう
「どうした?」
あたしは、男の子のほうにベルトを引っ張られた
男の子の指さすほうを見ると、氷漬けの死体がある
・・・いや、おかしい
その死体は肌の色が他のと違った
それに角も取られていない
胸に抱いている赤ん坊も同じだ
「生きているのか?」
助けられるかもしれない
あたしは心の中でホエイに呼び掛けてみた
『(はい、そちらへ向かっているところです)』
あいつが死者の群れでどうにかできる奴じゃない事は知っていた
そもそも、アンデッドっぽいんだよな、あいつ・・・
強い日差しを嫌うし、この前なんてセシリアが持ってきた聖水を嫌がったし
「すぐ来てほしい、ユニコーンの女の子と赤ん坊だ
たぶんだけど、氷漬けのまま生きている」
『(!?なんですって・・・分かりました
至急向かいます!)』
これでよし、アイツはこういう時は本当に使える
『トリカゴ』本隊はもういないけど、あいつ自身も結構な戦闘力がある
何より部下は健在だ、ガキ4人を守るくらいできるだろう
ケフルを灰にできる戦力が護衛に回るのは過剰すぎるかもだけど
「ああそうだ、こいつら助けるけど
角は取るなよ?」
あたしは少女を指さしながら言った
・・・言葉通じるかどうか、分かんないけど
こいつら全くしゃべんねーし
「大丈夫です、私たちは何もしません」
「そっかそっか、なら・・・・・え?」
しゃべった!?
「ごめんなさい、ユニコーンの角目当ての人かと思ってしまって・・・」
あ~、そうか
こういうの取引しているなら、そういう連中も来るよな・・・
「それに、女の人だったんですね
あ、すいません、すごく逞しい体つきだから、てっきり・・・」
それは余計な一言かな!?
二人とも、あたしの下着なしの胸にずっと触れていたと思うんだけど
そんなに固いか、あたしのおっぱい?
いやまぁ女を捨ててあたしも久しいし、この評価は妥当かもしれないが
「気にしないで、いい
それより、あたしの連れがもうすぐ来る
あいつは村を襲った連中と互角にやりあえるから
合流できれば安全だ」
実際は気心の知れた仲間同士だから戦闘をお互いに避けるだけなんだけど
ややこしくなるから今は黙っておこう
とりあえず、合流したら一旦ノルデンに戻ろう
ここいらへの拠点作りどころじゃなくなった
最悪、あたしとホエイでエルセアに戻ってモンタズナ様に知恵を借りる必要もある
「・・・なんだこれ?」
あたしは、少女と赤ん坊の傍にある『石板』を拾った
ヒューマンの共通語じゃないから何が書かれているか全く分からない
一番下のほうには唯一の共通語があった
署名だろうか、所属と名前が彫ってある
『トリカゴ』の『ディアトリマ』か・・・・・・・
・・・・・ちょっと待て
『トリカゴ』関連かよ!?
「う・・・・・・ん?」
次の瞬間、ユニコーン族の少女を覆っていた氷が急に溶け出して
少女は起きた
「ヒューマン・・・」
当たり前といえば当たり前だけど、少女は警戒して赤ん坊を抱き寄せる
「待て、あたしは・・・」
あたしは少女と一緒にあった石板の端を見た
「こいつの作者の、『ディアトリマ』の仲間だ!
怪しい奴じゃない
『トリカゴ』の一員として、あんたたちを助けに来たんだよ!」
「『トリカゴ』の『ディアトリマ』、の?」
たどたどしい共通語で少女は聞いてきた
あたしは頷く
確か『ディアトリマ』は、ホエイの上官だし
『トリカゴ』は、あいつの所属組織「侵略者」の正式名だ
今のあたしの任務は、この二人の救助とガキどもの保護だ
嘘は言っていない
「(アルボアさん、大変です
結界が張ってあってそちらへ入れません!
ユニコーン族の少女と赤ちゃんは、大丈夫ですか?)」
このややこしい時に、さらなるトラブルが
あたしに舞い込んで来やがった
「あなた、本当に『トリカゴ』の一員なんですね」
ただ、この思念通話は少女の警戒を解くのに一役買ってくれた
・・・って、思念通話が聞こえるのか?
「(!?あ、もしかして、もう意識が?
申し遅れました、私は『トリカゴ』の第1096私掠艦隊司令官
『ガマグチヨタカ』と申します、階級は准将
あなた方の救助作戦を遂行中です)」
「(分かりました、ありがとうございます准将)」
二人とも、あたしの頭の中を通信機代わりにするのはやめて欲しい(汗)
*
*
*
「つい先ほど、この里の出入り口を封じました」
必ず後でユニコーン族を弔うと約束してから
ノーヒアさんは結界を張った
このおかげでこの後で、とんでもない事になると知らないまま

(つづく)

 

<解説>

解説:ユニコーン族の少女

オリキャラ、生存者
ハーゲンさんが転生してきているので
ウルフレンドのどこかには
まだ無事なユニコーン族が隠れ住む場所があるかもしれませんね

ではまた

 

 

 

 

 

 

 

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